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#演劇#レパートリーの創造#2022年度

レパートリーの創造 松田正隆 海辺の町 二部作 「文化センターの危機」〈新作〉/ 「シーサイドタウン」〈再演〉

稽古場記録(第六期:2023年2月16日〜2月21日/公演:2月22日~26日)

記録:福井裕孝
2023.5.1 UP

ロームシアター京都の「レパートリーの創造」では、創作過程をいかに記録するかというアーカイヴの視点を持ちながら作品製作に取り組んでおり、作品ごとに異なる方法で記録を残しています。
2020年度のレパートリー作品『シーサイドタウン』(作・演出:松田正隆)の創作過程では、演出家・映像作家の村川拓也ディレクションによる稽古場記録映像を制作し、2021年6月5日に開催した「『シーサイドタウン』を振り返る」で上映を行いました。
松田正隆による「海辺の町 二部作」として『シーサイドタウン』の再演と新作『文化センターの危機』の上演を行う2022年度は、両作品で演出助手を務める演出家の福井裕孝が、自身の視点も織り交ぜながら、稽古場での日々の記録を書き留めていきます。


ロームシアター京都 レパートリーの創造
松田正隆 海辺の町 二部作
『文化センターの危機』『シーサイドタウン』

作・演出|松田正隆
出演|生実慧、鈴鹿通儀、大門果央、田辺泰信、中川友香、深澤しほ、横田僚平
照明|藤原康弘、杉本奈月(N₂/青年団)
音響|合田洋祐(ロームシアター京都)
演出助手・稽古場記録|福井裕孝
舞台監督|川村剛史(ロームシアター京都)
制作|齋藤啓・木原里佳(以上、ロームシアター京都)

【配役】
『文化センターの危機』
吉村 まりあ(文化センター職員) 中川友香
辻井 ひかり(文化センター職員) 深澤しほ
里岡 泉(高校生)        大門果央
中野 浩介(文化センター職員)  鈴鹿通儀
加藤 保(その東京の友人)    田辺泰信
杉田 進次郎(万引きする男)   横田僚平
神長 哲也(美術教師)      生実慧

『シーサイドタウン』
シンジ(帰郷した男)      横田僚平
トノヤマ(地元の男)      生実慧
ギイチ(隣の男)        鈴鹿通儀
クルミ(隣の女)        深澤しほ
ウミ(隣の娘)         大門果央
ケンイチ(シンジの兄)     田辺泰信
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福井裕孝
1996年京都生まれ。演出家。2017年にマレビトの会『福島を上演する』に演出部として参加。2018年から個人名義での作品の発表を始める。近作に『インテリア』(2020)、『デスクトップ・シアター』(2021)、『シアターマテリアル』(2020,2022)など。下北ウェーブ2019選出。ロームシアター京都×京都芸術センターU35創造支援プログラム“KIPPU”選出。2022年度よりTHEATRE E9 KYOTOアソシエイトアーティスト。
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【第六期稽古期間:2023年2月16日〜2月21日】
2月16日(木)
2月17日(金)
2月18日(土)
2月20日(月)
2月21日(火)

【公演期間:2023年2月22日〜2月26日】
2月22日(水)
2月23日(木)
2月24日(金)
2月25日(土)
2月26日(日)


 

 

2月16日(木)

今日から小屋入り期間。
昨日は照明の仕込みと客席の設営がありました。

松田 では、どうしましょうか。
齋藤 さっき話にも上がったんですけど、18日までの間どっちの作品をやるかってことを。
松田 もう本番すぐですね。え、水曜日からですよね。
川村 水曜日からです、そうです。
松田 えーっと。まあ18日までに一旦仕上げたいので、やっぱりチェックをしていきたいので、今日と明日で止め通しをしたいんですけど。どっちでも大丈夫だと思いますけど『文化』と『シーサイド』。18日に両方二つ通して、で、20日も二つ通すって感じかな。
松田 これ『文化センター』も21日にやるんだよね。この意図はなんでしたっけ。
川村 本番と全く同じスケジュールにしてます。21に『シーサイド』のゲネプロをしましょうということがあったので、その時間は夜に合わせて。両方やった方がいいかなと思って。
松田 ああ、じゃあ大体これいい感じだと思うんで、これフィックスにするとすれば、あとは20日に2回やっていいですかっていう。僕には見当つかないので、集中度とか。
松田 18日はやりたい。20日の日にいるかって話なんですけど、ご意見があれば。一旦決めといて感じ見ればいいと思うんですけど。
横田 わかんない、想像がつかない。
田辺 やりたい気もするし、でも19日休んでるからな。
松田 じゃあ一応やるでいきましょうか。
川村 19日休みですけど、20日から7日間ずっと続くことになると思いますので、そのこともちょっと念頭に置いてご判断いただければ。
松田 ちょっと今日休もうか、とかできないもんね。
松田 力抜いてやるかね。そんなんできないね、むしろね。
齋藤 時間は今一応20時までにしてますけどどうしますか。
松田 夕方以降が空いてる方がいいかな。途中でご飯食べちゃうよりもそれまでに終わるっていう。食事をしないで済むっていう。

松田 はい。じゃあそれでいきましょうか。
齋藤 今日明日は通しは?
松田 やりますよ。今日が『シーサイド』で。
齋藤 明日が『文化センター』。
松田 はい。
齋藤 あと私からすみません。21日の『シーサイドタウン』のゲネプロと『文化センター』の通しで写真撮影が入ります。22日の『文化センター』のゲネプロは映像の撮影が入ります。
松田 『シーサイドタウン』は撮るんですか?
齋藤 『シーサイドタウン』は初演で撮ってるので撮りません。

松田 照明も今日明日で見ていきます。
杉本 お願いします。

松田 そんなとこですかね。じゃあ20分後、(13時)半から始めましょうか。
鈴鹿 半から始まるのが止め通しってことで。
松田 はい。

松田 一応衣装着ようかな。
鈴鹿 はーい。

楽屋廊下。新聞の取材記事。

──13時25分


川村
 では5分前なので楽屋の廊下暗くなりますよー。

楽屋の廊下が暗くなる。

齋藤 温度暑くないですか。
深澤 ちょうどいいです。
齋藤 照明入って、もし暑くなったらまた教えてください。
深澤 はい。

 

──13時半

 

──ウミ、海を見る場面。

松田 はい、位置どこだっけ。
松田 そのTまで行くとどうなる?

舞台最前のT字のバミリまで来る。

松田 もう一回その手前で。

元の位置に。

松田 ここでお願いします。そこだよね? 大体。
松田 はいはい、じゃあ続けていいですよ。

──夜が明け朝になる場面。

松田 ここは(照明)どうなってるんだっけ。
杉本 ここは、ちょっと待ってくださいね。
松田 (照明の変化が)カクカクなってた気が。(シンジが)歯ブラシでこうやってるところ。
杉本 一度キューを叩いたら何個か自動で明かりが変わっていくようにプログラム組まれてたみたいで、それを知らずに何回か押してしまったのでさっきはカクカクしてしまったんですが、家族3人が退場してからちょっとずつ明るくなっていきます。
松田 まあそこもう一回見ますよ。なんかカクカクならなければ大丈夫です。
松田 俳優は照明が決まりきったところで入ってくるんですか? あんまりそこは拘らないんですけど。
杉本 一番最後の変化が60秒ぐらいかけてあるので、決まりきらないぐらいでみなさん入ってこられるっていう形にはなるかなと。
松田 なるほど、じゃあこれが夜のシーンが終わった後ですかね。じゃあそこからいきましょうか、どうぞ。

──シンジとクルミが会話する場面。

松田 はいはいはい。
松田 あのウミが見て、シンジが見るところ。
横田 ウミが見て、シンジが。
松田 ウミが覗いてっていうところの、クルミの一番最後のセリフのところ。
深澤 「怖かった」
松田 「怖かった」で、ウミさんは何で取ってるんだっけ。
大門 言い終わったら。
松田 言い終わったら。で、見るじゃない。シンジはタイミングどうしてんだっけ。
横田 気配で。
松田 気配でやってるの? いやいいんですけど、今の演出としてはいいんだけど変えようと思って。
松田 えっとですね、シンジちょっと、じーっとゆっくり見る感じにできますかね。
松田 ウミが見た。で、そうそう。段階を追うように、まず視線から行ってみようかな。

目線から順を追ってゆっくりウミの方を見る。

松田 そうそう、もっと首はゆっくりでもいい。
松田 そうやってなんか追っかけてく感じにしようかな、身体は。
松田 ちょっと首が行きすぎかな。
松田 そうですね。それをもうちょっと滑らかにゆっくり行ってみようかな。
松田 それ見て、クルミは振り向いてるんだっけ?
深澤 シンジがこっち向いたなってなったら。
松田 その振り向きもちょろっとゆっくりめでやってもらって。
松田 で、ギイチも…まあギイチ今ゆったりやってるもんね。
松田 うん。それでちょっともう一回。

もう一回やる。

松田
 大門さん(覗くところ)もうちょっとだけ体出して。

松田 はい、ちょっと休みます。40分再開で行きましょう。

 

──休憩します。

──休憩明け。

 

松田 じゃあいきますか。

──シンジとトノヤマの場面。

松田 はい、はいはい。
松田 えっとね、トノヤマの桟橋から落としたってところで思い出すところあるじゃない。セリフなんて言うんだっけ。花火大会の前あたりのセリフ。
生実 「いいかいシンジくん。三十六箇所の着弾地点を割り出して、そこに落ちないようにおれが作業すれば、それはそれで有効な防空政策なんだよ」
松田 ウンウン。そのあとから夏の花火大会の視線に行くじゃない。そこをもう少し明確化してほしいんだけど。
松田 視線が移り変わるところの長さをもう少し引き伸ばしてほしいんだよね。ちょっとしたことなんだけど。漂う視線? 漂うっちゅうか、夏の花火大会の思い出しの視線っていうのがほしい。この場に視覚的には見えないことを思い出す感じの。
松田 早い話が「あれは夏の花火大会の日だった」までセリフの間を空ければいいんですが、視線がなんか、もうちょっと目に見えてわかるようにしてみたいなっていう。
横田 この人(トノヤマ)の視線もあるし、この人(シンジ)も関係ある?
松田 そうかもね。影響はあるかもね。
松田 まあ地図から花火大会への視線の移動のことなんですけど。なのでその一連からやってみてくれる?

もう一回やる。

松田 はいはい、いいんじゃないですかね。ちょっとまあまた通しで。そんなにたっぷりやらなくていいんだけど。
横田 振り向くスピードですか?
松田 いやシンジは特に大丈夫ですけど、トノヤマが視線を外して花火大会に入っていくところとその一連がね。そんな前のが悪いってわけじゃなかったんですけど。あまり入り込まなくても大丈夫です。

松田 じゃあお兄さんの入りから行こう。

シンジが地図の赤い印を数えるところ、機械的に1秒ずつカウントアップしていくのが恐ろしかった。

──最後、ウミがちゃぶ台で寝ている場面。

松田 はい。
松田 ちょっと。

松田 右手がもう少し開いて。



松田 その左手と右手の高さ同じがいいんだけど。
松田 はいはい。で、もうちょっと右手が、指が重なるように。


松田 そうそうそう。
松田 もうちょっと離してもいいかな左手。で、右手も離れてて。

最終形

松田 それが最終形になる感じで。はい。
松田 じゃあそれでもう一回、まああれでやってみてください、ゲネプロじゃない、次の通しで。見ます。ちょっとこう下がりすぎるとオバケみたいになっちゃうから。と言って、その中間ぐらいがいいんだけどね。オバケと今のとの。

松田 じゃあいけるんじゃないかな。じゃあ通そうかな。通しを、何時にします?
松田 16時半に始めたら…終わりは18時? どうですか。
横田 16時半まで行かなくてもいいと思います。16時15分とか?
松田 16時15分にしようか。じゃあ15分に始めますんで。

 

──休憩します。

──16時15分

 

横田さんが「…」と言っている。

横田 や、やります。
松田 (笑)
横田 これ照明、客電は暗くならない?
松田 客電は暗くならない。タイミングどうしようか。
松田 川村さん待ちじゃない?
川村 前回と同じように裏で言いますんで。
松田 じゃあ1分後に、よきときにどうぞ。

 

『シーサイドタウン』通し

お疲れ様です。
88分です。

松田 じゃあ50分から。

 


ミーティング

松田 ウミさん「悪いことはするより〜」ってとことか、全体セリフのボリュームを上げて。特にあの辺はもうちょっと大きくても。
松田 芝居は全然、タイミングとかも。ボリュームだけです。

松田 あとは特にあれなんだけど。割と早かったんだよな。芝居はいいんだけど、なんだろうなって。エモーショナルな感じになってないのがいいなって思ってたんだけど、ならもっとゆっくりになってもよさそうなもんなんだけど。
松田 感じとしては、そんなにこう感情的になってないし弾んでもないしっていう感じで、奇妙ななんとも言えない感じが持続してていい芝居だったんだけど。だからいいんですけどね。ただ尺は短かったっていう。これはなんなんだって話なんですけど。なんで?
深澤 どっかのシーンが特別早く感じたとかあります?
中川 体感ですけど、2秒ずつ長くなった間がいっぱい連なって1分延びたみたいな感じかなって思いました。前回と比べるとですけど。全体的に。
横田 僕もそう思います。一つ一つがちょっとずつ早いというかタイトやなっていうのに言い終わってから気づくみたいな。
松田 待てなくなってるんですか?
横田 でもちょっとこう後付けですけど、間を嫌うみたいな感じは…後付けですけど。
齋藤 私は見てて最初の止め通しから早いなって。
松田 ええ、早いんだってよ。僕わかんなくなってる。なんならもっと早くてもええんちゃうかなって。
齋藤 あくまで比較で、前よりも早いなって。
松田 芝居は悪くなかったけどね。まあもうちょっと置きに行ってもいいのかもしれないけどね。ここを生きるというか。
松田 慣れ始めると先行っちゃうんかな。
横田 どうなんですかね。体感としては慣れてなさの方が強かった。慣れるっていうのがどういうことかわからないですけど。
松田 俳優の方はまだ慣れてないのかね。
横田 前まで持ってた間ではないなっていうのは。
松田 単純に(ハザードマップ上の印の)数数えるところとか早いもんね。
横田 そこは変えましたね。早くしたかったから早くしました。
松田 ちょっと咳き込んじゃったからね。
横田 (直前の止め通しと)2回連続で咳き込んじゃった。あんなんで俺喉やられるのやばいっすね。懐かしい。
松田 懐かしい?
横田 無隣館で平田オリザさんのお芝居出た時、静かな芝居やのに俺だけ声枯らしてて。結構ロングランやって、あの子一人だけ大丈夫かなみたいに。それを思い出して。
横田 ちょっと「発声」とかで検索してなんとかします。
横田 でも数数えるところは早くしちゃいました。普通に秒針ぐらいの早さにしたいなって12月ぐらいから思い始めて。自分のペースでタラタラ数えてるのが恥ずかしくなってきて。
松田 うん、その方針はわかる。まあでもハザードマップ上の印を発見しながらの指差しだから。それが芝居のニュアンスになると確かにカッコ悪いから、でもそのせめぎ合いの部分があるかな。確かに秒針のように先に数えちゃうっていうのもあるかも。
横田 前は確かに発見しながら印がついているところを差してたんですけど、今は差してる手があるだけで実際にあるかどうかは放棄している。
松田 そっちの方がいいなって思うけどね。ニュアンスが含まれたのを表象していくっていうよりかは。
横田 でもこういう早めのカウントでやってても、×印を発見するっていう意識はあるから戸惑ったりします。戸惑うっていうのは、つまり早めにやろうとしてもついついゆっくりになりそうやなっていう。
松田 それちょっと面白いとこだよね、演技プランとして。まあちょっと今度の通しでやってみましょうか。

松田 18日の通しはどっちが先だっけ。
松田 こっちにしましょうか。『シーサイド』『文化センター』っていう流れにしましょう。
松田 23日は『シーサイド』『文化センター』だっけ。
齋藤 逆です。『文化センター』『シーサイド』。
川村 25日は『シーサイド』『文化センター』です
松田 23のことを考えた方がいいのか。じゃあ『文化センター』先にした方がいいか。まあ20日の日にそれやればいいんだけどね。どっちがいいんかね。
松田 21日はどういう順番でしたっけ。
齋藤 『文化センター』『シーサイド』。
松田 まあ21日その順番でできるってことですね。とすれば18日は『シーサイド』先にやった方がいいな。前の日が『文化センター』の稽古なんで。

松田 なんかありますか?
松田 まああの訓練のところもちょっと早かったんかもな。
鈴鹿 スピード自体は、僕そんなめちゃくちゃ早いかなって感じ。
深澤 むしろ初演の時に目指してた小慣れ感、この家族は訓練何回もやってるから小慣れてるって感じにはなっている気はしています。それが良いか悪いかはわかんないですけど。
田辺 動きが速くなってるんですかね、移動が。
鈴鹿 僕のですか?
田辺 いや個人的な導線が。でも僕含め全体かな。
松田 オフになってからの動きとかね。太々しさが失われてるのかもね。もっとどっしりとここにいればいいんじゃない? もうそういうレベルやと思うけどね。細かなことよりも、もうちょっと無根拠にここにいるっていう。
松田 (大門さん)もうちょっと長く寝ていいんじゃないかな。
大門 最後ですか? はい。
松田 そこで2秒長く寝ると90分にね。
鈴鹿 ん? 2秒?
松田 違うか、88分やったんか。もうわからんくなってる。
齋藤 元々初演は95分ぐらいでしたよね。
鈴鹿 初演95分で88分になることある?
松田 もっとゆっくり喋ろうよ。
鈴鹿 7分って相当よ。
横田 いやなんか言葉を手放すのが早いっていうのと、行為をやめる時、ここでハケるっていう時とか、この行為は完遂したっていう判断が早なってる気がする。
川村 でも松田さん的にこれでいいならいいんじゃないですか。遅くしたいんですか?
松田 いや僕の良さが信用ならないです。僕は慣れちゃってるから。時間の方が正確ですよ。やっぱり時間の方が客観性があるから、早まってるのを僕がよしとしてる方が危ないんですよ。

横田 『文化センター』ですけど、立ってて次の動きに行くまでの間、ここ宙ぶらりんな時間になってるなって思うことあります? 今ハケないといけないけど、もうちょっと伸ばしたら宙ぶらりんな時間になるなって思ったりとか。
鈴鹿 横田さんの感覚と合致するかわからないけど、僕は秒数は数えてなくて、いつも感覚の間尺でいってるから、ここでハケるっていうのは頭でわかった上で、客席の方を見ながら時間的な充実を感じて「ここだな」って腑に落ちたところでハケてます。ハケようと思えばいつでもハケれるけど。
横田 その「ここだ」っていうのは再現性は高いんですか。
鈴鹿 わからないです。高いと思ってるけど、実際に時間測ったらちゃうやんけってなるかもしれないし。
田辺 やってて他の人にもうちょっと待ってほしいとかはあります。
横田 それは田辺さんから感じてる。田辺さん、お兄さんとのシーンでもうちょっとあれしたほうが田辺さんは好きかもなって。すいません、話へし折って。
田辺 スピードの間で思ったのは、僕がお菓子を缶から取った後にみなさんが来るのが早いかなって。
鈴鹿 僕きっかけですね。モニター見て、缶開けはったら行くようにしてました。
田辺 手に取ったお菓子を食べるか食べへんかっていうよりも今はちょっと早くて、僕の中ではあと2秒ぐらい待ってほしいなっていうのは。

