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#演劇#レパートリーの創造#2022年度

レパートリーの創造 松田正隆 海辺の町 二部作 「文化センターの危機」〈新作〉/ 「シーサイドタウン」〈再演〉

稽古場記録 (第三期:12月25日~29日)

記録:福井裕孝
2023.2.15 UP

ロームシアター京都の「レパートリーの創造」では、創作過程をいかに記録するかというアーカイヴの視点を持ちながら作品製作に取り組んでおり、作品ごとに異なる方法で記録を残しています。
2020年度のレパートリー作品『シーサイドタウン』(作・演出:松田正隆)の創作過程では、演出家・映像作家の村川拓也ディレクションによる稽古場記録映像を制作し、2021年6月5日に開催した「『シーサイドタウン』を振り返る」で上映を行いました。
松田正隆による「海辺の町 二部作」として『シーサイドタウン』の再演と新作『文化センターの危機』の上演を行う2022年度は、両作品で演出助手を務める演出家の福井裕孝が、自身の視点も織り交ぜながら、稽古場での日々の記録を書き留めていきます。


ロームシアター京都 レパートリーの創造
松田正隆 海辺の町 二部作
『文化センターの危機』『シーサイドタウン』

作・演出|松田正隆
出演|生実慧、鈴鹿通儀、大門果央、田辺泰信、中川友香、深澤しほ、横田僚平
照明|藤原康弘、杉本奈月(N₂/青年団)
音響|合田洋祐(ロームシアター京都)
演出助手・稽古場記録|福井裕孝
舞台監督|川村剛史(ロームシアター京都)
制作|齋藤啓・木原里佳(以上、ロームシアター京都)

【配役】
『文化センターの危機』
吉村 まりあ(文化センター職員) 中川友香
辻井 ひかり(文化センター職員) 深澤しほ
里岡 泉(高校生)        大門果央
中野 浩介(文化センター職員)  鈴鹿通儀
加藤 保(その東京の友人)    田辺泰信
杉田 進次郎(万引きする男)   横田僚平
神長 哲也(美術教師)      生実慧

『シーサイドタウン』
シンジ(帰郷した男)      横田僚平
トノヤマ(地元の男)      生実慧
ギイチ(隣の男)        鈴鹿通儀
クルミ(隣の女)        深澤しほ
ウミ(隣の娘)         大門果央
ケンイチ(シンジの兄)     田辺泰信
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福井裕孝
1996年京都生まれ。演出家。2017年にマレビトの会『福島を上演する』に演出部として参加。2018年から個人名義での作品の発表を始める。近作に『インテリア』(2020)、『デスクトップ・シアター』(2021)、『シアターマテリアル』(2020,2022)など。下北ウェーブ2019選出。ロームシアター京都×京都芸術センターU35創造支援プログラム“KIPPU”選出。2022年度よりTHEATRE E9 KYOTOアソシエイトアーティスト。
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【第三期稽古期間:2022年12月25日~12月29日】
12月25日(日)
12月26日(月)
12月27日(火)
12月28日(水)
12月29日(木)


 

 

12月25日(日)

この期間は『シーサイドタウン』と『文化センターの危機』を両方やります。

齋藤 おはようございます。どっちの作品を。
松田 それをまず話しましょうか。

この期間のスケジュールについて決めます。

松田 休みます? それから決めたほうがいいよね。
田辺 僕は無しでも大丈夫です。
松田 まあ今日『文化』、明日も『文化』やって。最大何時まで? 一応13時からやって、そんな長くやらないですけど。
齋藤 最終日だけ東京の人はその日に戻れるように18時までにしてて。
松田 今日次第だけど、28日には『シーサイド』と『文化』と続けてやれたらなと思うんですけど。横田くんどうですか。
横田 いいと思います。
鈴鹿 27、28日は松田さん的に『シーサイド』と『文化』と二つ通していくってイメージですか?
松田 いけそうな感じしない?『シーサイド』だけやるならその間中川さんは・・・観光する?
中川 いや稽古場にいます(笑)

松田 スケジュールについて何か異議申し立てないですか?
松田 まあちょっとやってみましょうか。思い出し思い出し…じゃあ(13時)45分から。
松田 あ、ごめんなさい。(13時)40分からにしましょう。

──13時40分。

横田 マスク取りますか?
松田 うん、最初はいいんじゃないかな。

マスク有りでやります。

松田 じゃあやりましょうか。

①から②の入りまで

松田 なんかありましたか。
深澤 最初のコンビニ、もんちゃん(大門さん)がハケるのがもっと早いです。私の(お会計の)ときには誰もいなくてエアーでレジしてたんで。もんちゃーん。
松田 なんか違うみたい。バックヤードに行くのがあのタイミングじゃないそうです。
深澤 田辺さんのレジが終わって私がレジに行くときにはもうバックヤードにいるよ。
大門 あ、思い出しました。田辺さんが来てちょっとしたら。
松田 あと神長と横田くんの動きがあんなに被ってたっけ。ずれてたような気がする。
松田 タイミングは?

