ロームシアター京都では、木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻』公演のスピンオフ!プログラムとして、日本の古典をあたらしい広がりの中で読み直す「古典精読講座」(全四回)を開講します。古典は、今とは異なる人間、男女の関係、都市の姿、倫理と宗教をわたしたちに教え、現代社会を見直すきっかけを与えます。一方で古典はまた、複雑な家族関係、けがれと差別、その救いといった、いつの時代にも見られるモチーフを備えることで、現代にいたるまでかたちを変え、さまざまに語り継がれてきました。本講座は、一見近寄りがたい古典に対して、現代においても本質的な問いを投げかけていきます。また、2019年2月に初演される木ノ下歌舞伎『糸井版 摂州合邦辻』の関連企画とすることで、古典をいかに現代の表現へと翻訳し、今の社会を生き抜くすべにするかを考えます。
このたび、第一回、第二回の参加者を募集しますのでお知らせします。奮ってご参加ください。
※第一回講座は、9月30日に開催予定でしたが、台風接近に伴い延期となり、第二回開催日と同日に開催することになりました。
※第一回、第二回、それぞれ別々に参加お申し込みください。
第二回 古典の中の女たち〜新訳・説経節『しんとく丸』を中心に
■日時:2018年10月19日(金)15:00 – 17:00
■会場:有斐斎弘道館(京都市上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524−1)
https://kodo-kan.com/accessmap/
■講師:伊藤比呂美(詩人、早稲田大学教授)
企画・司会:林立騎(翻訳者、演劇研究者/ロームシアター京都リサーチプログラムリサーチャー)
質問者:木ノ下裕一(木ノ下歌舞伎主宰)
■概要:第二回は、古典の中の女性たちのはたらきに注目します。『般若心経』や『歎異抄』のわかりやすく胸を打つ現代語訳で知られる詩人の伊藤比呂美さんは、「しんとく丸」をはじめとした説経節の新訳を手がけ、物語の中の女性たちに注目してきました。語り手も聴き手も社会の底辺の人々で、底辺の苦しみが声を介して伝わっていた説経節が、ふたたび現代の言葉になるとき、古典は行き場のない思いとともに生きるあらたなありかたを教えてくれるはずです。
第一回 古典の中の恋〜『摂州合邦辻』にみる「本心」のありか
■日程:10月19日(金)19:00~
■会場:ロームシアター京都 会議室2
■講師:日置貴之(白百合女子大学准教授)
企画・司会:林立騎(翻訳者、演劇研究者/ロームシアター京都リサーチプログラムリサーチャー)
質問者:木ノ下裕一(木ノ下歌舞伎主宰)
■概要:初回の講座では、古典を知ることのおもしろさへとアプローチします。題材は文楽・歌舞伎で知られる『摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)』。能の『弱法師(よろぼし)』や説経節の『信徳丸(しんとくまる)』を語り継いだこの物語では、大阪を舞台に複雑な恋や、四天王寺という場の力が描かれます。そこにはどのような人間が生きていて、今そこからなにを学ぶことができるのでしょうか? 古典の世界は驚きと新しいリアリティをもたらすでしょう。
募集要項
募集人数
第二回:50名(先着順)
※定員に達し次第、締め切らせていただきます。
第一回:30名(先着順)
※定員に達し次第、締め切らせていただきます。
※9月30日の講座をお申込みいただいたお客様で、延期開催回にご参加ご希望の方は、お手数おかけしますが改めてお申し込みをお願いいたします。
応募方法
第二回:WEB応募フォームこちら
第一回:WEB応募フォームこちら
※9月30日の講座をお申込みいただいたお客様で、延期開催回にご参加ご希望の方は、お手数おかけしますが改めてお申し込みをお願いいたします。
応募締め切り
2018年10月18日(木)23時59分
参加費(第二回、第一回とも)
1,000円(税込)
※当日受付にてお支払いください。
主催:ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)、京都市
協力:公益財団法人有斐斎弘道館(第二回)
京都カラスマ大学、京都府立図書館(第一回)
平成30年度 文化庁 文化芸術創造拠点形成事業
※第一回講座は、京都カラスマ大学と連携して開催します(カラスマ大学WEBページ)。本講座前に、京都カラスマ大学コーディネーターによる木ノ下歌舞伎紹介ミニ講座「超入門! 木ノ下歌舞伎の魅力」(無料)を開催します(13:45〜14:00)。ご興味がある方はぜひご参加下さい。
今後の予定
第三回 11月30日(金) 講師:安藤礼二(文芸評論家、多摩美術大学教授)
第四回 12月13日(木) 講師:亀有碧(東京大学大学院)
※詳細は後日お知らせします。
プロフィール
伊藤比呂美
1955年東京都生まれ。1978年に現代詩手帖賞、『河原荒草』(思潮社、2005年)で高見順賞、『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』(講談社、2007年)で萩原朔太郎賞と紫式部文学賞を受賞。多数の著書の中に、説経節の現代語訳として『新訳 説経節 小栗判官・しんとく丸・山椒大夫』(平凡社、2015年)、『日本文学全集10 説経節他』(河出書房新社、2016年)がある。
日置貴之(白百合女子大学准教授)
1987年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。江戸時代末期から明治時代を中心に歌舞伎を研究している。著書『変貌する時代のなかの歌舞伎 幕末・明治期歌舞伎史』(笠間書院、2016年)、『近世日本の歴史叙述と対外意識』(共著、勉誠出版、2016年)など。