田辺 噛んだぐらいで来てほしい。

松田 はい、じゃあまあこんな感じで。
松田 (大門さん)靴が新しいね。
大門 ある程度新しい。
松田 ある程度?
大門 比較的。でも前回の稽古でも。

松田 お疲れ様でした。
みなさん お疲れ様でした。
齋藤 みなさんよかったら蔦屋書店の松田正隆コーナーを見て行ってください。
松田 あはははは。
齋藤 立ち止まってもらえたら「なんだなんだ」と他のお客さんも立ち止まってくれるので…。

蔦屋書店の松田正隆コーナー

 

 

2月17日(金)

メインホール裏で待機してた松

今日は中川さんが体調不良のためお休みです。

齋藤 みなさんお揃いですかね。あのちょっと中川さんが昨晩から調子が悪いということでお休みで、今日の稽古の内容をどうしようかという話を。
松田 どうしよう。決めてないよね。
松田 代役って感じじゃないよね。
田辺 中川さんほぼいますしね。
深澤 『シーサイドタウン』はできますよね。今日も『シーサイドタウン』…。
松田 そうする? そうしてもいいけど。
松田 『シーサイドタウン』はできるわな。中川さんは明日復帰できるのかな?
齋藤 聞いてみますけど、日にち薬でよくなるんじゃないかと。
松田 何薬ですか?
齋藤 日にち薬。
松田 日にち薬って言うんですか?
齋藤 おそらく…松田さんに言われるとドキッとする。
松田 なんか状況次第だけど、まあそんな慌てなくてもいいんだけどね。できてることはできてるから。
松田 『シーサイドタウン』もっかいやる?
鈴鹿 『シーサイド』に丸々使うか、代役で福井氏に声入れてもらって『文化』もちょろっとやるか。
深澤 LINEで送ってもらったやつをみんなで話したり。

早朝にLINEで共有された内野儀さんのコラム。

https://rohmtheatrekyoto.jp/archives/column_matsuda2022_uchino/

松田 それ話しましょう。それ話す会。
田辺 『シーサイド』やって、話す会。
松田 まあ別に今日なんもやらなくても、明日『文化センター』丸っこでもいいと思う。で、休んで20日の日に2回通して。21日も2回通すよね。で、22が本番ですから。
松田 だから(中川さんが)明日丸っこ来れるって確証がほしいんですけど、人がしんどいのに明日来れます? ってしんどいよね。
齋藤 まあ連絡はしてみます。明日来れますか? とは言わないですけど、体調どうですか? って。
松田 来い!みたいなの良くないです。いずれにせよ早く回復してほしいよね。

松田 そうなると『シーサイド』が随分空いちゃうけど、だから今日やっとこうか。
松田 …(横田さん)そうでもない?
横田 決めてください。なんでも。
川村 明日なんですけど、例えば中川さんに状況伺って開始時間を少し遅らせるとか。いつも通りだと午前中には出てこないといけないですし。
松田 そうですね。まあ14時にすればいいかなって。
松田 まあ今日はとにかく一日休んでくださいとお伝え願って、ちょっと状況を聞いてもらって、その情報をもとにまた集まりますか。今パッと決めない方がいい。

松田 じゃあ流れとしては(13時)30分からミーティングをする感じで。
齋藤 内野さんのテキスト印刷してきます。

 

──13時30分

内野さんのテキストについて話す会

松田 この内野さんのテキストの一番最後の「エアー演技でもたらされる独特の感覚〜」っていう段落のところが一番ちょっと核心に触れる部分かなと思いますけど……ざね(生実)くん、これ(紙)ありますか。
生実 はい(iPadで見てる)。
松田 この間(1月23日)も稽古の一番最後に、こういう演技形態になった来歴みたいなのをみなさんとちょっと確認したんだけれども、私たちがマイムって呼んでる、まあマイムって呼ぼうがエアー演技って呼ぼうがなんでもいいんだけど、この内野さんのテキストでもエアー演技っていうことの意義っていうか、なんでこういうことをやってるのかっていうことが他者の言葉でしっかり論じられてるなと思いました。まあ位置付けって言ったらいいんかな。なんでエアー演技なのかっていう。その割と核心をついているところがここの部分ですね。

   エアー演技でもたらされる独特の感覚。話していることは理解可能なふつうの言葉なのに、表情がゼロだったり動きが省略されたりする俳優たちの身体が、何も隠さず「ここは劇場ですよ」「これは上演ですよ」「これはフィクションですよ」と声高ではなく単なる事実として観客の前にそのまま置かれた空間の〈いま、ここ〉を生きる。そのことで、劇場/舞台/上演が現実化するというのか、観客たちが生きている現実の時空と本来はフィクションである登場人物たちが生きている時空が、俳優たちが生きている現実の時空を媒介にして、それぞれが分断されることなくゆるやかにつながる。切断することで現実化させるのではなく、切断しないことで現実化させる。

っていうふうに書いてあるわけなんですけど、俳優のみなさんの感覚としては、この辺はどうなってるんですかっていうのを、ちょっとこのテキストをもとに話せたらなって思うんだけど。

松田 「俳優たちが生きている現実の時空を媒介にして」っていうのが、まあいつも毎回そこでやってることなんだけど、それは俳優的にどうなんかなとか。「切断することで現実化させるのではなく、切断しないことで現実化させる」ってのも言い得て妙っていうか、的を得てるなって思うんだけど、言葉としてはよ、言葉としては的を得てるけど、でも実際、具体的にどういう感覚で俳優は舞台上に立ってるのかっていうのがね。
松田 あの僕のテキストがあるじゃないですか、今回書いた。
齋藤 あの、当日パンフレット用の。
松田 はい。みなさんにも共有したけど。
齋藤 印刷してきましょうか。
松田 いや、まあまあ。
横田 メールで来たやつですか?
齋藤 あの当日パンフレットのPDFに載ってた松田さんの演出の文章です。
松田 『シーサイドタウン』のLINEには送ってるんだけど、その文章でいいんだけど。
齋藤 印刷してきますんで、もし他に紙で欲しい人がいたら。
横田 はい。
齋藤 はい。

齋藤さんが印刷してきます。

横田 自分が観客席にいたら、ここはロームシアターだ、俳優が出てきたぞ、照明がついたぞ、ここは劇場だ、上演だ、これからフィクションが始まるぞ、だって観劇しに来たんだから、っていう感じがあるんですけど、出演する俳優たちも同じように、ここはロームシアターだ、京都だ、客席に見に来てくれた人たちがいるぞ、照明が当たったぞ、みたいにここはこういう場所だみたいなことを思うのかなあって。やる方はここをどういう場所だと考えるのかというか、俳優たちが生きている現実の時空をどう捉えてればいいのかって。演劇をする場所なのか。上演をしに来たのか。観客はなんか上演を見に来たっていう強いのがあるけど、俳優は上演をしに来たのか? まあ上演をしに来たんでしょうけど……。
横田 って思いました。
松田 ……んん?
横田 俳優はフィクションである登場人物たちが生きている時空のことを考えるのが得意だと思うんです。登場人物をやる予定があるから。
松田 うん。
横田 で、それを抱えてここに出てきて、生きてる現実の時空? に今出会うわけですけど……。うーん、その生きてる現実の時空側には、なんていうか戯曲はないし場所しかないから。
松田 もうちょっとこの文章を整理すると「観客たちが生きている現実の時空と本来はフィクションである登場人物の時空が、俳優たちが生きている現実の時空を媒介にして」ってところだと思うんです。両方を生きてるのが俳優だっていう。僕はそれをパンフレットでは「分裂を生きる」って書いたんだけれども、現実の俳優の身体はおおむね現在時にいながらその振る舞いは、振る舞いというかマイムは、要するにエアー演技っていうのはここにいながらも別の登場人物の振る舞いをしているっていう。この感覚についてもうちょっと考えてもいいなって思うんですけど。

齋藤さんから紙が配られる。

齋藤 もう全員分出してきちゃったんで。
深澤 ありがとうございます。
齋藤 あとこれも、もしよかったらあります。
松田 ああブレッソン。いや、これは(笑)
横田 あ、楽屋で読みたいです。
齋藤 はい。あそこの府立図書館ですけど。借りてきました。

松田さんのバイブル。この期間楽屋に置かれることに。

横田 出てきてある身振りを、登場人物の身振りをするときに、こう(マイム)やるじゃないですか。こうやったら現実に引っ張られるみたいな。現在時に出てきた人間が想起なのか再現なのかわからないけど、過去の身振りをしてみたら現在時の自分もそっちに引っ張られる。どこで分裂してるのかわかんないですけど、んー、えー、やっぱりこの身振りを始めるっていうのはすごい恐ろしいことやなって。恐ろしいと捉えてなくてもいいのかもしれないけど……。
横田 エアー演技っていうのが、なんかこうちょっと蔑ろな、ソフトにやるとか対象がないとか、リアリティーをそこまで精度高めなくていいから、エアーでなんとなしにちょっとやってみるみたいな。そんなに思い入れもないし、もう型みたいな。練習して練習してやってきたことがそこに立てば、そのバミリの上に立てば出てくる。別にそれを軽く見てるわけじゃないですけど、エアー演技のようにリラックスして軽くやるみたいなことで始まりから終わりまでバーッて行って、自分がフィクションに取り込まれるのを回避し続けるみたいな。
松田 うんうんうん。
横田 そのスタンス? みたいなのはどう、どういうスタンスでここに出てきて……だから現在、俳優たちが生きている現実をガン無視の人はもうガチで思い入れがすごいみたいな……。
松田 ガン無視? ガン無視と思い入れが強いってどういうこと?
横田 あの、俳優たちが生きている現実の時空を媒介にする……んー、ガン無視……?
松田 ガン無視って言ったのは横田くんなんやけどな(笑)ガン無視ってどういうことやろ。
横田 えー? ああ、えええ?
松田 届いた気はしたんやけどね、何かが。
横田 もうわかんないです。ここの文章に書かれていることは自分にものすごい当てはまって、ものすごいわかりやすいけど、詳細はわからない。
松田 そうそうそうそう、詳細はだから俳優がどうしてんのっていう話になるんですけど。

田辺 立ってたら常に切断はされてるなって思いますけどね。例えば、加藤が携帯で写真を撮って「へー」って言った後、次のシーンに行く時には携帯は消えるから、この瞬間は切断だなって。でも『シーサイド』の時はこの切断が、あっ、これをポケットから取ったのに直さなくていいんだ、切断があるからこれを戻すっていうのがいらないんだってなって。今は慣れてるから加藤では出来たけど、『シーサイド』の時はそれが出来てなかった。自分の生活の行為とここに立つ行為とズレがあったからうまくいかなかったような感触があって、戸惑いもあって。
松田 それはリハーサルのプロセスの中でってこと? 最初はうまくいかなかったけど、ところが『文化センター』になったらそれが別に?
田辺 はい、これがホッとするというか。これ(携帯)を取ったけど切断を待ってる、ああもう少しで放せるなって思ってる自分がいる、今は。でもよくよく考えたら普通に生活してても、携帯持って置きました、次の行為に移る時には携帯を置いてることはすっかり無意識化されてて、忘れたように次の行為が始まるから。その感覚を落とし込むと、お客さんにとって馴染みのある身振りさえ表出できていれば、あとは勝手にお客さんの中で想像が働くようになるんかなって。それから戸惑いがなくなってる感じもします。でも『文化センター』で新しく付け加えられた、岸壁で釣りをして待ってるっていうのは自分が体験してない行為やから、どこを省いてどこを増幅させるみたいなことをチョイスして「待つ」っていう行為をまだ掴めてない。そういう時は焦点化するのが難しい。
横田 しっくり来るエアー演技っていうのを探ろうとすることはあるんですか?
田辺 『シーサイド』の時は(シンジとの場面で)ハザードマップをめくるのが怖くて、最初手が震えてたんですよ、(横田さん)見てたと思うけど。手が震えなくなるにはどうしたらいいのかって思ってたけど、途中ぐらいから空間に手を置けばいいんだって思うようになって。それからはあまりならなくなった。けど未だに『シーサイド』の時は一手目がすごい怖いから、さっき横田くんが言ってた、出した瞬間になんか終わるっていうのと近いかも。……伝わってます?
横田 えっと地図があって、地図に手を置くではなく空間に手を置く?
田辺 うん、空間に手を置けるようになった瞬間があって。稽古の時に。
横田 空間っていうのは?
田辺 ここの空間。大体ここだって。机の高さが頭の中に入って、ここに置けば置けるなって。
横田 戯曲に書かれてたかわかんないですけど、「ケンイチ、地図をめくる」というト書きの「地図」に手を置くぞという意識はない?
田辺 ないけど、なかったけど、ふとした瞬間に今日ハマったなって思う時があって。そっからはここ置けばいいんだって思うようになった。
横田 ふうん。
田辺 でもそっからものを持つのは意識するけど、放すのはもうここから切断だからスッていけるようになった。ドア開けて、見て、すぐ(手を)降ろせるなって。こっち(の手)はもう終わってるから。


松田 まあここまでなってくると運動がいくつか選択、省略されてるわけですよね。地図に手を置く運動、動きが、次の動きとまあ連動していくわけですけど、そうやってエアーで行う動きが大体自分の中で腑に落ちていって、本番が近くなってくると大体精度が上がっていく。上がっていった時に今田辺くんが言ったような、地図に置くっていうよりも空間に動きをトレースするようなことになっていく。発話と動きと身振りの洗練度合いがなんかフィックスしていくっていうか。
田辺 はい、頭の中で像が出来ていくっていうか。
横田 手を置いたときに多分手が見られてるじゃないですか。それはどう感じてるんですか?
田辺 『シーサイド』の時は三場から出るけど、みんなはもう先に出てるから既に空間が構築されてる感じがガンガンに伝わってるんですよ。だから初演の時は最初の一手が怖くて落ち着かなかったんです。今は、今はっていうか対比はできないけど、『文化センター』やってるときは、車のシーンで車のドア開けるときにドアの位置は微妙にズレてても車の像は頭の中ではしっかりできてるから、どこで開けても車には乗れるなって気はしてる。でもその車の所作も俳優の手数と選択肢があると思ってて。僕は三手ぐらいしかないけど、鈴鹿くんは五手六手ぐらいあるなとか。そこのチョイスの違いは俳優の感じの違いやなって思って稽古してます。
横田 例えば、車とかものに触れてる手っていう感じもありつつ、ここの劇場の空間に適した手の位置を探ってる感じもある。でも所作が精査されていったら手がどんどん精密になっていくじゃないですか。その際もう車を見る必要はあるんですか?
田辺 いやもう見てない見てない。
横田 見てない、もう手が出てる?
田辺 手が出て伸びたらもう開いたって。本当やったらこうやって身体を避けて乗るけど、その動作ではやらない。
横田 手で取って位置がわかって…もうこの時点で切断してる?
田辺 もう切断。次の行為に移ってる。車やったら次シートベルトだなって。切断接続切断接続。
横田 じゃあもうバッてこう持つじゃないですか。放したらもう無いんですか?
田辺 放したら無い。『シーサイド』を体験する前は、持ったんだから次これの責任があるんだって思ってたけど。
横田 マイムをしたから? マイムをした責任?
田辺 マイムをしたからその後の動作の責任はどうするんかなって思ってたけど、でもそんなんはいいんだって。
松田 次の行為に移すためには今までの行為のマイムを切断する。ドアを閉めるという行為を捨ててハンドルを握るっていう行為に移るためには、ドアが消えてハンドルが現れるっていう。でもそれだけじゃなくて、車を「運転する」っていう連続体の出来事は持続してるし、「運転する」の中にも運動の所作は様々なレイヤーでの組み合わせがあるわけだから。で、今度は「運転する」も消えて部屋に入るとか、それは省略されてるわけだよね。こう単純にどんどんシームレスに切断してるんだけど、反対に接続も都合よくできるっていうかね。さっき田辺さんが言ったのは、エアー演技の良さっていうのは俳優が戯曲上の実感のあるものを蔑ろにしていけるっていう。地図じゃなくて空間に手を置けるようになったっていうのは地図の実感を捨ててるわけだからね。まあでも地図の実感を手がかりにして運動が生まれてるわけだから登場人物を捨ててるわけじゃないんだけど、登場人物性というのは縮小化されてるっていうところはある。

横田 人がやって来てここに滞在する時間が長いほど、そこに言葉とかも挟まってくるほど、登場人物感が増すと思うんです。ものも同じで、ものが触れられている時間が長いほど、ものの登場人物感が増す感じがする。でもその地図に触れず空間に触れるとか、その最初のとっかかりに触れたらその後のアプローチは切断するとかって話でしたけど、登場人物もそれができるんですか…?
田辺 え? ?
横田 ものをどんどん切断して連鎖の流れができれば、登場人物も切断できる…?
田辺 そこにいるから目に見える切断ができるような気が僕はしてるんですけど。見てる人は最初は何が起こってるか分からずに戸惑いながら見るけど、慣れてきたら、ああって気づく。俳優がそこで切断できるからそのタイムラグが起きている。俳優もお客さんも日常生活に置き換えてみるとどこかでそういうことしてるから。見てる人はそこで共通点を見つけて自分の脳内で像を作ってくれるから、僕らは安心して切断ができる…。
松田 うん、そうはいえシンジっていう人物っていうのは割と長くいるから、つまりコンビニで通り過ぎる人物のエアー演技とはちょっと違うんじゃないかっていう問いだよね。キャラクター的にここに居続ける人間はそれを捨てられるのかっていうことですよ多分。
横田 捨てたい。ものの切断と同じように捨てたい。
松田 多分あれだけ長く滞在していると脱ぎ捨てられないくらいいくつものレイヤーがここにはあって。つまり冷蔵庫とかキッチンとかちゃぶ台とか実はあるところにないわけで。登場人物性の問題と俳優のエアー演技で前に持ってたものが次のものに変容していくっていう問題と二つあると思うんだけど、俳優がずっと登場人物でいようがものは消えるよね。例えばシンジの家から車に乗って移動していけば、車に乗ったていでこう動いてるんでしょうけど。ただここに滞在する時間が長いとここにいるだけの場所性、空間性じゃなくって戯曲の方の場所性にまとわりつかれちゃうっていうのがあって。
田辺 今の話を聞いて合点がいったところがあって。序盤からシンジの家の雨戸を開けたりする行為とか台所の冷蔵庫への動線とかずっと見てるから、『シーサイド』で自分がお兄さんとしてやってきて最初の手を洗うところの動作の手数が『文化センター』と比べて多いと思ってて。今は『文化センター』を経験してるからもっと手数省略できるはずだなって思ってるけど、でも松田さんの言う戯曲に要請される行為っていうのもあるんだろうなぁって。
横田 手数が多くなる理由。
田辺 うん。
横田 『シーサイドタウン』は牛乳とか飲むときの冷蔵庫の位置とか洗い場の位置とかも人によってずれるっていうのが、それが目に見えてわかるっていうのがいいなって。最初にシンジが敷いたとしても違う、空間の使い方が全然。
田辺 めっちゃ家の中って限定的で輪郭がはっきりしてくるから。途中から入ってくるお兄さんはなんか居心地悪い。そこにまだ住んでないから。というのはある。