記録撮影した以前の通しは生実さんがいなかったのでわからない。

松田 ああ流行病があったね。遠い昔のようだね。
松田 じゃあそこもう一回。まずもんちゃんのとこ確認しとこうか。

②から③の入りまで

松田 はい。今までのところは何かありました?
中川 忘れました。最初に杉田と出会うところ「おはようございます」で杉田を見たあと、無視して自転車に乗るっていうの。
松田 乗りかけがなかったんだ。それはまあ確認して。
松田 大体いけたかなって気はするけど。じゃあ続き行きましょう。

③から④の入りまで

松田 ここまでにしようか。どうでした?
田辺 ホールの紹介のところセリフがちょっと。
松田 動きはあってんの? あれで。
田辺 最後のは曖昧でしたね。
松田 ほんまに曖昧になってたね。ちょっとそこ確認しといて。


中野と加藤の立ち位置を確認した。

松田 うん。まあまあおおむね大丈夫だったけど。むしろ面白かったけど。はい。
鈴鹿 ありがとうございます。
田辺 ありがとうございます。
松田 じゃあ里岡の入りから。大丈夫ですか?

④から⑤スーパーの入りまで。

松田 はい。ちょっと休憩するんで、ちょっと確認チェックをしといてください。

 

──休憩します。

松田 スラムダンク(映画)見た?
生実 見てないです。
松田 そんなに面白いんかね、スラムダンク。

──休憩明け。

 

松田 じゃあやりましょうか。あのえっと(吉村の)「何食べるんですか」から行きましょう。

⑤スーパーの入りから

──焚き火の場面。
松田 (中野)その赤のところ(焚き火のバミリ)でしゃがみ切っていいよ。
鈴鹿 薪を組むところも?
松田 そうそう。
松田 で、えっとですね。ちょっと待ってくださいね。
松田 (加藤の)「段階ってもんがあるんじゃないかな」でみんな(火種を)探しに行くよね。で、そこで中野はもっと真ん中に行ってもらえるかな。ちょっとこう、マネを作りたいんですけど。
鈴鹿 マネ?

松田 これを。

マネ『草上の昼食』

松田 「段階ってもんがあるんじゃないかな」でみんな薪拾いになるよね。で、中川さんは中野のこちら側から薪を落としていってくれる?

薪拾い。

松田 で、みんな戻ってきて、火がついたってなる。
鈴鹿 フーフー(火に息を吹きかける演技)はある?
松田 フーフーはある。
松田 で、そうね。中川さんも座っちゃって。
松田 で、みんな座ってください。
松田 加藤は左足伸ばしちゃって。
松田 そいでこうなってて、ラジオにしようかな。

辻井、ラジオを取ってくる。

松田 ラジオ奥の方に置いてくれる?
松田 もう少し、あの白いとこ(バミリ)ぐらいに。
深澤 じゃあ車(の位置)ぐらいですかね。
松田 それでラジオ置いて、身体反転しようか。
松田 姿勢もうちょっとこう低く。

絵の通りにしゃがむ。

松田 そこで起き上がって、そこで踊ってくれる?

踊る。

松田 で、みんなもだんだん踊って。
松田 で、加藤さんの手もだんだんマネに…本当はビール飲んでんだっけ? ここ。

マネとの擦り合わせ。

松田 中野もうちょっと近く。
鈴鹿 内入っても大丈夫ですか?
松田 ?…ああ火があるってこと?
松田 関係ないよ。中野もうちょっと内に入ろう。

松田 中野大変? 膝。
鈴鹿 ちょっとやってみます。
松田 加藤さんも大変じゃない? くつろいでない感じがするんだけど。

松田 ああそうそうそう。それもう一回やって。
松田 ああ、これマネです。

マネ。

松田 みんなもこう踊って、ビールも飲んで。
鈴鹿 絵画上、踊り出しとかはこっち(正面)見ない方がいいですよね。
松田 そうそうそう。で、たまに中川さんがこっち見たらマネです。
松田 まあでもいいんじゃないかな。偶然シンクロしたらいいかな。だから最終地点こういう感じにして、辻井のラジオのチューニングをちょっと長めにしてもらえるとシンクロするかもね。
松田 で、(辻井は)踊りながら前に来て、そのバッテンぐらいで中野さんを見るかな。そのまま辻井のセリフのところちょっとやってみて。