鈴鹿 さっきの切断の話を聞いて僕の話ですけど。僕の演技の中では切断というのは起こっていなくて。というのは松田さんが何度も初演の時から繰り返し語っておられるような、ここでも内野さんがおっしゃっているような上演空間と劇世界の空間の話で。これが具象のセットが組まれるような舞台であれば、それはパフォーマンスの演技としてもある種の役というものへの没入であるとか、第四の壁みたいなものへの意識が強く発生するだろうなというのがあるけど、そうではない。このロームシアター京都に何月何日何時に立っている俳優としての身体と『文化センター』と『シーサイドタウン』の舞台の町にいるギイチないし中野という人間の身体がパーセンテージの問題ではなくて、その両方をもってして舞台上に現れている。僕の中で今は明確に上演空間に立っている僕です、という瞬間もなければ、完全に中野として立っています、という時間もない。パーセンテージでは捉えられない観念的なそれらが共存している時間を過ごしていて、その中でも今はより上演時間の方に立っているとか揺らぎはあるんですけど、これがだんだん自分の中で調律されていく。内野さんがおっしゃるように、マイムってリアリスティックにやる方法もあると思うんですけど、車乗るにしても、ここまでドアを開けたらぶつかるからこう身体を引く、動きを完全再現する、丸々コピーしてくるみたいな。そうすると当然その身体は今の二つの空間だと劇空間の中に100%置かれる。それを逆に上演空間の方を突き詰めると、生実さんが出られた、この前のレクチャーの時に見た『アンティゴネー』のような俳優は立っているけれども頭の中で想起するだけ、というところまで行き着くと思うんですね。頭の中で車に乗っているっていう。その幅の中で「車に乗る」というのを調律している。で、それはセリフも全く同じ理屈で、誰それかの相手役に対して台詞をかける時に、僕が中野という役に対して、いわゆるスタニフラフスキー以降の役作りと言われるものをもってして演技を構築していくのを松田さんはエモーショナルということに傾くのでそうではないと。松田さんがマイムについてやりすぎって言うのと、セリフについてそれが(エモーショナルな方に)傾いているって言うのは僕の中では同じ受け止めをしていて、それによって今の自分の表現は調律されてる。なので舞台上に出ているときに明確に今切れていますっていうのはない、というのが僕の俳優感覚です。

松田 切断っていう言い方が合ってるのかどうかはわかんないけどね。「現在時を切り裂く徒手空拳」というのは、マイムは一応現在でマイムされてるんだけど、さっきも言ってたけど地図に手を置いてるんじゃなくて空間に置いてるだけ、置いてるだけなんだけど、でも地図でもある。地図がないのに地図の感触があるというときに俳優の中で何か現在時とは違うことが起こっているってことですよね。まあそれが演技なんだけどさ(笑)言えば言うほど当たり前のことなんですけど。そうやって「現在」みたいな言い方をするからこういう問題になっちゃうんだろうけど。現在って便宜上言葉として言ってるだけであれなんですけど。
松田 ただ比較をするともうちょっとわかるっていうか。ただそこに立っているっていう状態からマイムだけが選択されていったわけだけど、でも普通の演劇はもうちょっと動くじゃないですか。登場人物として身体の振動があるっていうか、まあ生き生きしてますよね、登場人物として。その登場人物として生き生きしてる感が全然なくなっていくと現在時の今ここに近づくのか、まあそれはわかんないですけど。登場人物として生き生きしてる方が今ここに近づいてるのかもしれないから。まあ生き生きしてるだけでも仕方ないんだけど。

横田 戯曲に書かれている指定のフィクションの場所に劇場の指定のバミリで立って生き生きしたら危ないんですかね。
田辺 (笑)
深澤 もう一回(笑)
横田 戯曲に書かれてる指定の場所、桟橋とか指定のバミリの位置に立って、そこで桟橋にいることに生き生きしたら危ないすか?
田辺 所作として?
横田 所作? なんかな。
松田 「ああ寒っ」とかって言って。
横田 「ああ寒い」って思うこと。「ああ寒い」とよぎった時にそれはもう生き生きしてるんじゃないかって思うんですけど、「ああ寒い」ってやんなくても。でも「ああ寒い」ってやらないと生き生きが伝わらないのか。
松田 まあ模倣とかモノマネとか、演技ってそういうことじゃない? ここは寒くないけど桟橋が寒いってことを表出しないと。
田辺 思おうとするけど「寒いわけあるかい」ってなるかもね。
横田 思おうとしなければ寒いなって感じなくていい?
田辺 でも俳優やから寒いってなったら寒いって思った方がいいかなって。
横田 寒いっていうセリフがあれば。
田辺 うん。


横田 最近はあんまりないですけど、初演の時はウミさんとのとこで花火が上がるところ、ミサイルの話をした後に花火を見るために上空を見る。ただ上を見るだけですけど、その共通項、ミサイルの話をした後に花火見るぞみたいな、そういう個人的なエモさ? それを別に表出はしないですけど、えー……そういうのありません? (笑)
横田 これからする演技、これから待ってる演技に、戯曲が要請するエモさではなくて、ダブルミーニングがかかってそうなところへ向かう演技というか、そこでの個人的なエモさの処理? なんかそういうのありません? どうですか?
田辺 逆に聞きたいんですけど、横田くんは『シーサイド』と『文化』で全然役割が違うでしょ?
横田 はい違います。
田辺 『シーサイド』は側から見てたら横田くんは横田くんなりの情感があると思ってて。『シーサイド』を経験してから『文化センター』をやって、『シーサイド』の時に持ってた情感と『文化センター』のそれに違いはあるんですか。やってて自分の中で生まれてるものっていうか。
横田 『文化センター』はやっぱり、やっぱりっていうことはないですけど、出来事に大も小もないですけど、まあ割と手につきやすいものをやってるっていう感じはあって。万引きをするだったり捕まるだったり、あと海を見るとか。わかんないですけど。で、『シーサイド』でトノヤマが地図を広げてくれて、その地図の指してる方を見るところで、発射地点とかを見る時はただ右の方を見てるだけなんですけど、なんて言うんだろう…。
田辺 『シーサイドタウン』は発話が多いから、発話ごとに起こることがあるだろうけど。
横田 うん、喋んないとやっぱり。動いてるだけだと…意味とかない。喋り出すと意味とかが出てくる。例えば『シーサイド』で「発射地点から伸ばしたら〜」って言われた後に発射地点を見たら、ああ発射地点と落下地点なんだなあって…。
田辺 余計なことを思うってこと?
横田 そう。エモへの、エモへの、
田辺 入り口があるよな。
横田 そう、エモゾーンみたいな。でも『文化センター』はそういう……何でしたっけ? 杉田? 杉田の役はそういう入り口がないから。ただ歩いてたらいいって感じがしてリラックスしてる。
田辺 それで軽めの所作になるんかな。捕まっても軽さが残るんかな。
横田 うん。捕まったことがどうってことはなくて。ただ万引きして捕まった男ってだけ。
田辺 そこにすごいヒントがある気がする。
松田 そのエモさへの入り口って、登場人物性が高まるってこと?
横田 あー、なんか解釈が入るって感じがします。行為に運動に解釈を…。
田辺 つけがちになっちゃう?
横田 解釈をつけがちになっちゃう。名付けがちになっちゃう。
田辺 僕は頼りがちになっちゃう。そこで頼りがちに、つけがちになっちゃう時にどうしてるんですか?
横田 えー……。
田辺 違う違うこれは違うぞって?
横田 あー、田辺さんのその「違う違う」と似たようなことはしてると思います。言葉は多分違うと思うけど。ただ「見る」とか、そういう状態に戻してるって感じですね。こういうことがあるからこう(マイム)してるみたいなのをただ捨てるというか。
田辺 僕はなんか、僕の言葉にすると棒になろうと思って。
横田 ああ、あなたが。立ってるあなたが。
田辺 棒になったら余計なこと考えなくていいから、棒になろうって時々思うようにしてる。
横田 それもありますね。空白を作ろうと、頭の中に。
田辺 そうそうそう。それでよくわかりました。何か共有できた気がする。
横田 何が危険なんかわかんないですけど、立ってる時に危険だっていうか、なんか嫌だなってことに近づきそうになった時にどう過ごすかっていうのを色々やってるんですけど。


松田 登場人物ってギリシャ演劇の中でも……まあギリシャ演劇とは言わなくても良いんだけど、そういうプリミティブな現前性を前提としている上演芸術において登場人物は一番最後に出てくるっていうか、悲劇性を帯びた人物をサンプルとして語り手が紹介するわけですよね。語り手って最初コロスって合唱隊から始まってるわけで、合唱隊ってこの現在時にいて観客の代表でもあって、観客と密接に繋がっている媒介者、メディアでもある。で、そこで話題にされる人物が登場人物で、昔こういう人がいてねっていうふうに人物のイメージが語られていくようになった。自分なりに演劇の発祥というのはそういうふうに考えてるんだけど、僕は徹底して観客に対して語りかけず、登場人物性を重視しようとしてるんです。登場人物を描くのは20世紀からは映画の方が上手になったんだと思うんですよ。景色と共に背景と共に場面と共にいればよくて、ブレッソンのように専業の俳優も必要なくなってくるというのも確かで、そうやって場面上の人物や背景や音を新たに組み合わせることで新たな現実が生まれてくるっていうようなことが映画ではできるんだろうなって。登場人物は最初語り手の分身像として表象されるものだっただろうから、それが表象される面を持った媒体というのはやっぱりフィルムだったり映像ですよね。だから登場人物はイメージとすごく親和性があるし、そっちの方が良い居場所を持てると思う。だけどそうはいえ、演劇で登場人物をもう一度ここで表現するには、というのが問いとしてあったんです。
松田 「俳優が現在にいながら現在から逃れる振る舞いをするのがマイムだ」みたいなことを僕書いてたけど……まあそれは後付けで、最初はマイムしかないなみたいなことでやっていくうちにそうなったから。つまり思い出してる人が思わず前の身振りをやる、というか前の身振りにもなってないですよ。そこにそぐわない動き、別の時間に紐づけられた身振りですよね。それを丹念に構成していって組み合わせた結果、ああいうパフォーマンスができてるっていうふうに考えたいなって思ってます。
松田 だから見えないものを想像しようって要請にはあまりなりたくないなっていうのはあるんです。ここに見えないものがあってっていう想像力の問題じゃなくてね。内野さんそこは慎重に論じてくれてて。「家が見えたよ」とか「車が見えたよ」とかたまに言われたりするんだけど、そっちの問題よりも今ここにいながら、いるのにこの人たち何でこんなことしてんのって、今見えるものをそのまま見えたものとして捉えてほしい。見えたものをきっかけにしてもう一個の像を取り結ぶような演劇じゃない方がいいとは思ったりするけどね。演劇にはそういう面もあるけど、もちろん。
横田 めちゃくちゃ下手くそにやればいいんですかね。「何だよう、見えないよう」って。
松田 (笑)そこは紙一重だからさ。
田辺 一気に難しくなる。像を結ばないって。
松田 (シンジの)窓も無茶苦茶に開けるとかね。「どうなってんだよ!」みたいな。
松田 そこはでも難しいかな、塩梅が。極端な話じゃなくてね。

──鈴鹿さんがお手洗いに。

田辺 しほさん今日あんまり喋ってないすけど。話聞きたいすけど。
深澤 いや、めちゃくちゃ面白いなって。いろんな切り口でいろんな面白みがあるから、何から話したらいいかな。上手いことまとめられない気はしてるんですけど。一番最初の問いの、どういう感覚で舞台上に立ってるのかっていうところで言うと、さっき「切断」っていうワードがいっぱい出てきましたけど、現在のロームシアターとフィクションの町の世界が、私の感覚では綱引きみたいな感じで引っ張りあってるんですよね、自分の身体の中で。でもフィクションとロームシアターの現在の二項対立的なひっぱり方ではなくて、例えば「今日は昨日より視界がいいな」とか、「今日は昨日よりちょっと声が出しづらいな」みたいな個人的なこととか、「今日の出演者はこういう調子で来るのか」みたいな、舞台上でのリアルタイムの感覚に気づく自分と過去に経験した記憶との比較とか、役の感情と自分の中の理性とか、そういういろんな情報の網目の上にいて、その不安定さの真ん中にちゃんと立ってられるかどうか、みたいな戦いをずっとしている気はしていて。
深澤 じゃあなんでそんなことしてんだろうって、なんでそんな足場の不安定な立ち方を、この芝居は選ぶんだろうって。現実かフィクションかどっちかに身体を預けたほうがきっと楽だし、軸があった方が楽なはずなのに、なんでそんな地盤の緩いところにずっといるんだろうと思うんですけど。そう考えたときに、なんか、私は素材であるために、みたいな気持ちがあって。それはえっと、さっき俳優は二つの時間に居れるみたいな話がありましたけど、今現在のロームシアターの時間と戯曲のフィクションの時間と、あとお客さんには、私たちの舞台上にある時間を眺めた上で自分の頭の中で組み立てるフィクションの時間があるじゃないですか。お客さんはフィクションを作ることができる、だからそのために私たちは素材でありたいっていう気持ちがあって。素材であるためには突飛であってはいけない気がするっていうか、あまりに歪な形すぎると素材として扱いづらいっていう気がしていて、レゴブロックみたいな、気持ちで。レゴブロックでは自分でいろんなものが作れるけど、星の形があったらそれは星でしかないし、ツリーの上に飾ろうくらいしかいけないけど…舞台上でブロックであり続けることができればお客さんに渡せるものが多い気がしてる。だから戯曲も演出も用意されている中で、さらに俳優が役の感情を組み立ててそれを技術で構築してしまったら、お客さんに渡るものが少ないと思うんですね。この芝居ではお客さんに渡るものが多い方が、現実空間で起こっている演劇よりも豊かなものが生まれると信じているから、足場の悪いところでずっとバランスを取り続けている気がしています。

深澤 あとは、やっぱりお客さんもずっと見続けて向き合っているのは疲れると思うんですよ、難しい試みをしているので。だから一瞬頭の中でのフィクションの構築から離脱しても、またいつ戻って来てもフィクションの時間が続いている状態を保ち続けるために、この身体が必要なんだきっと、と思っています。
深澤 でもさっきレゴの話をしましたけど、一方で全員がブロックじゃなくてもいいっていう予感もあるんです。というのは、稽古場でもずっと話されている、俳優間でどこまで何を共有するのかっていうことで。松田さんの演出で何が求められているのかっていうのは共有できているとは思うんですけど、じゃあどのバランスでどうやって立つことが正解か、とかって決められないじゃないですか。正解が言語化できない。以前、松田さんがマレビトの会で実践してきたものを話してくれたじゃないですか。あのときなんか、「今ここまでみんなで来たんだけど、このあとどうする? 」って地図を見せられたような気がしていて。実験の途中というか。今は。だから、全員がブロックとして振る舞うことに統一するのではなく俳優それぞれのバランスで立つことで、何が見えてきて何がわかるのかなっていう。そういうクリエーションの時間でもあるよなって思っています。例えば、例えになるかわかんないですけど、『シーサイドタウン』だと横田さんは舞台上に滞在する時間が長いから、舞台に登場してから後半にかけて、舞台上でコミュニケーションを獲得していく感があって。故郷に戻ってきて、初めて会う人や出来事に出会ってどんどん変化していくというか、さっきも話されていた「戯曲のもつ場所性が身体にまとわりついてくる」みたいなことが。でもクルミにはその感覚がないんですよ。ずっと無関心。桟橋から落ちたのが自分の娘じゃないってわかったら、落ちたのがシンジのいとこで誰かに落とされていたって聞いても「あらあら」で終わるし、それが何かの事件に巻き込まれていたって明かされても「それじゃ」でその場を去る。その冷静さのようなものは舞台上にいる私自身にもあって。だから後半の、シンジの積み重ねてきた時間の上に立つバランス感覚っていうのはもう横田さんの中にしかないっていうか。そういう面白さもあるなって話を聞いてて思いました。伝わってるかどうかわからないですけど。

松田 演劇の登場人物は明らかに小説や映画に出てくる登場人物とは違うと思ってて。何よりも演劇は俳優が登場人物の当事者にならないで済むっていう。誰にでもなれるけど誰でもないっていうのが俳優じゃないですか。それを突き詰めてやってるんですけど、僕らのプロジェクトは。福島のことをやる時に戯曲を作る人、劇作家はひとまず福島に行って、あるいは長崎の時は長崎に行ってってことをやったんですけど、特に俳優も行ってもよかったけど、ほとんど誰も行かなかったんですね。というのは、行っても何かを獲得して戻ってくんなよっていうのがあったと思うんですよ。俳優は常に当事者でいられるわけではないし、実はかなり無責任でもありますよね。その人じゃないっていう。登場人物を演じるっていうことを考えたときに登場人物を獲得したようにどこか生き生きとした演劇に対しての拒否反応が激しかったから。映画とか、例えば小説なら紙面上に密着してるからいいけど、目の前の俳優は俳優でしょうっていう。だからこそ、逆に生身の俳優でも登場人物にもなれるんだよっていう不思議も演劇の喜びとしてあるんだけどね、もちろん。何言ってるかわからなくなって途中から矛盾するようなこと言うんだけど。シンジは横田くんとの契約のあり方として、抜き差しならないくらいに何か背負わざるを得ないところはあるんですかね。
横田 いや、そんなことはないと思うんですけどね。でも当事者でいたいって思ってたんでしょうね、今思えば。やっぱり戯曲とか読むと当事者でいたいって思っちゃうし、ずっと思ってたんだと思います。初演は間違いなく当事者でしたね。再演はまだやってないからわからないけど、初演は俺はシンジだって顔をしてた。わかんないけど。
松田 いやそこは難しいよね。ええ加減にやればいいってわけでもないから。
横田 でも僕はその当事者っていうところをただ心が動いたかどうかとかそういうことで捉えてる。人から聞いた話を「へー」って思ったとか、ただ納得したとか。その話に苛立ったとかまでは思わない。その話に怒った苛立ったとかを決めつけると危ないなと思います。「へー」ぐらいの。でもまあなんか、当事者ってなんなんですかね。まあ実感したっていうことなんかな。
松田 物語上のドラマ設定として、例えばトノヤマとの場面で最後の最後はナイフを突きつけられるところまで行くわけで、冗談なのか本気なのかわかんないような感情の状況が起こっていて様々な心の動きが集約されるところだよね。『シーサイドタウン』はそういう情動の動き、それもかなりエモーショナルな方の動きが戯曲上には設定されてるし、上演もそういうふうになってると思うけど、その中で俳優としてはそれをどういうふうに演じてるのかっていう話なんだけど、それは初演とは違う?
横田 初演の時はナイフが出てきたら怖いとか、そういう状態にしようみたいなことはあった。クルミちゃんの話聞いたら「ええ!」ってなるとか、黒子島まで流されて絶対冷たいっしょみたいな。その出されてる情報に反応して怖いなら怖いという身体を作るっていう。初演の時はそれを目指してますね、それの維持を。でも再演の稽古では興味がないですね。落ちた? んん? 知らねえよ、とか。知らねえよとは思わないけど。落ちた、ふーん、そうか、って。もっと悲しんでたんですよ。クルミさん落ちた時とか。
深澤 クルミさん。
松田 ムツミちゃんね。
横田 ああムツミちゃん。落ちた時とか今すぐ行かなきゃって。
深澤 「ちょっと行ってきます」って。
横田 心臓が早いぞ!って。
田辺 行きますって時の勢いが違うもんな。
横田 今はもう…。
松田 いやスピードは一緒だよ(笑)
横田 (笑)
深澤 (笑)
田辺 (笑)
松田 それはでもエモさの軽さが時間に表れてるんじゃない?
深澤 上演時間に。
横田 そうですね、咀嚼してないですから。
松田 ツルツルツルツル言っちゃってんじゃないもう?
横田 言ってません。言い淀みがないんです。
松田 言い淀みとかさ、数え方のリズムとかに変化をつけるっていうのはやっぱり登場人物の感情の表れだよね。登場人物に同化してる部分が多くなってるんじゃないかな。
横田 そう感じてるんですけど、まあそれを放棄しすぎるのもなんか違うのかなって思ってます。
松田 その放棄しすぎる方の受け皿になってる演技体っていうのはなんなんですかね。登場人物に没入する方はなんとなくわかるじゃない。戯曲上に書かれている情感に乗せればいいわけで。じゃあそれを回避する方の手がかりは何で取ってるんですかっていうのはさ。
深澤 でもそれで言ったら私はですけど、初演って衣装があったじゃないですか。今って衣装がなくて自前のというか普段着ている服だから、身に纏っているもの自体が劇世界に引っ張らないっていうのはすごいあります。それが今回一個大きなテーマかなって。やっぱ前回私ヒールがカツカツ鳴るなとか。
横田 ワンピース着てましたよね。
深澤 そうワンピースでヒラヒラすんなとか。
田辺 歩くスピードとかね。
深澤 歩くスピードとか所作とかやっぱり。
横田 スピードは確かに全然違う。
深澤 いつもと違うっていう。なかったですかそういうの? もう忘れた?
横田 いや、でも俺が着てた私服をカシャって撮ったやつが初演のパンフの写真で、確か同じような衣装だったんですよね。ああ俺の服良かったんだなって思って……。
横田 いやすいません。そんなに衣装と私服に差異を感じてない。

鈴鹿 深澤さんのさっき話されてたやつ伝わるかなっておっしゃってたけど、すごい整理されてて、めちゃくちゃ受信しました。
深澤 本当ですか、ありがとうございます。
鈴鹿 二つ聞きたいことあるんですけど、一個は上演空間と劇世界とかいろんなものを綱引き、それも二項対立でない形でその真ん中に立ってたいっていう話でしたけど、僕が今日喋った、役と自分とがパーセンテージでない形で共存しているみたいな話と近しいものを感じて。深澤さんの感覚ではその真ん中に立ててない時はあんまり快くなくて、やっぱり真ん中に立ち戻りたいっていう意識が通底してるんですか?
深澤 そうです。例えばその日の気分とか、止め通しでやる時と通しでやる時って感覚違うじゃないですか。止め通しの時ってやっぱりわかんなくなるんです。あれ今どこだっけみたいな、もうここでやっちゃえみたいな、そういう邪念みたいなのがあったり。止め通しの時はフラフラするっていうのがあって。そこら辺はちゃんと立とうっていう。
鈴鹿 どっちかに傾いてるやんってなったらそこに戻ろうって。
深澤 ここでいいやじゃなくて軌道修正しなきゃ、ぐらいは持たなきゃなっていう感じです。
鈴鹿 ありがとうございます。もう一個がお星様、レゴブロックの一連の話も面白く聞いたんですけど。これも同じようにレゴの中にビー玉があるとか輪ゴムがあるとか子供が拾ってきた枝っきれがあるとかは全く望まないみたいな感じなんですか?
深澤 いやでもそれが、こないだ私が年末でしたっけ、鈴鹿さんの演技体がちょっとわかんないみたいなこと話したじゃないですか。あの時はレゴブロックはレゴブロックであれって思ってたんですよ。でも全体のバランスとして見た時にビー玉とか星があった方が遊べる人もいる。全体の素材として見た時にこれがあってもいいなって思ったんです。
深澤 でもわかんない。前回松田さんが今までやってきた取り組みの地図みたいなのを広げてくれたと思ってて。今ここ歩いてますみたいな。目指したい方向はこっちな気がするけど、よくわかんないけど今はここね、みたいな。ああじゃあまだ何も決まってないじゃんって、素材としてどういうものがあればいいかとかまだ何も決められる段階ではないし、まだゴールじゃないんだなって。
鈴鹿 さっき深澤さんのお話聞いて、あの時(年末)お話しされていた演技のスタンダードみたいなところを話し合いたいっていうのは、このレゴの話に繋がってるんだなって。僕もベースは今のお話と近しい感覚を持っていて。自分だけお星様になりたいともビー玉になりたいとも思ってなくて。ただまあ瞬間瞬間でレゴの形も変わりつつ、ずーっと同じ2×6のパーツでもないし、でもある種の演技体の幅の中でやってるみたいな。そのレゴの話が聞けてよかったです。ありがとうございます。
深澤 いえいえいえ、良かったです伝わって。

鈴鹿 演技体がレゴだとしたら、僕から見て深澤さんのレゴはシェイプがかっこいいなと思いますね。
深澤 シェイプ?
鈴鹿 形が。
横田 シェイプ?
鈴鹿 形が。うん。
横田 形?
鈴鹿 いや! レゴにずっと準えてたからね! レゴ話。
横田 レゴ語?
深澤 レゴ語ね。

レゴ語?

鈴鹿 同じレゴの形にしても子供がずーっと齧ってたら傷が入ってたりとか、新品やったらツヤツヤしてるとか、あるいはレゴの中にもいろんな形があるじゃないですか。
深澤 色とか。
鈴鹿 色も含めてね。その抽象的なイメージとしてシェイプがかっこいいっていう。それは深澤さんの舞台に立つまでの準備とかも含めて。別におべっかではなく。
横田 座ってくださいよ。裏で腰をかけてくださいよ。
深澤 どういうこと? (笑)
松田 なんですかそれ?
横田 深澤さんあんま腰掛けないんです。
鈴鹿 松田さんが全く知らない深澤さんやと思います。
横田 腰掛けてください。
田辺 どっぷり劇世界にいたはる。
横田 それは違うでしょ。
深澤、鈴鹿 ハッハッハッハッハ。
田辺 ちょっともんちゃん(大門さん)助けて。
深澤 もんちゃんずっと後ろにいる。
鈴鹿 それは皆さんそうなんですけど、それぞれ持ってるカラーが。
田辺 でも楽屋の居方ね、ざね(生実)くんも違うもんね。
横田 そう、ざねくんが全部教えてくれたらわかんねん。ざねくんが教えてくれたらわかんねん、と思うねん。
鈴鹿 ワッハッハッハッハ。
横田 ざねくんに聞くのが一番早いねん。
鈴鹿 そうですね。
深澤 今までのね。
田辺 これまで我々が経験した過程をすでにね。
横田 見て勉強してるけど、わかんない。
生実 僕はその辺歩いてる青年が劇場入ってきたわって感覚でやりたいなって思ってたんですけど、やっぱり上演って自分にとっては非常事態っていうか、めちゃめちゃ緊張するから、やっぱり非常事態に耐えられるようなメンタルにして、その辺歩いてる青年…じゃないなもはやくらいの感じになっちゃっても仕方がないかって。
深澤 それは初演から? 初演の時はまだ青年だったんですか。
生実 理想として持ってたんですけど、毎回できんなぁって。
鈴鹿 毎回身体も緊張するしドキドキするし。
生実 そうですね。その辺歩いてる青年でいられなくなった。
深澤 なった。
横田 いいねえ。なんか曲出す? その辺歩いてる青年でいたい。
生実 歩いてる青年なんですけど、いざここに入ってくると…。
松田 どういうこと? (笑)
横田 ええ(笑)めちゃくちゃいい言葉じゃないですか!
松田 いや曲って何? (笑)その辺歩いてる青年でいたい?
横田 っていうタイトルで。
横田 戯曲でもいいです。

横田 うん。好きな言葉がいっぱいありました。お兄さんのあれも好きです、空間に手を置く。
田辺 前も言ったで僕。あの初演の時に。
横田 ごめんなさい。前の俺じゃわかんなかった。
深澤 今響いた。
横田 素材ね。素材も。


松田 もうちょっと喋ると、ダンスってなんだろうってこともよく砂連尾さんとも話したりしてて。砂連尾さんは教えてくれないんだけど。演劇でここまで舞台装置がなくなって身振りだけになった時、でも我々がやってる身振りは社会的というか観客もわかる身振りとしてあるから、この人たちは戯曲上のことを何かやってるんだってことでそれが演劇として維持されてますけど、ダンスと言葉の関係っていうのはどうなってるのかなって。特にコンテンポラリーダンスだけれども、ダンサーが言葉を内在化して身振りを振り付けていくっていった時の、ダンサー自身にはその内面は分かってるんだけど、観客にはその表出された動きの意図とかはわからない、けど踊ってる感じを見てると面白いっていうのがあると思うんだけど。まあそういうもんだよねダンスって。

松田 僕が“てい”の演劇って呼んでるのは、雨が降っている“てい”でいてくださいって言った時に、雨は降ってないけど、従来の演劇だと傘をこうやって差したりすることで雨が降ってんだなってことが記号的にわかる。けど、ただ立ってて上を見上げるぐらいでは雨の中に立ってるってことはもうわかんないじゃないですか。こないだ皆さんに見せた『アンティゴネー』はそれに近かったよね。あの人たちは今あの時にいる“てい”で色々想起してるみたいな。それはでも想起ってことだけれども、この省略形の演劇の中でも今は山に登っている“てい”です、とかあるじゃない。それとかは身振りで観客にわかる感じだけど、まあ“てい”の演劇に近いわけですよ。言葉を内在化させて、そいつはそのつもりでいるっていう状況。目一杯“てい”を充満させること、山登りの“てい”を充満させることで俳優はそこに立てているみたいな。その塩梅を突き詰めていってる感じが今の状況だと思うんです。ラジオが聴こえている“てい”、踊っている“てい”。それは演技とは違う。演技っていうのは観客との契約関係がかなりはっきりしてるというか、この上演空間上で関係性がしっかり共有されている状況って言ったらいいんかな。だから既存のあらゆる記号を総動員させて、その演技がどういう演技なのか観客に承認されなきゃいけない。その承認を目的としているのが演技なんですけど、まあそれは僕の考えですよ。“てい”はその承認は必要ないっていうふうに考えたら、俳優の身振りは極端に省略化されていく。もう行き着くところはこの人宇宙に行っている“てい”とかさ、なんでもいけるわけだよね。空を飛んでいる“てい”とか。それは使いすぎるとつまんないけど。ただもちろん従来の演技もその“てい”の部分はいっぱいあったと思うよ。身振りによって表出するものと俳優が省略していってそこにいる“てい”でいいんでっていうものと、そこの塩梅をもうちょっと切り分けたんですよ。演技の中にも“てい”もあるだろうと。そのていの演技をもうちょっと肥大化させたら、まあこういう感じになってきた。鍵を開け渡す動作も目線も交差してなくていい、そういう辻褄を無理して合わせなくても別にいいんじゃないかっていう。だけど、なんかその場その時にあった調律の仕方があるだろうから、なんでもいいってわけじゃない。視線が取り結ばなかったり、俳優同士が触れ合わなかったり、舞台上のエモーショナル度というか熱量がガクンと下がって、ただそのガクンと下がった分なんらかの現象、また違うことが起こってるっていうのが、この演劇が熱くならないで済む理由なんだけど、それはなんだっていうことですが……見失ったね。何の話でしたっけ?
田辺 今はダンスから。
松田 ああダンスか。ああそう、言葉を内面化してどんどん表情を失っていったんです。ただそういう演技に最初から適合性がある人だったんですよ、生実さんは。大門さんも割とそういうところはあると思う。いやわかんないけど本人は。だから他のところに出たら大門さんもすごいエモーショナルなふうになるんかな。


松田 大門さんどうですか、ここまで聞いて。どういう感じで演技してますか。
大門 あんまり考えてこなかったから、もうちょっとちゃんと考えなきゃなって。
田辺 もんちゃんに聞きたい。袖でもんちゃんのセリフ聞いててね、めっちゃよく聞こえるときと同じ声量でも聞こえないって時があって、それはもんちゃんの中でもあるんですか。
大門 どういうことですか?
田辺 えっと、セリフの中の強さ? 言葉がダイレクトに伝わってくる時と伝わりにくい時があるんじゃないかなって聞いてて思ってて。もんちゃんは同じように言ってる? 戯曲に書かれてある内容、わかりやすく言ったら『シーサイドタウン』の言葉と『文化センター』の言葉って違うけど、同じように言ってるんですか? 読み方とか。
大門 同じように、ですね。二つで変えたりとかは。
田辺 ほんなら深澤さんが言ってたみたいに真ん中にいる感じ? 揺らされない?
大門 そうですね。
田辺 綱引きもされてない?
大門 綱引きも、されてない。
深澤 さっき言った生実さんの理想系ですよね。
横田 え、大門さん友達とか見にきた? 初演。
大門 初演は誰にも言ってなくって。
深澤 あれでも家族は見に来たよね。
大門 家族は来ました。
横田 なんて言ってたの? 私を見て、娘を見て。
大門 なんて言ってたんだろう。すごいねーって言ってました。
横田 それは、すごいねーっていうのは、セリフいっぱい覚えたんや、とか?
田辺 (笑)
横田 いや、ほんまにそうです。親ってそんなもんじゃないですか。ようあんな覚えたなって。
松田 親ってそんなもんだよね。それ一番言うんだよね。
大門 幼稚園の時の劇でセリフを言えずにそのままフリーズして先生に連れ去られたことがあって、だからお母さんとか本当にすごいヒヤヒヤしてたみたいで、何もなく終わってよかったねって。
鈴鹿 僕らのやってることって、もちろん人によっては違うよってこともあると思いますけど、めちゃくちゃ平たく言ったら、覚えたことを決められた順番で言うあるいは動くみたいなことで、それをどうやるかとか、どうすれば自分の中で成立するかってことを我々今日ここまで数時間話してきてるわけですけど。大門さんは僕の思うそれを実行する能力が高いと感じてて。覚えたことを決められた順番で言ったり動いたりするっていう。それは大門さんが初めて演劇やってますっていうのともまた違う大門さんの持ってるパーソナリティや能力だと思うんです。僕は本番前やったら緊張するから体をほぐしてみたり、噛まへんように「あいうえお あいうえお」したりするわけですけど、別に言いたくなかったら言わなくても、わからなかったらわからないでも大丈夫なんですけど、何時からやりますってなってやるぞってなるじゃないですか、そうなったら大門さんはどういうふうなことをやるのか、そもそも緊張したりするのかって、その辺はどんな感じですか?
大門 考えたらすごく緊張するから、何も考えずにそのまま始めます。
鈴鹿 シンプルでいいですね。ありがとうございます。
田辺 でももんちゃん時々ストレッチしてるやんな。
大門 ああ。あれはちょっと、痩せたくて。
田辺 痩せたくてか(笑)違うんや。変わったと思って。『シーサイドタウン』の時ストレッチとかしてなかったよなって思って。
横田 やっぱ演劇用のストレッチじゃないっていうのがいいですよね。
田辺 そうやんな。痩せたいからって。
深澤 美容(笑)
大門 むくんでるって言われたから。
田辺 それすごいな。舞台のためにストレッチしてるんやって思うやん、なんかこっちは。
横田 そういう恥ずかしい行為を我々はやってきたんだって。
田辺 そうかあ。勉強なるなあ。
松田 でも臨むまでのルーティーンはあるんじゃないの。
横田 そのドツボにハマってるんですよ。そのルーティーンをこなすことがおまじないみたいになって。
深澤 こなさないとダメなんじゃないかみたいに。
横田 イチローでもなんでもないのに勝手に自分でルーティーン作って。
田辺 験を担いでね。

横田 非常事態の感じが似てる感じがします。生実くんと大門さん。
田辺 でもざねくんはめっちゃ楽屋で準備してる。
横田 めちゃくちゃ緊張してますよね。
生実 はい、ルーティーン。

松田 すごい喋ったね。
横田 おやつ食べたいです。
深澤 糖分。
田辺 トイレ行きたい。
横田 トイレは行ってくださいよ。そんな我慢しないで。
田辺 いや我慢はしてない。そろそろ行きたい。
横田 そろそろ行きたいって我慢してるじゃないですか。
松田 おじいちゃんみたい。そろそろ行きたい。
松田 どうしようかね。とりあえず…。
齋藤 あの、中川さんとさっき電話で話しました。
松田 え?
齋藤 中川さんとさっき電話で話しました。割と元気そうでまだ食事はできてないけど、大分歩けるようになったと。
田辺、深澤 歩けるようになった? ? ? ?
齋藤 そう言ってました。明日は大丈夫でしょうとのこと。
横田 ずっと寝込んでたから。
松田 昨日何食ったんやろうね。

松田 どうしましょうかね。
深澤 16時15分です。
田辺 16時15分。
松田 やめときますか。
横田 僕は『シーサイドタウン』やりたないっすね今。
松田、鈴鹿 あははははは。
横田 こんな喋って、で、何あいつこの後の演技って。
田辺 あいつなんも変わらんかったぞみたいな?
松田 じゃあ『文化センター』やる?
鈴鹿 めちゃくちゃ正直に言うと結構お腹いっぱいではあります。やりたくないではないですけれども。
松田 まあじゃあちょっとおやつ食べて、10分後ぐらいに再集合して、話し足りないことがあれば話して。

田辺 すいません。ごめん真逆のことを言う。えっと声が掠れたじゃない、昨日2回ぐらい。
横田 僕?
田辺 うん、あのシーンだけやらない?
横田 やりましょうか。
田辺 前もあったから。
松田 不安なの?
田辺 不安というか、いや本人が不安だと思う。
横田 いや俺は別に…。
田辺 あれ不安じゃないの?
横田 いや俺があの、喉弱いだけなんで…。
田辺 ほんまぁ?
松田 とりあえず休んでらっしゃいよ。休もうよ。それで決めよう。今決めなくてもいいよ。

 

──休憩します。

──休憩明け。

 

松田 どうしますか体力的に。
田辺 体力的に大丈夫ですか。
横田 大丈夫です。
田辺 急にやる気スイッチ入ってるけどやるの?
横田 え? 大丈夫です。
田辺 大丈夫ってやるってことですか?
横田 そうです。
田辺 他の皆さんはどうですか?
田辺 しほさんは。
深澤 委ねます。
横田 長く喋った後にやるの怖かったけど、でも今しかできないんじゃないかなって。
松田 まあちょっと休んだほうが良くないかな。
田辺 やるなら。
松田 影響がなければいいけど、明日以降。
田辺 明日やったら休めるというのはあります。
横田 やるっていうのは通し?
田辺 通しでしょ。
横田 それはちょっと話が別です。抜き稽古とか。
田辺 昨日のシンジの声がおかしくなったところはやったほうがいいんちゃうかなって。

松田 どうしようかな。
横田 後半だけやるとか。
松田 照明的には?
杉本 照明的にはどっちでも…。
横田 後半はどこから?
深澤 ドライブ? イエーイのとこ。
田辺 でも横田くん最初からの方が気持ちの持続があるやろうから。
横田 それはちょっと、え、どう?
横田 でもなんかやる! やりたい!

松田 後半やるか。④から、④、⑤、⑥と。⑥までだよね。
松田 じゃあ20分後で。(16時)50分から。

 

──休憩します。

──休憩明け。

 

横田 もうすぐやります。
松田 まあ良きところから。ウミの出ぐらいから?

 

『シーサイドタウン』ウミとシンジの場面から最後まで通し

お疲れ様です。

ミーティング

松田 「市役所の向こうの臨海病院です」のところのシンジの着替えやけど、もう一手間欲しいな。
横田 着た後に。

上着を着てムツミさんのいる病院に向かう場面。

横田さんが「? 」と言っている。

松田 うんうん。
松田 それで走るとこもハケ口に残っちゃってんだけど。そこどうしようかな。
横田 どう見えてますか?
松田 ワーッて。
横田 湾曲して、カーブしてますよね。
鈴鹿 走ること自体があれですか?
松田 なんだろうな。なんか急いで行くぐらいでいいのかな。
横田 万引きの後ぐらいですか? 急いで出るみたいな。
松田 ちょっとやってみて。

万引き後のスピードで。

松田 万引きのあとそんな(スピード)?
横田 早歩きぐらいで。
松田 そうね、それぐらいにしようかな。今ダッシュすぎてさ。
鈴鹿 唯一風を感じるところ…。
松田 あと靴履けよって感じだよね。
横田 ああ、一手間靴にしますか?
松田 いや、靴はいらないよ。でもなんであの人靴履かないのってなるよね。みんな脱いでるよ、ここに上がる人は。
横田 (笑)
田辺 お兄さん脱いでないです。
松田 お兄さん脱いでないな。なんかこの家の人は脱いだりなんやしたりしなくていいんじゃないかな。でもトノヤマも脱いでないよね。
松田 もうそんな…なぜならこの家の人間だからって。戯曲解釈みたいになっちゃったよ。
松田 でもなんか気になってきちゃったね。
横田 全員脱ぐ?
松田 いやあ。

松田 まあ芝居は良かったんじゃない? 咳き込まなかったし。
横田 一回喋ったからですかね。温まったから。
松田 芝居はなんか見えた感じしたけどね。
田辺 前のバージョンに戻った感じ。初演の時の。
横田 ハリがある感じ。
松田 もうちょっと機械的になった感じしたけど。情緒がない感じ。
松田 地図の印数えるところもね。二人になってからちょっと棒読みになってたよね。意識したんですか。
横田 そうですね。俺田辺さんを急かしてたかもなって、セリフが早いかもなって。だからそれは直して、のそのそと。
松田 やりとりもよかったよ。変な間にもなってないし、エモくもなってないし、奇妙な感じで推移してたけどね。
横田 棒読みっていうのはどこで判断するんですか? 感じとして。
松田 でも単調になっててあんまりニュアンスがなかったなっていうぐらいです。

松田 (最後のケンイチの)「おーいシンジ」っつうのデカかったよね。
田辺 ああ、抑えます。
松田 ちょっと情緒入りそうかなって思ったんだけど、そうでもなかったかな。
田辺 最初は入りそうやったから修正しようとは思ったんですけど。
松田 まあまた、塩梅を見て。

松田 えっとギイチが入ってきて、シンジも前向いてってところあるよね。④の一番最初のところ。
鈴鹿 「今さっき見つかったみたいだけど〜」
松田 うん、そこ(大門さん)こう動くよね。そこの振り返り早かったかな。
大門 今日そこ音が聞こえなくて。
松田 そこ速度ゆっくりで。
大門 ゆっくりで。

松田 最後お兄さんが帰った後の(ウミの)窓に行くまでの動きとして何があるっけ。
大門 特にないです。
松田 あそこに向かうまでの滞在が短いかなって。もう少し時間かけて、もう少し間を置いて窓に行って欲しい。もうちょっとゆっくり全体やってくれたら。寒くなるまでの間。

松田 あれ(最後)ちゃぶ台の前立ってるじゃない? あれどうなってるの。
大門 どうなってる?
松田 頭の中は。
大門 なんか光がすごくて、まぶしいから本当に眠たくなって目がしょぼしょぼしてます。
松田 私は隣の家のちゃぶ台の前にいるっていうイメージは持ってる?
大門 一応…あれシンジの家ですよね?
松田 うん、そうだけど。そういうイメージを持ってて眠くなってる自分がいて。
大門 はい。
松田 いや、そうしろああしろってことではないんだけどね。中身どうなってるんかなってのを聞いただけです。こっち側の現在の方に意識を引っ張られてるっていうことだよね。
大門 今日とかはちょっと声大きくしようと思ってたからちょっと早かったかもしれないです。喋る速さとかいろんなペースが。
松田 一番最後のシーンに関しては自分は現在にいる感じですか? ちゃぶ台の方にいる感じですか?
大門 なんか照明に照らされてるのが自分的には夕陽に照らされてる気持ちで。本当にぼーっとしていく感じというか。
松田 じゃあ現在浴びてる光をウミが浴びてる光に夕陽に変換してる感じを意識したって感じなんですか。
大門 昨日から照明が入ってからは。
松田 なるほど。
松田 眠っちゃうじゃない今度。そこではウミを呼ぶお母さんの声も聞こえない感じですか?
大門 うっすら聞こえてます。
松田 光は?
大門 目を閉じても光は感じるのでうっすら。まだちょっと浅い眠りぐらいの感じです。
横田 そのうたた寝って気持ちいいんですか? ぽかーっとして、実感としては。
大門 そうですね、目閉じてからは。
鈴鹿 そっから秒数で取ってるんですか。
大門 はい。なんとなくは。
松田 はいじゃあこんな、なんかありますか。

松田 なんかありますか。齋藤さん。
齋藤 明日はどうしますか、開始時間とか。
松田 行けるならそのまんま行こうか。問題あるようなら14時にして。
松田 いずれにしても明日は『文化センター』を止め止めで。その後に『文化センター』の通し。で、やりましょう。

松田 じゃあ終わります。

お疲れ様です。

終わってから照明の具合を少し確認しました。

 

 

2月18日(土)


齋藤
 じゃあ松田さん、みなさんお揃いだと思いますので。
松田 やろっか。
松田 まああの今日は『文化センター』を止め止めでやって、最後通すと。流れとしてはそれでいいかな。まあ止め止めの中で一回だけ休憩して、終わってちょっと多めに休憩して、まあ18時目処には終わろうと思いますが。

松田 はいじゃあ。
鈴鹿 ご提案というかご質問なんですが、今回『シーサイド』は映像を撮らないという話を聞いて、かっこいい映像編集がなくても定点でも映像がアーカイブとしてあるというのが、将来僕や誰かが見たいと思うのかわからないですけど、後世に残る資料としてアクセスできるようにしておいたらいいんじゃないかなと思って。
齋藤 一応初演の上演映像はあるのと、今回のもここ(ロームシアター京都)のビデオカメラでよければ毎回撮れるので。逆にどの通しから撮りますか?
横田 本番の方がいいんじゃないですか。
松田 定点で一個撮っといた方がいいかもね。
齋藤 ゲネプロも撮りますか?
川村 いつでも撮れるんだったらゲネから。
齋藤 ではとりあえず本番はいつでも撮るようにしますんで。
鈴鹿 ありがとうございます。

松田 じゃあ(13時)20分から始めましょうか、15分置いて。


横田 万引きのところ椅子どうしましょうか? 前どうするかの議論があって。
松田 ひとまず大門さんで。また見て止めるかもしれないです。

 

──13時20分

──吉村、杉田と出会う場面。

松田 杉田の「おはようございます」大きかったよね。「おはようございます!」
松田 吉村「なんですか」も元気よかった。
中川 元気よかったです。

──辻井の家の場面


松田 えっとですね、(おじいちゃんのエプロンを)こう巻くじゃないですか。その前におじいちゃんの状況を見てっていうか。
松田 ちょっと対面じゃないけど、前から見れるかな。進行方向の方から。

松田 ここにおじいちゃんいて。

松田 こう。

深澤 おじいちゃんってテレビ見てる感じでいいんですよね。
松田 はい。だから(テーブル)回り込んで覗き込むような。ちょっと一手間入れて。

──キャンプ場に着いて。
吉村「鍋とかもありますね」

松田 はい止めましょう。
松田 まあ今のところ大丈夫かな。
松田 (合田さん)音も大丈夫です。バッチリです。
松田 オッケーです。特に問題、特になかった?
深澤 これ見切れ線はどこらへんですかね。客席組む前は袖で目視でやってたんで、どこで待機してたら。

深澤 ここまで出ると客席からめっちゃ見えてますよね。
松田 全然見えてていいですよ、むしろいてください。そういう構造になってるから。いないていでね。
松田 一番見えるところで目視してください。
松田 出て来るときの足音も立ててもらって。アプローチの音も大事なんで。

 

──休憩します。

──休憩明け。

 

衣装を着替えてきた横田さん。

松田 なんで一人だけ衣装変えんのよ(笑)
横田 いや、最初衣装でやるの忘れてて…。
横田 あと最後のプレゼンに。これ松田さん気に入ってたよなって。
松田 さっきとパンツもスニーカーも違うでしょ。
横田 全部違う。
松田 全部違うやん。さっき全部トータルでいい感じやったやん。
横田 今これランニングシューズなんですよ。フラフラする。走るところで。
松田 自分としてはどうなん?
横田 僕はなんもないですよ。
松田 嘘ぉ。
横田 自分は持ってくるけど決めるのは松田さんですから…。
松田 いや決まってたで。
田辺 まだ服変わる可能性ありますからって楽屋で言ってました。
松田 ちょっとじゃあ並んでください。

並んで見る。

横田 緑いるなーって。
横田 水色もいるなーって。

松田 これはこれでいいよね。
松田 なんで途中で変えるのよ(笑)
横田 いや衣装でやることが頭に入ってなくて…。
松田 ちょっと前のやつでやりましょう。みなさん待っててください。

川村 お色直し。

松田 なんか一人だけでもロゴが入るよね。

元のやつ。


松田 
まあ緑緑してないよ。
松田 これで行こうか。
松田 (前の)ちょっとぼやっとしてるなとは思ってたんで。こっちの方が締まる気がする、色的に。
横田 この文字の意味だけが不安なんですよ。なんかすごい意味だったら。

“SCMH”と書いてある。

松田 いやいやいいですよ、それで行きましょう。『シーサイドタウン』も。
松田 じゃあ行きましょう。毛布から。

──シチューを食べ、おいしいと言う場面。

松田 えーっとね。「おいしい、おいしいおいしい」の「あはは」を、今「んふふ」なんだけど、もうちょっと笑い声の方が。「あははは、あははは」って。
松田 なんか首が右左に。
松田 今中川さんがやってたやつ。

中川 あははは。


中川
 え、みんなでやりましょう。
田辺 僕もやります?
松田 うん。でもあんまり合わせなくていいよ。

あははは、あははは。

松田 もう一回ぐらい。
松田 深澤さんだけ最後もう一回。みんなで揃わないで。
松田 うん。

──焚き火の場面。

松田 はい、そのまましてて。やや中川さんそのまま後ろに。
松田 加藤、やや後ろの平行移動。いや自分の後ろ、上手ね。
松田 もうちょい行って。
松田 はい。はい。
松田 いけそうそれ? 取れる?


松田 中川さん、ややもうちょっと下がっていいかな。
松田 はいそれぐらいで。
松田 どうぞ。いいよ流れで。

──万引きした杉田が連行される場面



松田 はい、えっと。ちょっと次は……この人誰だっけ。
横田 杉田。
松田 杉田。横田くんって言いたくなかった。じゃあ次は杉田が(椅子を)取りに行くバージョンでお願いします。

改めて杉田が取りに行くことになった。

──万引き後の港の場面。

田辺 あれ、わかんなくなった。
田辺 寝るところ先やったっけ。
松田 光。
深澤 光です。(キャンプ場で)寝るの無くなりました。
田辺 あ、そっか。申し訳ありません!
松田 出てくるところからで大丈夫よ。

──加藤、吉村が光を目撃する場面。


松田 ちょっと待ってね。どうしようかな。
松田 (視線は)中川さんの方向がいいと思うのね。
松田 加藤はなんでそうしたの? 今までああしてたでしょう。
田辺 今まで非常灯目安にしてたんですけど、消えてわからなくなりました。
川村 (上階の照明スタッフさんへ)本番時ぐらいまで落とそうか、普段の本番ぐらいで。落とし切った状態で目安見つけてもらった方が。

暗い。

松田 見つけられる?
田辺 はい。
松田 じゃあそれで行こう。どうぞ。

──神長、里岡からのLINEを読む場面

壁沿いに椅子のように待機する四人。
ここで初めて使い終わった椅子の存在が活きてくる。

──最後の駅の場面からカーテンコールまで

松田 (加藤が手を下ろすのが)早い早い。
松田 まだ。
松田 音楽が止んで10秒にしましょう。
松田 みなさん入るタイミング大丈夫ですか。
深澤 はい。
松田 (加藤が中央に)寄ったらサッと入ってきて、ここの二人の間にならないようにね。


松田 そこお兄さん、加藤と距離が近いですけど。
松田 はいはいはい。
松田 まだ近いけど。
松田 まだ早いけどね。手。
松田 はいこれで行きましょうか。
松田 じゃあ通しますね。

鈴鹿 寝て起きて明るくなるのは(タイミング)何でされてますか? (起きるのは)自分の間でいいんですかね。
松田 自分の間でいいですよ。
杉本 一応60秒ぐらいかけて明るくなっていくって決まってて。きっかけとしては「中野くん毛布余分ないかな」ってところから3秒ぐらいして。
鈴鹿 わかりました。ありがとうございます。

松田 (16時)半からやろうよ。30分休みでいいですかね。中川さん大丈夫? 終わり早い方がいいか。
中川 でも30分で大丈夫です。
松田 じゃあ(16時)30分からやります。

 

──休憩します。

 

松田 ざね(生実)くん全然出ないよね。
松田 もうちょい出てもらうか。あの釣りのところとか。

急遽出ることに。稽古はせず通しでぶっつけで見ます。

 

──16時30分。

 

松田 じゃあ2分後ぐらいに行きましょうか。
松田 あの釣りのシーンで、田辺さんが釣りしてる時にみんながいっぱい出てきてるところ、ざねさんも出てくるんで、気にしないで。

自転車で舞台上を通過します。

松田 自転車やったら山感がないからいいと思う。

『文化センターの危機』通し


お疲れ様です。
97分です。

 

ミーティング

松田 あのスーパーとかキャンプの朝の向こう側の(辻井と吉村の)声とかはもうちょいボリューム上げてほしい。コーヒー淹れてるところのおはようとかとか、キャンプの食材を色々やってる舞台の後ろの方に向かうアプローチのところ。
鈴鹿 単語が大きく聞こえるというよりかはモニョモニョが大きく?
松田 モニョモニョが大きく。単語は鮮明じゃない方がいいんだけど。
松田 「人となり」って言ってた。
鈴鹿 「人柄」です。

松田
 僕そんなん書いたっけって。わかるもんだね。

中野の「彼女の人柄〜」というセリフが「彼女の人となり〜」になってた。

松田 辻井の長い台詞のところで、なになにって言えるしってところの語尾っちゅうか、なんかよくわかんない台詞の羅列なんですが、そこがはっきりしなかったね。それもうちょいボリューム上げていいと思う。音楽と共に。鮮明にもうちょっと。
深澤 わかりました。
松田 まあ芝居全体は良かった。ひとまず。


松田 (ざねさんの)自転車どうしよう。
田辺 (笑)
松田 あれ酔っ払ってるの? あんな蛇行してる自転車海落ちちゃうよ。
鈴鹿 面白かったです。
松田 いやあれでいこうか。まあ次見ますけど。

松田 あとは尺が97分になってんのかな。4分ほど延びてるそうです。『シーサイド』は減って、これは延びてっていうのはどういうことなんだろう。
松田 動くからかな。減るはずなんだけどね。寝るのが一個減ってる分。
深澤 でも若干ですけど、今までは袖の舞台上が見えるところできっかけ取ってたのを、今は足音でもきっかけ取れそうなところはスタート位置を今は2、3歩後ろからにしてみてて。そういうのの積み重ねとか?
松田 まあそれはそれで大丈夫。芝居はたっぷり、ある意味ちゃんときっちりやってんだけどね。これ以上間が空かないようにはしたいけど。
松田 ということであんまり気にしないで。
松田 あと3分で100分だね。95分ぐらいがいい気がするけど。
松田 何の根拠もない。

深澤 一個確認したいんですけど、私が町の市民として出てきて電話するところ、どのセリフぐらいまで持続してたら。今は横田さんの「ちょっと待って」ぐらいでしゃべれなくなるというか、もういらないかなって黙っちゃう自分がいるんですけど、どのぐらいまで電話のモニョモニョを。
松田 うん、今ぐらいまででいいんじゃない。それまでは聞こえてほしい、むしろ。うんまあそれで行きましょう。

松田 自転車が入ったからちょっと長くなったってことないよね。
松田 自転車で4分増えるはずないから大丈夫です。

松田 なんかありますか。齋藤さん。
齋藤 みなさん明日は京都マラソンです。マラソンの選手が控室としてロームシアターを使いますので忘れ物とかあっても取りに入れません。明日は我々も来ませんのでお願いします。
川村 お願いします。
横田 京都マラソンはどういうルートで?
齋藤 知りません。

松田 体調も含め整えて、優しく体を労って休養してください。楽器のようなもので、手入れしてください。
松田 お疲れ様です。

中川さん大門さん、使っていたクッションを片付ける。

齋藤 ここにマラソン選手は来ないので大丈夫です。

明日は一日休みです。

 

 

2月20日(月)

 

稽古前に松田さんから送られてきたLINE。

松田 あの、今日2回最後まで
松田 あ、(集合時間)まだか。でも揃ってる?
中川 生実さんがいない。

──生実さんを待ちます。

松田 木ノ下歌舞伎見たいね。
川村 木ノ下歌舞伎を見たいという意見が。
齋藤 それをするためには一回通し稽古をやめるか本番を中止するかしないと。
松田 冗談です。東京で見に行けば良かった。
松田 こんな機会じゃないと見れない。岡田さんだしね、見たい。誰も見てないんですか。
深澤 見てないんですよ。
横田 見てないです。
松田 なんかずっとKAAT(神奈川芸術劇場)でやってんじゃないかって思ってたけど、めっちゃ近くでやってた。それも知らなかった。

──生実さんが来たので。

松田 はい、えっとですね。『文化センター』に関しては止め止めでちょっと気になったところを、基本はもうランスルーで通していきますけど、ちょっと止め通しして。『シーサイド』に関しては概ね止めないと思います。よっぽどのことがなければ。セリフがどうとかこうとかあったとしても頑張って続けてください。ないと思うけど。
松田 割と二本違う演目をやるっていうのがね。混乱するよね。
松田 (昨日田辺さん)今ここはどこ状態になってたもんね。
田辺 あれはカットされてたシーンがカットされてたっけって
松田 集中力が、身体的にも心理的にも集中を要するので。

松田 (横田さんのスウェットの前面のプリント)気になるロゴやな。一人だけ文字。
松田 気になっていいんだけど。いや衣装いいですよ。

齋藤 今日あの撮影で入る嶋田さんがもう一回『文化センターの危機』見に来られると思います。
松田 じゃあ通し何時からやれば?
齋藤 何時からでもいいですよ。
松田 何時からがいいですか。まあそんなに長くとっても13時)20分ぐらい?
横田 (ウンウン)。
松田 じゃあ20分から。


『文化センターの危機』止め通し

──辻井、吉村、朝の出勤の場面。

松田 うん、はい。中野「おはようございます」を言い終わって、しばらく(キーボード)打ってから(後ろに)いきましょうか。
松田 じゃあ吉村から。

中野「おはようございます」

松田 (中野)それ何してんだっけ。
鈴鹿 コーヒー取りに行って、飲んで、資料見てっていうのを。コーヒーの飲み方ですか?
松田 いや、コーヒー取って戻るタイミングをこっち(辻井)に合わせなくても。
松田 そのあと辻井が向こうハケるのは今までのタイミングで取れますか?
深澤 私ですか? 私はもんちゃんきっかけで。
松田 大門さんは何で出てくるの?
大門 (辻井が)着いて出るのが8秒ぐらいです。
深澤 私が。
松田 じゃあオッケーでしょう。もう一回吉村から。

──中野、中庭で通りかかった庄司に声を掛ける場面。

松田 えっとね。中野が「よっ」て言って、ぺってやる(掌を下げる動作)のがちょっと流れすぎっていうか。もうちょっと庄司が立ち止まって「よっ」の後、追ってもう一回やるじゃん。
鈴鹿 「よっ」
鈴鹿 「うい」
松田 その「うい」を対面してやろうか。
鈴鹿 「うい」
松田 その「うい」の後の戻りがあしらってる感じで早いんで。なんかね、そうなるとわざわざやってる感が薄れて、つまり世話っぽくなる、雰囲気が出ちゃうので。「よっ」で「うい」って。

中野「よっ」

中野「うい」

松田 うん、それだとまだ。
松田 もう一回言ってみて。
鈴鹿 「よっ」
松田 一発目はいいんだけど。「うい」
鈴鹿 「うい」
松田 うんそれで。もっかい「東京~」からいきましょう。

加藤「じゃ」

松田 「じゃ」はもうちょい「じゃ」のスピードはさっきまでのやりとりに釣られないように。ちょっとゆっくりになってた。もっと軽くで、ゆっくりにならないように。
松田 もう一回やっとこう(笑)同じところから。

加藤「じゃ」

──里岡、万引きを見つける場面。

松田
 はい。(万引きを見つけた里岡の)「あ」をやめますんで、あそこ。そこもう一回やります。
松田 大門さんのそのセリフから行こうかな。「雑誌コーナーの」。どうぞ。

もう一回やる。

松田 はい。「あ」をやっぱり入れます。すいません、もう一回お願いします。
松田 芝居は全然大丈夫なので。「あ」が入るか入らないかだけ。ごめんなさいもう一回やってくれる?

里岡「あ」

松田 はい。じゃあちょっと10分休みます。

 

──休憩します。

──休憩明け。

 

松田 はい。じゃあ行こうか。

──辻井、ラジオから音楽をかけて揺れる場面。

松田 ちょっとこう、両手上げようか。



松田 もう一気に行っていいけどね。
松田 踊ってるってどうすればいいんだろう。

松田 ほかは?

 
深澤 こうすると『シーサイドタウン』(の方の振り付け)ですよね。
松田 ジャミロクワイはどんな曲だっけ。

またジャミロクワイをかけてみます。

♪ Jamiroquai / Alright


松田 (辻井の振り付け)あ、片手いいね。
松田 うん。いやそれでいいよ。
深澤 座ってる方々は?
松田 座ってる方々は今のままで。深澤さんだけで。
松田 はいじゃあどうぞー。

──港の場面。

松田 はい。ええっと。そこの中川さんのラインがなんか真っ直ぐなんだよな。
松田 ちょっと待ってくださいね。
松田 えっと。もうちょい田辺さん前に。中川さんやや下手にもう一歩ぐらいまで行って。そのまま真っ直ぐ、舞台ツラの方に進んで。ちょっと半歩ぐらい下がろうか。で角度はそうですそうです。


松田 (杉田が)椅子を置くよね、置いたら初めに出てくる人誰かな。
松田 田辺さんが出て、でいきたいな。
田辺 (杉田が)椅子置いたらすぐ。
松田 うん。
松田 それでえっと、ちょっと鈴鹿さんと中川さんがもうちょいスピード落としめで。後の二人は大丈夫。割とゆっくりだよね? 今は。
鈴鹿 はい。もうっとゆっくりで?
中川 私も?
松田 うん。
鈴鹿 はい。田辺さんのスピードとは違うっていうことで。
松田 そうです。
鈴鹿 わかりました。

もう一回やる。

松田 えーっと。うーんっと。横田さんは次どっから出るんだっけ。
横田 奥から出ます。
松田 じゃあ奥から去って。
松田 ちょっともう一回お願いします。ここ何回かよく見たいところなんで。
松田 じゃあ椅子から行きますね。

──加藤、光を目撃する場面。


松田 えっとね、ちょっと上半身、なんか対応が(身体)全体で受け止める感じになってまとまっちゃってるから。ちょっと手だけで受け止めてみようかな。
松田 なんか分離して、まず手で受け止めて、その後足が来るとか。大げさは大げさなんだけど。
田辺 はい。ちょっとやってみます。

──テントで寝る場面。

松田 はいはい。それキープで位置。

照明の明暗の際に立つ。

松田 (田辺さん)あんまり行きすぎるとこれみよがしになるんで。
松田 あんまり前行くより見えてる方がいいんですけど。
田辺 ちょっとずつわかってきてるけど、まだ位置が
松田 そんなシビアじゃないんで大丈夫ですよ。

松田 吉村の「大丈夫」っていうのは、(もう一回)やんなくていいけど「大丈夫」の発話がもう少し遅れて大丈夫。前にやる手の動作が先行してて、なんか言わんとしてるっていう。まあ明日見れれば。
松田 じゃあ続けます。

──加藤、車を降りて中野と別れる場面。

松田 はいはい。わーーー、「えっ」て、加藤が立つのが一手間ない方がいいから。
松田 中野の「わかりました」聞かないでいこう、流れで降りて。
松田 最後の立ってるのが際立つのは流れた方がいい気がしたので。
松田 もう一回「明日から仕事」から行ってみよう。はいどうぞ。

──加藤と杉田、駅の場面。

松田 はいはいはい。田辺さん、手降ろしてから一気にやらない。
田辺 忘れてました。
松田 降ろして、余韻を噛み締めて、切るっていう。余韻が。

松田 えっと岩田じゃない、誰だった?
深澤 杉田?
松田 杉田。杉田見失うな。なんで?
松田 杉田今ちょっとぼんやりしすぎだけどね、セリフが。
横田 今のところ?
松田 あとはいいんだけど。「東京に行く」とか「どちらまで」とか、なんかぼんやりというか、なんだろうね。力がない感じ。疲れ果ててここまで来た感じが。次の町でも監視するぞみたいな意志が感じられても困るけど。とはいえ疲れ果ててても困る。
横田 会話っていうことですか?
松田 うん。少し身を入れてもいいんじゃないかな。少し脱色しすぎじゃないかな。
横田 わかりました。
松田 音量とかは関係ないんで、ちょっと通しで明日見ますけど。
松田 田辺さんの返しが遅いけどね。ちょっと雰囲気出そうって気になっちゃってるから、もっとスッて言っていい。重みがあんまり出ないようにした方がいいと思う。

松田 はい、じゃあお疲れさんでした。とりあえず休みましょう。まあ45分、1時間とる?
横田 今何時ですか。
松田 1545分。
横田 ご飯食べますか。
みなさん(食べない)。
横田 じゃあ45分で。
松田 45分間でいい? じゃあ16時半スタートで。
松田 先に一回集合します。それから少しして始めます。

 

──休憩します。

──休憩明け。

 

松田 (踊るところ)祭り感。
深澤 確かに、祭り感。
松田 ちょっとスナップが効いてると。

松田 グーよ。

松田 じゃあ始めますか。(16時)36分ぐらいに。
松田 シンジの出に任せます。

『シーサイドタウン』通し

シンジが走らずに早歩きでハケるようになったからか、その後のクルミとウミのやりとりが乾いて聞こえやすくなった印象。

お疲れ様です。
94分です。



ミーティング

松田 最初のウミの立ち位置だけど、もうちょっと先じゃないかな。今日赤(のバミリ)で止まってたけど。
大門 もうちょい前ですか?
松田 黄色だと思う、今日赤だった? 大丈夫?
大門 はい。

松田
 (ギイチの訓練の後のセリフ)「座布団です」。「ざ、ぶ、と、ん、です」っていうの。
鈴鹿 今日3拍になりました。
松田 そこスッて言った方がいいかな。

松田 クルミさんの長ゼリでこっち見て喋る時、右手をもうちょっと離そうか。
松田 右手をちょっと離して、ふんぞり返ってるような感じ。

戯曲上では縁側に腰をかけていることになっている。


松田 (ウミのセリフ)「何かをされることには備えるしかない」だっけ。
大門 そうだと思ってます。違いましたっけ。
松田 ちょっと聞き取りにくかったね。そこ言葉立ててもらえると。

松田 まあ靴紐じゃないかな。今日靴紐がシャッシャッて。

今日は大門さんが歩くたびに靴紐が床に擦れてシャッシャッと音を立てていた。

大門 出るまで気づかなくて、出た瞬間に音がし始めて。
松田 出る前にルーティーンで確認しようか。準備万端整えてね。
松田 (横田さん)また咳き込んだ。咳き込みはどっかで来るの?
横田 ここ4回やって3回咳込んでる。ちょっとタバコをやめるか
松田 タバコ?
鈴鹿 禁煙か。
横田 いつもやる前に飲むやつを今日は忘れたのもあって。
松田 どこかでやっぱり来るね。疲れがあると来るんかな。
横田 いや、まあちょっと。ちょっとずつやっていきます、やることを。ケア。
鈴鹿 これまであそこで芝刈りのところでハケるときに水飲んではったじゃないですか。冬の稽古でむせてから飲んではらないっすよね。
横田 そうっすね。
鈴鹿 あそこで飲んだら?
横田 裏行ったら水飲むっていうの徹底して、いや水じゃないのかな、あったかいお湯かなんか持ってきといて。
松田 割とデリケートなんかもね。
横田 苦手なのが、こう向いた時に喋るみたいな。
松田 いいよそれ、むせるよりは。
横田 検索してみます、むせない方法。
松田 難しいね。ちょっと二日目の後半だから割と。前半だったらまだね。
松田 25日は前半だっけ。
川村 25日は前半です。
松田 まあ24日は一回だけだからそこまで。それ関係ないのかな。2回見たから負担がいったんかなと思ったけどそういうことでもない?
横田 あんまり関係ない。なんか入っちゃったらこうなる。
松田 まあそれはうまいこと入らないように。
松田 割と大変な、芝居が壊れるみたいな感じにはなるから。舞台上に何もない分俳優に負担がいくような感じなんかもね。まあちょっと気をつけて。

松田
 あとは94分。おかしいね、なんでやろう。今日は間が空いてたよね。どちらかというとこないだの88分の方がよかったなって感じ、芝居は。まあ色々あったからっていうのも、出来はあんまり今回はよろしくなかった気がします。
松田 前半はよかったんやけどな。あの寝るところ、お兄さんが来て終わりの間はよかったんやけど、そのあとは間延びしたっていうのはあったんかもしれん。

松田
 ちょっと照明の車(ドライブ)のところってあんなにコントラスト立ち上がってたかな。
杉本 一応変えてはないんですけど、まあ確かにちょっときついかなって
松田 きついかなって感じですね。後ろにキッパリ影がつきすぎかなって。もうちょっと全体明るくてもいいかなって。
杉本 わかりました。
松田 あとはいいかな照明。

松田
 そんな感じですかね。なんかありますか。
松田 終わってから照明のその部分だけやりましょう。
松田 じゃあ全体ダメ出しとしては終わりです。

齋藤
 じゃあ明日の確認だけしていいですか。

明日のスケジュールの確認をした。
その後照明の確認をした。

照明の調整

松田 これがいいです。こんな感じだと。
松田 ありがとうございます。じゃあオッケーです、私としては。
松田 じゃあ終わりましょう。お疲れ様でした。
みなさん お疲れ様でした。 

お疲れ様でした

田辺 齋藤さん……
齋藤 ああ。ちょっとセレモニーがあるので、大門さんちょっとそこにいて。
田辺 今日大門さん誕生日でしょう。

大門さんが誕生日とのことで、田辺さんが発起人となってバースデーサプライズが計画されました。

大門 わぁ、ありがとうございます。
鈴鹿 ハッピーバースデイトゥーユー ハッピーバースデイトゥーユー ハッピーバースデイディア大門さーん ハッピーバースデイトゥーユー

おめでとうございます

田辺 もうバシッと開けていいよ。

紅白大福

大門 おお。
大門 美味しそう。
田辺 食べましょう。
大門 食べましょう。

横田さんが大門さんのために買って自転車で持ってきたケーキ。

横田 最悪や。
横田 クマが「ハッピーバースデイ大門さん」ってメッセージ抱えてたのに。
松田 僕らの芝居みたいやね。再編集しないとわからない。

 

 

2月21日(火)

今日は『文化センターの危機』の通しと『シーサイドタウン』のゲネプロ。
両作品共に記録写真の撮影が入ります。撮影はカメラマンの中谷利明さんです。

松田 まあじゃあ『文化センター』から。何時から?
田辺 (13時)半?
松田 半でいい?
横田 半で。
田辺 はい。
松田 じゃあ半で。

──通し準備。

松田 間違えて来る人いないかな、木ノ下歌舞伎と。
齋藤 そしたら観て行ってもらいましょう。
松田 いくつかスクリーンがある映画館とかでよくありますよね。
齋藤 木ノ下歌舞伎と間違える人はいないと思いますけど、『シーサイドタウン』と『文化センター』を間違える人はいると思います。「あれ? これ昨日見たのと同じだ」って。

 

──1330

 

『文化センターの危機』通し


お疲れ様です。
98分です(押すの忘れてたから+30秒)


川村 間取りますか?
松田 はい。(15時)20分からやりましょう。

 

──休憩します。

──休憩明け。

 

ミーティング

松田
 えっとあの、神長のLINEで読むとこがもうちょっと早い方がいい。しっかり読みすぎ。ちょっとだけど。
松田 それと(焚き火での辻井の)踊りからセリフの感じは良かったけどな。
深澤 そうですか。
松田 「中野さん」って踊ったままシームレスに言ってもいいんじゃないかな。
深澤 マジですか。
松田 なんか(手首)曲げてたね。
深澤 昨日の手首のスナップを効かせて。
松田 ちょっと角度ついてるぐらいで良いんだけどね。
松田 まああれはあれでいいんだけどね。なんの踊りかわからん。


松田 えっと中野と加藤、最後(車内の)加藤ちょっと顔怖いんだけど。
田辺 本当ですか。
松田 深刻になっちゃってる。
田辺 緩めます。前のシーンから引っ張られてる気はします。
松田 引っ張られるってどういうことですか。
田辺 エモに引っ張られる。
松田 エモってるってこと?
田辺 エモってはないと思います。
松田 ちょっとでも危ないんだけどね。光を浴びてから。
田辺 光が本当に眩しくて、今。夏の稽古でやってたときと違って光と共にエモに引っ張られる感じがする。

松田 まあちょっと緩やかに。今顔がちょっと険しくなっちゃってて。悪いことしたかなって。面倒なキャンプに巻き込まれちゃったなってあんまりならない方がいい。謎の男感があった方がいい。
松田 まあそいで、ちょっとワンテンポ遅いかな、車二組。吉村と辻井も。微妙なんだけど。
松田 あの無人駅のホームの二人(加藤と杉田)はうまくいってて。お金を渡すのだけちょっと、そこまですんなりいく必要ないけど。やり取りがすんなりいったら、必ずどこか一個起点になるところで間を空けられるから。まあだからトントン拍子にいって、ある程度の間を詰めた芝居ができてたら、その後どこかで有効な間を使えるから。まあその辺を俳優間でも考えてもらって。

松田 あとはなんかありますか。
中川 一個、中野の「寝袋持ってきました? 」で「あー」のところ、その後に私が「パン切ってください」って言うんですけど、前より「あー」が延びていってるから、いつ「パン」を入れたらいいかなってヒヤヒヤしちゃうんですけど、その延びていってる感じは見ててどうですか。
鈴鹿 僕の理解では、そこの「あー」を延ばしてほしいっていう松田さんのオーダーがあって、最初はそれに僕がうまく応えられてなかったんですけど、今は特に言われなくなったので、うまくいってるのかなって。かつ「パン切ってください」のセリフは、僕の感覚だと「あー」を待ってくれなくても、被ってもいいのかなって思ってました。
松田 (「あー」を)止めたい?
中川 いやなんか、本当はここでは「あー」は聞こえてないと思うんですけど、別の部屋にいるから、この空間でやってるから聞こえてるってことでしかないんですけど。セリフを食うみたいなのがそういう芸みたいなことになっちゃいそうだなって。でもそういうことに決まれば、被ろうってことだったら全然。
松田 うん。被ろうでいいんじゃないかな。
松田 今日語尾が強かったけどね。「パン切ってください!」
中川 はい、ヒヤヒヤしちゃったんで。
田辺 僕が「え? 」って言っても「あー」が続いてるから、もうそれを切ってしまって。
松田 うん。被っていいです。
中川 わかりました。
松田 むしろ加藤の「え」の後に合わせるぐらいでも。
鈴鹿 今よかったらセリフだけでもやってもいいですか。ゲネまでのところでできればいいんですけど。
松田 芸っていうのは確かになって。やってみる?
田辺 やります?
中川 みんなの前でやった方がいいですか? (笑)
田辺 あとで端っこでやる?
中川 私は身体がないとわからないので。
鈴鹿 じゃあまたゲネの前に。
田辺 やりましょう。
松田 まあまあ、ある程度で止めたら? あれ以上延びる必要はないです。まあ延びてるってことが有効に働いてるから延びててもオッケーなんだけど、切れるなら切った方がいいかな。

松田 他になんかありますか。
大門 スニーカーが私決まってなくて。今履いてるこの青いのと、覚えていないと思うんですけどシンプルなグレーの。
松田 覚えてないな。
大門 日によって変わっても大丈夫?
松田 いいです。
大門 いつも気分で変わってるから。
松田 それでいいんじゃないかな。どっちでもいいですよ。
松田 辻井さん(の靴)はこれでいいんじゃない。
深澤 大丈夫ですか? 今日始まってから「あ、履き間違えた」って。本当はニューバランスの。
松田 どっちもニューバランスだよね。
深澤 そうです。これ(中川さんの履いてるそれ)の色違いのグレー。
松田 ニューバランスの方が合ってるかなって、衣装には。
深澤 もんちゃんがグレーだとグレー被りに。
横田 これソールが金なんですか。
深澤 金です。
横田 めでたくていいんじゃないですか。金ってね。
松田 それでいいんじゃないですか。ニューバランスが二人同じだからね。
深澤 わかりました。よかったです。

松田 はい。じゃあこんなとこですかね。
川村 みなさん開始の段取りは特に?
松田 あの上手袖のカーテン開けっぱでいいかなって思いました。俳優も見えちゃっていいかなって。

上手袖のカーテン

松田 ……嫌? 嫌か。
深澤 特にわちゃわちゃするようなことはないですけど、出入りぐらいなので。見えてよければ大丈夫ですけど。
松田 何か問題ある?
川村 それこそ(俳優さんが)嫌かなと。
深澤 初演の『シーサイド』では閉めてくださってて。
松田 いや、あの開演前に開くのがなんか、始まるぞ感が。開けっぱだと一手間減るしね。俳優さんは気にせず行ったり来たり、堂々といてくれたら。
深澤 わかりました。
川村 わかりました。
松田 袖で基本見えるのも気にしないでもらえると。
松田 あとは大丈夫です?
齋藤 大丈夫です。
松田 じゃあ『シーサイド』に向けて。
川村 予定通り17時スタートでよろしいですか。
深澤 今何時ですか?
川村 もうすぐ1540分です。
松田 まあ17時でやろうよ。
川村 じゃあ10分ぐらい前には暗くして、17時ちょうどにまたアナウンスを入れて。
松田 はい。お疲れ様です。

──休憩します。

深澤 ずっと両手上げてた方がいいのか、片手の時間も…。
松田 手をもうちょっとグーに。
松田 これ(手首のスナップ)がなければよかったけどね。
松田 まあただあれもあれでおもろかったけどね。
深澤 もうわかんなくなってきた(笑)

深澤 でもずっとジャミロクワイは流れてました。

松田 「中野さん」のセリフのところはちょっと改めて感があったから、やっぱり最初は少し踊ったままシームレスに入ってみて。発話とかはよかったから。後半全体よかったから。やりとりもね。
深澤 明日はじゃあシームレスにやってみます。

ロビーに掲示されている公演ポスター。

松田 かっこいいよね。
松田 欲しいよね。
齋藤 本当ですか。ぜひ。
松田 うん、欲しいよね。いらんけど。
松田 大きいから、置くとこが。

川村 では1分後アナウンスで始めます。お願いします。

事前に収録された開演前アナウンスが流れる。
声はロームシアター京都の枡谷さん。

松田
 なんか腹立つな(笑)
松田 後の英語の人のはとてもいいけど。聞き心地がいい。
齋藤 これは字幕のオペの山田さんですね。
松田 両方この人がいいよね。

 

『シーサイドタウン』通し


お疲れ様です。
90分です。



ミーティング

松田 今日よかったでしょ。芝居は。
松田 いやまあかなりよかったんじゃないかな。

松田 一回照明落ちたのは?

機材トラブルで一瞬暗転しました。

杉本 確認してるんですけど、PC関係ではなくて。藤原さんとも話してたんですが原因がわからず。もしかしたら信号線のところが原因かなと。全部一緒に落ちたので。
松田 それは大丈夫ですかね本番は。解決しそうですかね。
松田 まあ機材トラブルなんで仕方ないです。すぐに立ち上がったんだよね。
川村 あと楽屋電気が一瞬点いたんですけど、警備さんが押し間違えたようで。見えてたかわかりませんが。
松田 いや見えてましたけど、あんまりああいうのは特に。でもここ(場内の電気)が落ちるとやっぱり影響は、芝居がよかっただけにね。


松田 重心が下がった感じがしたね。どっしりと。でも重くなる感じでもなくリラックスしてて。とはいえそんなに、タイムも90分なんでそこまで間延びもしてなくって。
松田 まあまあ発話も割とメリハリがあったなって感じがしたけど。その辺のギリギリのラインを攻めてるわけで。エモーショナルにギリギリなる手前で終わってる感じはしてるんだけど、エモーショナルな部分というか、そういうのがある方が見やすいのかもしれないけど。安易にノリノリの演技にはなってなかったんで、よかったんじゃないかな。
松田 まあ安定してたよね、シンジが調子良かった。楽器が良くなってたね。身体が。
松田 あのざねくんもね。でもノリにならない冷静さもあったし。その辺のせめぎ合いがうまくいってたかなって。

松田 なんかありますか。
松田 中川さんどうでした。


中川 今日は言葉がよく聞こえてきて面白かったです。言葉もよく入ってくるし、セリフを聞いている人の顔もよく見えて。(クルミの)「何時だと思ってるの」ってところでトノヤマの表情が怒ってるように見えるなとか。全体がよく見えて見通しが良かったです。

松田 まあちょっと見えたかなって感じがしましたけどね。完成形、一つの到達点の芝居だったんじゃないかなって。まあこれを指針に、基本線にしていったらいいかなって。まあまあどうブレてもこの線を維持して、よく準備して120%ぐらいで臨んで。いろんなアクシデントがあったりするだろうからね。
松田 『文化センター』も良かったですよ。
松田 という感じですかね。なんかありますか。
齋藤 あと明日の予定の確認だけできれば。

予定を確認しました。

松田 はいじゃあ。せっかく早く終わったんで、明日のために休んで。
横田 今日は映像見たかったなぁ。芝居がよかったから。もう思い出せない。
齋藤 すいません。今日撮ろうと福井さんと話をしていたんですが、すっかりカメラを忘れていて。急遽私のスマホで撮ろうとしたんですが、7分しか撮れてませんでした。
横田 7分? ?

齋藤 すいません。

松田 じゃあお疲れ様でした。
みなさん お疲れ様でした。
齋藤 中谷さんもお疲れ様でした。
中谷 お疲れ様でした。面白かったです。頑張ってください。

松田 お疲れ様です。いい芝居だったよ。

 

 

2月22日(水)

急遽会議が入ったとのことで、松田さんが10分遅れます。

齋藤 松田さんが10分ほど遅れるそうなので、例えば全体15分集合とかにしましょうか。
川村 松田さんの準備もあると思うので、1320分集合とか。

──1320分集合に。

13時5分、着。

松田 すいませんちょっと、色々あって。
松田 まあ特にないんですけど。昨日の良かった通しを思い出して。
横田 今日はやんないですもんね『シーサイド』
松田 やる? 『シーサイド』。
横田 今日僕はもう『シーサイド』の台本は持ってきてませんから! 『文化』のことに集中。


松田 はい。じゃあ14時?
川村 はい。
松田 いつも通り14時に。
川村 14時にアナウンスが入る。
松田 全く本番と同じようにしてっていう。
齋藤 ロビーにあるテレビモニターに遅れ客や途中で退場されたお客さん向けに映像を流すんですが、俳優のみなさん大丈夫ですか?
松田 大丈夫?
齋藤 ……それによって体の不調をきたすとか
深澤 どういうことですか? (笑)
松田 映像に見惚れちゃわない?
齋藤 少しラグがあるんですよね?
合田 ホワイエの方はそうですね。
松田 遅れてるんだって。危ない危ない。
川村 気を取られないように。

川村 じゃあ10分前に電気を消します。上手袖のカーテンは開けっぱなしで。
松田 まあええ感じで、気楽にやってください。ボワッと。
川村 あとは杉本さんの方で昨日やった対策というか、あれは松田さんにはお伝え別に大丈夫ですかね。
杉本 結局原因がわからなかったので、一応念の為信号線とかも変えて。あとは『文化』でも『シーサイド』でもずっとついてる明かりについては劇場卓の方でも一番低いゲージで上げといてもらっています。
川村 なので万が一のことがあっても最低限の明かりはつくっていう。とりあえずできることは。
松田 しょうがないですよね、機材ですからね。
松田 まあ何事もなかったかのように、なんか起こったとしても対応してください。

──ゲネ準備。

ゲネに記録映像の撮影が入ります。

ドアの開け閉めの音を軽減するためにグリースを塗ってくださっています。

『文化センターの危機』ゲネプロ


お疲れ様です。
96分です。

 

ミーティング

松田 ギャラリーで咳とかくしゃみが。
齋藤 あれ私です。私がホワイエにいて一回くしゃみしました。
松田 大きなくしゃみは齋藤さんか。
齋藤 はい。
松田 正直やな。
松田 なんかやっぱりあれなんかな、花粉かな。
田辺 花粉飛んでると思います。
松田 気をつけて。前回1月だったもんね。
齋藤 それはやっぱり物音全般が気になるってことですよね?
松田 いや、別に良いっすよ。
松田 あのピンポーン(エレベーターの音)っていうのは全然気にならないんだけど。
齋藤 くしゃみはくしゃみですけど、予期せぬ音っていうのは出てくるかなって。
松田 客席内でミシッとかは全然良いですよ。
齋藤 体調悪い人とか途中で出ていく人とか、どうしても場内で会話をしなきゃいけない場面は出てくると思います。
松田 まあそれはあんまり聞こえないように。まあ芝居によるんだけどね。(さっきの咳は)あの二人で加藤と吉村が歩くシーンだったもんね。

松田 深澤さん、出とちり。
深澤 ああ、すいません

辻井と吉村が会話しながら舞台上を通過する場面で出てこなかったので何事かと心配した。

松田 深澤さんがとちると怖いんだけど。とちるというか、あれ? いないな、って。
深澤 原因はわかってるんですけど。もう大丈夫です。
松田 芝居はよくなってるんだけどね。(焚き火の場面の)踊りもよくなってた。
深澤 あ、じゃあ本番は踊りながら言う、で。
松田 うん、あれでいいよ。

松田 で、中野のあの踊りの手は、あれちょっと動かさないで体でゆっくり感じ取る感じで。手じゃない方がいいかな。
鈴鹿 わかりました。
松田 「来年度から文化センターの~」の中野の入りを、やっぱりちょっと遅いんだよな。吉村が(ビール)取って移動する時にはもう入っといてほしい。今割と取り終わりで入ってるから、まあ早めに入った方がいいかな。
鈴鹿 わかりました。
松田 まあそんないいんだけど、ちょっと重ねたいなって感じ。芝居が落ち着いちゃってセリフが始まるって感じじゃなくて。割とそういうの重要で。

松田 最後の加藤の寝るのもう寝ないで「中野くん」って言おうか、座った状態で。一回一手間減らすっていう。いける?
田辺 いけます。

松田 えっと全体としてはよかったですね。よかったですね。
松田 (杉田の)「ありがとうございます」って最後のセリフで笑っちゃったね。
横田 なんでですか。僕がおかしかったですか。
松田 いやうまくいってたよ。
横田 うまくいってたんですか。
松田 いやなんか身体で反応してんだろうなって。そういうような状況が生まれてると弾むんだろうなって。みんなほとんどの俳優がそうなんだろうけど。
松田 加藤さんもソフトになってたね。
田辺 ソフトにしました。アハハハハ。
松田 まあだからその感じで余裕を持って、自分のあんまり意思と関係なく身体が反応して動いてって、でもそうでありながら理性もちゃんと働いていないとミスるんで。
松田 割とだから軽い感じでできてたね。でも俳優それぞれの意識がどうなってるかはわかんないけど。どうだった? 割と一緒だった?
田辺 いや、やっぱり夜(吉村と光を目撃する場面)が控えてるから軽くしたかったんですけど、気持ちを夜に備えようと、でもカメラが置かれてると意識せざるをえなくて、ある一定の緊張はありました。

松田 俳優が他の俳優や現在の感じにどう反応するのかっていうことを自分なりに意識的に試しながらセリフを喋っていく、あくまで間違えないように正確にっていう感じで動じないようにやればいいんじゃないかな。必ず観客で寝る人も続々続々ってことはないけど僕が演出するとまあ、そういうことも想定して気にしたり気にしなかったりしてやってください。
松田 あとただ咳き込むとかくしゃみはくしゃみは齋藤さんだったらしいけど。ここからやと鈴鹿くんかなって思ったけど、咳も齋藤さん?
齋藤 くしゃみは開演20分後ぐらいにして、咳は1時間15分後ぐらいにしました。

齋藤 時間は正確です。

松田 咳の時間が長かった。
鈴鹿 僕もロビーにいたんで、齋藤さんだなあと思いながら。
松田 鈴鹿くんも思ってたんやな。めっちゃ疑われてましたよ。
松田 咳の音とか分析して誰が一番近いかってやったら齋藤さんと鈴鹿くん近いのかな。両方鈴鹿くんやと思ってた。
鈴鹿 違いますねえ。
松田 っていう感じで、環境音とも共にあるって感じで。

横田 これ二回拍手があったらどうします? 拍手が長いなぁってなったら。
松田 いやいやいや(笑)やりたいなら一人だけ出てきたら?
横田 一人で出てきたら頭おかしい。じゃあ一回で帰る?
松田 二回あったらジャミロクワイ流そう。
横田 いいですね。
松田 それかギターの音(劇中で流れるME)入れるか。
松田 なんでそんなことを。
横田 いや、もしあった時にあたふたしたらかっこ悪いじゃないですか。
松田 いやあ、僕あれ耐え難い。僕はね。
松田 齋藤さんは。
齋藤 いや、いいと思います。

横田 終演したらロビーですか? もし知り合いいたら。
齋藤 そうですね。楽屋にってことはなく。
川村 終演後は集合しますか。
松田 今日のソワレのあとは明日言えるんで、まあでもあったかいうちに言った方がいいかな。
松田 すぐ会いたいですか? どっちでもいいですよ。
横田 いやでも全然終演後にやるってことでオッケーです。
松田 そうだね、一旦集まろうか。
川村 じゃあ完パケしたらお声がけしますんで、5分後とかに集まりましょうか。
松田 基本終わったあとはフィードバックします。そうしよう。

川村
 これで稽古は全部終了ということでいいですね。客席の設営は1時間ぐらいで済むと思うんですけど、18時半開場、19時開演で。もう一度集合したりは?
松田 いやないかな。必要?
横田 確認することなければいらないかな。
松田 なんか気になったらその都度呼びますけど、全体ではこのまんま。
川村 まあ開場前には一度お声がけしますので、集合はなしということで。
川村 今は開演の大体3時間前です。
田辺 よろしくお願いします。
みなさん よろしくお願いします。

 

──開場準備。

 

 

 

 

齋藤 すいませんお待たせしました、横田さん。あれいない。

松田 居場所ないよね。演出部は。
松田 (松本)雄吉どうしてたんかなぁ。
福井 屋台村いはったんじゃないですか。
松田 ああ、ええなあ。

『文化センターの危機』本番(1st目)

お疲れ様です。

 

ミーティング

齋藤 ちょっとすいません、23分お待ちください。
川村 はーい。


──
10分ほどして。

松田 すいません。

 
松田 えっとあの、ちょっとやろうか。
松田 あの、芝居よかったですよ。
鈴鹿 よかったですよ。
松田 自己評価。よかったよかった。よかったよ。
松田 わかったのは、やっぱり観客が入らなわからんな、演劇は。っていうことでしたね。

松田 やってみてどうでした。どんな感じだった、観客の前で。
横田 観客席まあまあ空席あったですね。
松田 あはは、そうだった? (笑)
齋藤 三分の一ぐらいですね。
鈴鹿 三分の二ぐらい入ってる感じしたんやけど感覚ですね。
松田 これギチギチやと見にくいやろうね。

松田 まあまあいわゆる盛り上がりに欠けてるわけじゃないですか。特に観客側から反応があるわけじゃなく、俳優は常に視線に晒されていて眼差しを浴び続けている。その中で脱落していく人もいるんだけど、見ている人は見ているということで。それもわかる人はわかるみたいなことではなくてね。最後まで行ってこの芝居の価値がわかるって感じはしましたね。全部通して、このスタイルをずっと貫き通して続けていってっていう。
松田 今日やって、明日『シーサイド』もやって。とりあえず一回やって明日二つ揃えて、また見えてくるものがあるんじゃないかなって、それを感じましたね。とにかく今日一つ突破口を、ブレイクスルーしたって感じがしましたね。
松田 まあいずれにせよ新たな、新たなっていうか本質的な演劇の見方を問うてる感じがしました。こういう見方と見せ方もあるっていうこと。あと聞き方、聞かせ方とは何なんだろうっていうのは問いなんですけど。こういう演劇の果てにもう一個段階があるとすれば、前から音を入れたいって話をしてたけど、福井くんも言ってたけど、あの大門さんが靴を変えてから確かに靴音がね、前の靴よりカツカツいうようになったり、あれに何かヒントがある気がしたね。これ見よがしに聞かせても仕方ないけど。音声の問題、演劇の音声の使い方について考えたいなって。
松田 まああとは、どうでしたかね。俳優のみなさん。
田辺 お客さんの入ってる圧が人数的にちょうどよかった感じがしました。感覚も掴みやすいし、よかったかなって。

松田 はい。ま、こんなとこですかね。
齋藤 出演者の皆さん暑かったり寒かったりしましたか。
田辺 夜の方が暑い感じはしました。けどみんながそうでもないとも。
中川 若干暑いんですけど、でも自分が暑いだけかもしれない。
松田 上はちょうどよかったよね。
杉本 ちょっと暑かったですけど、私は暑がりだから気にせずに

松田さんはオペブースで本番を見ている。

川村
 明日は集合はどうしましょうか。14時なんで、13時は遅いかなって。
松田 いや。まま、お任せしますけどね。
川村 集合決めずにやりますか?
松田 まあ一旦集まるか。
松田 11時とか? どう?
横田 11時ちょっと早くないですか。
松田 12時?
川村 お昼ご飯のことも考えて、開場が13時半ですので、お昼済ませて12時半。
松田 じゃあ12時半で。
齋藤 いずれにしても楽屋は10時から入れるようにしておきますので。

松田 細かなフィードバックはないです。全体の問題です。
松田 本番見ないと全然わからないなって。本番に晒されないと。毎回同じこと見れるから、そこで初めてこれが有効なのかどうなのかって問題が出てくるので。そういうことを考えながら見てましたけどね。
松田 まあ明日以降もいつも通りやっていきましょう。
松田 じゃあお疲れ様でした。

お疲れ様でした。

 

 

2月23日(木)


──1230分。


川村
 松田さんは今日何時に

齋藤さんの携帯に通知。

齋藤 松田さん「すいません5分遅れます」。

12時39分、着。

齋藤 おはようございます。
みなさん おはようございます。


松田 すいません、走ってきた
松田 特に思い起こすこともなく。昨日から何か思いついたことありますか。
田辺 ホッとしました。
松田 ホッとしましたね。
松田 まあじゃあ、また同じものを見せてもらって、後半は『シーサイドタウン』ということですね。
齋藤 終演後の集合時間を決めておきますか。
松田 そうですね。昨日お待たせしてしまって申し訳なかった。
川村 完パケして5分後とか、なるべく早く休憩できるように。
松田 はい。客の対応よりこっちを先に。
齋藤 わかりました。そのように。
齋藤 今日は昨日の倍くらい、お客さんは。
田辺 ええっ。
横田 今日祝日なんですか。
齋藤 祝日です。
松田 夜も多いんですか。
齋藤 ほぼ同じ数じゃないかと。
横田 明日は?
齋藤 明日は少ないです。今のところ昨日ぐらい。で、土曜日がまた多くてっていう。

松田 はいじゃあ、まあそんな客は意識しなくて。
松田 やっぱり重心が下がってるのがいいな。まあでもそんなに気を抜かないようにして、集中しながら両方やってください。
川村 では休憩して。約50分後に開場ですね。
齋藤 お願いします。
みなさん よろしくお願いします。



──
開場準備。

ケータリングコーナー


『文化センターの危機』本番(2st目)

お疲れ様です。



ミーティング

松田 ちょっと暑かったよね。
川村 途中で下げました。
松田 ああ、それからは過ごしやすかったです。
齋藤 座席のパンフレットの置きだけやらせてもらいます。間の時間がないので。
松田 俳優さん舞台でやりましょう。

──客席から舞台上に移動して。

松田 笑いが起こると思わなかった。
田辺 僕ら笑いの耐性がない。
松田 まあ乗らないようにすればいいけど。笑い嫌だな。
鈴鹿 キャンプ盛り上がってたなあ。
松田 まあまあ笑いの耐性は、耐性っちゅうか
深澤 まあでも、集中して見てくれてたのかなって。
松田 まあ(人数が)多いとね。まあよかったね今日は、芝居は。
松田 (万引きで)連行されるとこでも反応があったね。
田辺 身体の形が面白いから。
松田 まあ面白いんだけど、それに乗せられないように冷静な身体で。
松田 まあでも演劇だからしょうがないよね。それに対しても対応しないといけないから。


松田 (田辺さん)あそこにいくまでちょっと長いかな。光の場面。その後寝に行くまでも長いかなって感じもしたけど。
松田 時間はどうだったんですか?
川村 若干早いぐらい。昨日が1時間3530秒とかで、ほぼほぼ一緒ですけど。
松田 なんかだんだん上で見てると早く言えばいいじゃんとか思っちゃうけど、自分の感覚だから。
松田 まあじゃあ間延びしてるわけじゃないんだよね。じゃあ大丈夫そのままで。そんなに気にしないで。

齋藤 それで今日遅れ客3人ぐらい入れたんですが、すれ違ったり大丈夫でしたか?
横田 大丈夫です。
松田 びっくりするだろうね。向こうは。
鈴鹿 役者やと思わないんじゃないですかね。受付とか案内の人に見えてたり。
中川 でもマスクしてないからちょっと「なんだ? 」って思うかも。
松田 齋藤さんもあれ(後説)言うときマスクいらないんじゃないかな。
齋藤 わざわざそこで外さなくてもいいんじゃないですか(笑)

松田 まあうまくいきました。じゃあもう全体切り替えて。次は。
川村 次は開演が1830分。
松田 もうすぐじゃん、切り替えられる?
川村 開場まで約2時間。
鈴鹿 結構ある。
松田 まあ頑張って。確認しながら切り替えて、二つ続くんで。
松田 次回も終了後、完パケ5分後に集まって。
川村 はい。
松田 私そのまま帰っちゃうんですけど。
松田 じゃあ切り替えて。お願いします。



──
開場準備。

──楽屋にて。

どん兵衛。

松田 デジャブや。昨日も食べてたやろ。10分同盟とか言って。
鈴鹿 はい。買ったんですけど、上の岡崎公園で出店とか出てて、タコス食べたんでお預けです。

 

『シーサイドタウン』本番(1st目)

お疲れ様です。



ミーティング

松田 ちょっとセリフが飛びましたね。
大門 すいません。
松田 ちょっと気をつけて。明日はないようにして。

松田 (田辺さん)飛んではないけど、ちょっとくちゃくちゃってなったね。
松田 「ムツミちゃん」って体言止めで。それで終わっておけばいいものを「だったそうだ」って変に語尾つけて。
田辺 すいません。飛びました。
松田 でもそのあとよく出てくるもんやね。さすが俳優さんやね。

松田 横田くんもむせるかなって怖いのがあったけど。
横田 いやむせてましたよ。引っかかってました。
松田 引っかかってたぐらい全然大丈夫。このまま行くんかなって。
横田 対処法わからなくて。「ンンッ」ってやろうかなとも思わなかったです。
松田 でも出てたね。全然気にならなかった。
横田 三場ぐらいからですよね。
松田 でもちょっとそれ、これだけの頻度で。
横田 ちょっとわかんないです。
松田 まあちょっと、やっぱり負担が来るんだろうね。
松田 まあそれは、今日は大事に至ってないので。今日のミス確認しといて。

松田 他ないかな。見た限りではなかったけど。
松田 芝居はでもよかったけどね。お客さん入って。反応できてたしみんな。
松田 ざねくんやっぱりよかったね。文句なしで安定してたし、とはいえテンションもあったから、いい感じじゃないかなって。

松田 (大門さん)うん。芝居は良かったよ。
松田 気付いた? 途中で。飛んだの。
大門 いや、すぐに。
松田 影響はあった? 大丈夫だったけど。
大門 すぐ忘れようと思って。
松田 (深澤さんも)対応がうまくいってたね。
深澤 稽古でも同じ箇所で経験済みだったので。よかったです。
松田 ちょっと確認しといて。

松田 まあでも戯曲的にあれなんだけど「誰が落ちたの? 」「誰かが落とした」「誰かに落とされた」とか、最後「トノヤマくんが落としたんだよ」って言うふうに、割と主体がムツミちゃんになったりトノヤマになったり、主語が変遷することに面白みもあるから。その辺は抑えて。
松田 まああとは明日っすよね。明日の段取りだけ確認して。

確認しました。
開場の1時間前、17時半に集合します。

川村 夕方ぐらいまで体休めていただいて。
深澤 明日松田さんいらっしゃらない
松田 すいませんね。見たいんですけど、一観客としても。

明日東京で仕事のため最終で戻られます。

松田 それであの『シーサイド』だけど、やっぱり良かったよね。本番迎えないとわかんないよね。再演になってわかった感じがした。
松田 はい以上です。じゃあまた明日頑張ってください。お疲れ様でした。

 

 

2月24日(金)

今日は松田さんが東京で仕事のため欠席。

齋藤 今日は藤原さんが来てくださってます。
みなさん お願いします。

齋藤 特に松田さんから連絡もいただいてませんので、その点は。
齋藤 俳優さんから何かありますか。
田辺 今日も、普通に、いつも通りやりたいです。
川村 うい。
齋藤 じゃあよろしくお願いします。
みなさん お願いします。
川村 本日は18時半開場なので、約1時間後です。

『シーサイドタウン』本番(2st目)

お疲れ様です。


 
ミーティング

齋藤 すいません遅くなりました。お疲れ様でした。松田さんから連絡はあったんですが、みなさんに対して何かということは特になく。お疲れ様でしたとお伝えくださいとのことです。

──客席から見ていた中川さん。

中川 なんか今日は桟橋の大きさのこととか、地図の縮尺がどれくらいなのかなとか、ちゃぶ台の高さとかを考えてて。地図は聞いてみたいんですけど、最初に出した時は朝鮮半島の書いてある地図なんだと思ったんですけど、後半に出てくる時は書いてなさそう、もうちょっと縮尺が大きくなってそうだなって思ったんですけど、イメージしてる地図とかってあるんですか。
生実 でも朝鮮半島って言われて、ほんまやって思いました。今気づきました。もうちょっと小さい地元の地図みたいなイメージでした。
中川 方向だけの話かもしれないですけど。こっちの方かな、みたいな。
中川 桟橋も(落ちて)助かってることを考えると、どれぐらいの高さなんかな、島を繋ぐものだったら結構大きいよな、とか。言葉で聞いて考えたりすることと、あとシンジがナイフが刺さった机の傷をなぞるところが好きなんですけど、その桟橋の大きさとか机の傷の小ささとかって、そこがサイズ感を飛び越えて並んでくる感じがすごい面白いなって。私昨日と今日と後ろの席から見てるんですけど、高いところから見ると黒目の位置が変わったとか指先がどうなってるとかよく見えるから毎回面白いし、新しいことに気づいています。
中川 いやでもやっぱりすごいよく見えます。みなさんもわかってると思うんですけど、怖いぐらいよく見える。

齋藤 はい、じゃあ明日のことを川村さん。

明日のスケジュールを確認しました。

齋藤 ほかなんかみなさんありますか。
齋藤 じゃあお疲れ様でした。
みなさん お疲れ様でした。

音について思ったこと

身振りと発話によってある場所のイメージが立ち現れると同時に場所が身体に憑依する。
漫才における自動ドアの「ウィーン」という機械音は店に入る“てい”の演技のうちに込められている。
自分が発する声(セリフ)も周囲の環境音も一様にそこにある音として考えること。

ダイヤモンド『ドライブ』
https://youtu.be/Cwf7e6hoTIA

車を運転する場面で「ブーン」と言う(言いたくなる)こと
白々しく言う必要もないけど、口を封じる理由もないというか
和牛川西「カッチカッチ そんなに曲がってないやろ」

“てい”を補強していく作業
音が加わると見ることからも少し自由になれる気がする

 

2月25日(土)

松田 昨日欠席しまして、どうでしたか。
深澤 大きなミスはなく。
松田 大きなミスがなければ。芝居は良かった?

齋藤 昨日から藤原さんが。
松田 ああ、藤原さん。
藤原 おはようございます。
横田 ロミオとジュリエットみたい。

バルコニーのよう。

川村 昨日戻られたんですか?
松田 昨日のうちに戻ってきて、なんかもうバタバタで。なんかカードが、雑貨屋でちょっとカードで買おうと思って、半額になってて、そしたらカードがないんで。
齋藤 クレジットカードがないんですか。
松田 びっくりして、もう一個持ってる財布を見たらそっちに入ってました。全く無意識で行動が行われてて。疲労困憊してました。
松田 まあ一晩寝て、疲れは取れました。
松田 いや、僕が取れても仕方ないんだけど。僕も観客として。

松田 どうでしたかね。昨日。
齋藤 中川さんと福井さんが昨日終わってからお話はされてましたけど。
松田 (中川さん)どうでしたか。
中川 いや言わないです(笑)本当に感想、見た感想だったんで何も建設的なことじゃない。もう一回言うようなことではないです。


齋藤 昨日(ロームシアター京都の)枡谷さんが見てたんですけど、初演を見て思ってたことが今回見たら違ったって言ってたので、今日もう一回見るって。
松田 今日はまた多いんですか。
齋藤 この間の23日ぐらい入ると思います。

藤原 松田さんあえて放置してるんかなとも思うんですけど、『シーサイドタウン』でうちわ配るじゃないですか。あれ市民センターじゃなくて文化センターの方が面白くもないかなとも思ったんですけど。

クルミがウミの持つうちわを指して「それ市民センターで配ってたやつでしょ」と言う場面がある。

松田 ああ、いや違うんです。
藤原 あ違うんだ。
松田 素晴らしい指摘ですね。僕もちょっと思ってました。
中川 同じ町ですもんね。
松田 はいっ。じゃああとは事務連絡等。
齋藤 大丈夫です。
川村 じゃあお昼は13時半開場、14時開演で『シーサイド』です。
齋藤 今日2回目はアフタートークがあるので、間に松田さんと杉本さんと照明の確認を。
松田 トーク。
齋藤 はい。
松田 僕今日一人出てきてマイク持って喋るんですか。
齋藤 私が出てきて。
松田 これ(床置きしている『シーサイドタウン』の照明)つけたりしますか。
藤原 2回目の後ですよね。えっと。
松田 冗談です。
藤原 撤去してます。

松田 そうか、『シーサイド』で『文化』。
松田 はい、じゃあ13時から。
川村 13時半です。
松田 ああ14時からか。
松田 はい、じゃあご準備の方を。


──
開場準備。

深澤 すごい差し入れが

志津屋のカルネがたくさん。

──楽屋にて。

楽屋の横田さん。

松田 なんなんですかこれは。一人で占領してるよね。


松田 それに比べてブレッソンの孤高の感じ。
松田 ブレッソンと未整理な事物たち。対照的だよね。

松田 さっき相生(餅食堂)で卵乗ったうどんを食べてきて、もう天にも登る気持ちで。いかにこれまでしょうもないもんを食べてきたか。

この期間は外食を控えて滞在先のキッチンで自炊していたそう。

松田 あれ(千円)僕のかな。
田辺 僕は違います。
松田 僕のだね。誰か減ってたら言ってね。
松田 今日なんの日?
松田 なんか落としとって、見つかる日。
松田 ちょっとなんか締まらないな。


『シーサイドタウン』本番(3st目)

お疲れ様です。



ミーティング

松田 ランタイムは何分でした?
川村 大体93分です。昨日よりは2分くらい延びてます。
松田 延びてる? 延びてる感じがわかんない。
深澤 終わってすぐ川村さんに聞いて、やっぱりかって。
松田 なんで? 間が空いてた?
深澤 体感時間というか。
松田 でも芝居は良かった。初日より見やすかったけどね。

松田 感じはどうでしたか。まあこれで終わりだけど。
田辺 個人的には、私一行飛んだ。
松田 一行飛んじゃった?
田辺 「警察の人も~」ってところ。気分的には言い切ってる気分でした。見てる人はわかんないと思いますけど、シンジのセリフ来ないなと思ったら「あ、僕や」って。で、もういくしかないって。
横田 いくしかないって(笑)何回も間違えてる。
田辺 助けてくれてありがとう。
横田 なんも言ってないっす。(田辺さん)なんも言ってなくて変やなって思ったら。
松田 (最後の)「どうした? 」ってところも早かったね。
田辺 早かったです。「どうした? 」早かったなぁー。
松田 まだ(シンジが)歩いてきてるのに、なんであそこでどうした? って(笑)
田辺 すいません。
松田 まあまあ早く回ってたんかもな、田辺さんだけ。

松田 まあちょっと回復をして、次に後2回あるんで。とにかく『文化センター』後2本、ちょっと体力を回復してやり切りましょう。
松田 まあとりあえず『シーサイド』は無事に終わって良かったっていうことで。もうやれないっていうのは寂しいですけど。もう一本見たかった気もしますが。昨日の分ね。
松田 面白いしね、この芝居。
松田 じゃあ、あとは『文化センター』で会いましょうということで。

松田 あとは。
川村 そうですね、18時開場になります。2時間、10分ぐらい開場まであります。ゆっくりしてもらって、また夜公演。
齋藤 次は公演が終わりまして準備出来次第ということで、アフタートークになります。
川村 アフタートークは開場時の明かりのまま?
齋藤 できれば私はこの明かりのままが。
松田 終わったらすぐに始める?
齋藤 もちろん松田さん降りてくるのはお待ちして。
川村 トーク後は集合しますか?
松田 今日の夜は集まり無しにします。トーク聞かないで帰る人もいるだろうし、もし(来た人と)会うならね。明日の朝にしましょう。
齋藤 明日の朝は上映会の準備があります。俳優のみなさんも体力的にしんどくなければ見ていただいて。
松田 それも自由にね。なるべく上演に備えてください。いやもちろん見てくれてもいいんだけど。
横田 トークとかって録画したりするんですか。
齋藤 はい、上演の流れでそのまましようかなとは。
横田 それ保険にしてもらってもいいですか。見なくてもいいっていう。


──
開場準備。


田辺
 ホテルに帰って寝てきた。
横田 (本番で)寝るでしょ絶対!
田辺 大丈夫。目覚めた。
横田 あとテントで寝るだけですもんね。
田辺 寝るだけなことあるか。

 

『文化センターの危機』本番(3st目)

アフタートーク。

お疲れ様です。

 

 

2月26日(日)

『シーサイドタウン』初演の稽古場記録映像(ディレクション:村川拓也)の上映会&トーク。

トークのゲストでいらした村川拓也さん。お疲れ様でした。


──
1435分。

 

 

川村 齋藤さーん。

齋藤さんは村川さんのお見送りに行ったので先に始めます。

川村
 じゃあはい、お疲れ様でした。
川村 お疲れ様じゃないです、おはようございます。一つ終わった気になってました、すいません。
川村 じゃあ本番16時から。
齋藤 終わった後のことを。一回集まったりします?
松田 みなさん今日打ち上げ来ますよね。来ない人いますか?
川村 強制では、
齋藤 強制ではないので。
松田 じゃあその時に長々と挨拶します。
鈴鹿 あはははははは。
松田 二年間の集約をね。

横田 俳優はバラシは?
川村 俳優さんは大丈夫ですよ。
深澤 じゃあ楽屋だけ。
齋藤 もしポスターとかチラシとか欲しい人いればもらって行ってください。あと最後にポスターにみなさんのサインだけ。
川村 この中はこれからスクリーンのバラシなどなど本番に向けた準備をするので、その際はスペースをお願いします。

松田 まあ最後なんでブレないように、もう一度思い起こして。ずっとやってきたんでね。大丈夫だと思うけどいつも通り。
深澤 昨日のフィードバックとかは?
松田 いや特に、昨日悪くなかったけどね。
松田 あのね、ああそうそうそう。昨日の例えば最初のシンジの「玄関開いてました」ってあったでしょ。それが「玄関開いてました⤵︎」って下がってた。すると割とベクトルが、玄関が開いてたの管理ミスじゃないですか? みたいなニュアンスにも取れるように。そういうのが『文化センター』でも、まあ横田さんだけがってわけじゃないけど。
松田 ちょっと身体的な疲れもあるのかもしれないけど、語尾が下がり気味に、あるいは曖昧な宙吊りでしゃべっている時間が少なくなってきた。その場のやり取りで割と感情的に飲み込まれちゃう。それがどこかって一々言えないけど。とはいえその塩梅が難しいんだけど、機械的に棒読みになっても仕方ないんだけど、その辺コントロールに気をつけつつ現場の感覚も残しつつ。本番だとできると思うんだけど。でも身体が疲れてくる後半の方の芝居になってくるとね。『シーサイド』も三回目にもなるとそうなるんかな。僕の勝手な妄想というか考えですけど、その辺はどうですか俳優さん。ちょっとコントロールが効かなくなるみたいなことは。
田辺 僕は『シーサイド』はミスしてるなって思うけど。
松田 そういう如実なミスっていうよりも、成り立ってるんだけど普通の芝居になっちゃってるみたいな。ノリになってる。道筋が整った劇になってる。そうじゃなくて、違和感抱えながらも道筋が見えるみたいな形が理想的かなって。そういうのは初日と二日目には、特に二日目の芝居はそういう演技が成り立ってたから。そんなに見てられないっていうふうにはならないけど、その危惧があるなって。僕の方の穿った見方かもしれないけど。
松田 最後だからっていうのもあるけど、緩むはずはないけど、とはいえ身体がついてこないこともあるかもしれないから。

川村 はい。では45分ないですね。準備していただいて。お願いします。

──開場準備。

外に行列が。みんな『文化センター』見に来るのかと思った。

1階受付にて販売されている戯曲集。

──楽屋にて。

松田 誰か(タバコ)いらない? 昨日松尾くんがくれたんだけど。
松田 こんなんお酒と共にするとそのうち逝っちゃうよね。

メビウスとブレッソン。

松田 終わりか。物寂しいよね。
鈴鹿 本番前に松田さんがおっしゃる。

松田 ブレッソンの話も(記録に)載ってたね。
松田 今日(上映会後のトークで)ストローブの話もあったけど、面白いよ。『あなたの微笑みはどこに隠れたの? 』だっけな。

Amazonのページ。

松田 ええっ、馬鹿なことなってるなあ。ほぼ100万やん。
松田 僕持ってるの売ろうかなあ。


『文化センターの危機』(4st目)

お疲れ様です。

速やかにバラシ。

公演ポスターにサインを。

ジャズ屋「ヤマトヤ」の隣にある七福家。

お疲れ様でした。

  • 福井 裕孝
    福井 裕孝 Hirotaka Fukui

    1996年京都生まれ。演出家。2017年にマレビトの会『福島を上演する』に演出部として参加。2018年から個人名義での作品の発表を始める。近作に『インテリア』(2020)、『デスクトップ・シアター』(2021)、『シアターマテリアル』(2020,2022)など。下北ウェーブ2019選出。ロームシアター京都×京都芸術センターU35創造支援プログラム“KIPPU”選出。2022年度よりTHEATRE E9 KYOTOアソシエイトアーティスト。

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