マネの配置のまま続けてみます。

松田 中野は(辻井を)見なくていいよ。
松田 辻井は「別れません」のセリフのときに視線をまっすぐ。うん、正面に。宣言するみたいな。
松田 中川さんその姿勢大変かな。
中川 んー、まだわからないです。
松田 辻井も座っちゃおうか、何歩か前に。

座る。

松田 一旦座って、逆に中川さんが立ってみるのはどうかな。
松田 絵画になってて、向こうに二人(中野と加藤)行ったら、中川さん立つ。

立つ。

松田 うん。その立つ前の動作なんだっけ。
中川 クーラーボックスからお酒を出す。
松田 それそこにあったっけ?
田辺 僕がそこに置いてて。ちょっとずれてるかもしれない。
松田 いや場所は。そのズレは大丈夫なんだけど。

松田 もう一回その絵画の位置に。そっから二人行くやん、それから中川さんちょっとくつろごうか。

くつろぐ。

松田 まあ色々試してみて…いったんこのポーズで。
松田 はい。ここやっとこうかな、もう一回。
松田 中川さんクーラーボックスのところ不自由だったから、やりやすいようにやってくれたらいいよ。
松田 焚き火も含めてもう一回やりますんで。まあまあちょっと新しいところなんで、うまくいかなくても大丈夫なんで。修正しますんで。
松田 もうちょっと前から。辻井の「いいにおい」あたりからやりましょう。

配置に気を取られてたけど、ここで初めて地べたに座る。

辻井の到着からもう一度やる。

松田 はいはいはい。そこ(鈴鹿さん)立ち膝だっけ。さっきどうだったっけ。
鈴鹿 ちょっとスニーカーが痛くてこうしてました。
松田 ああ、むしろお尻下げちゃうと?

下げる。

松田 ああその方がいいかも。
鈴鹿 これは楽です。
松田 踊ってるときにそうなっちゃう。
鈴鹿 踊りの中でこうなる。高いままなら高いままの方がいいですか?
松田 いや下がった方がいいよ。
松田 で、加藤さんは(中野の)「ビールいりますか?」までずっと動いていいですよ。全然聞いてなくていいんで。一人いない感じで。

松田 はいオッケー。じゃあちょっと休もう。
松田 (16時)30分からやりましょう。

 

──休憩します。

川村さんが用意したバミリの控え?

松田 すごろくかと思った。お正月にやるゲームみたい。
深澤 すごい。「辻井ねる」って長濱ねるみたい。

「寝」と「家」が紛らわしかったので「ねる」にしています。

──休憩明け。

 

松田 じゃあやりましょうか。大門さんの出現から。登場から。ここタイミングは?
大門 ここメモしてなくて。なんか動き出してからいつも入ってて。
深澤 うちらが動き出してから。
松田 まあじゃあ(キャンプ組の)ハケから行こうよ。

⑥コンビニから

中野「加藤さん、明日、何時の電車ですか?」

松田 一回止めようか。セリフあってる?

あってます。

鈴鹿 あってます? 一言一句?

はい。

──神長の家の場面が去って、また車内の場面に戻るところ。

松田 そこタイミングどうなってたっけ?
深澤 すいません。ちょっと早かったです。
生実 いや僕も遅かったです。
松田 (神長)コーヒーは飲んでほしいな。
松田 コーヒー飲んだら(辻井と吉村)辿り着こうか。

松田 メールの最後ってどうだった?
生実 鼻で笑う。
松田 さっき鼻で笑った?(笑)
生実 (はい)。
松田 じゃあ鼻で笑うところから。

最後までやった。

松田 そんなとこですかね。
松田 大体見えてきた感じですね。セリフ確認しておいてねもう一度。動きと。

松田 なんかありますか。
松田 衣装は明日着てくるでいい?
深澤 私は持ってきました。
横田 僕も持ってきました
松田 確定した?
田辺 上半身だけ。
松田 確定した?
中川 いや、いなかったので。
松田 ああ、『シーサイドタウン』で確定したんだ。
中川 いくつか持ってきました。
松田 大門さんも確、決まってなかったよね。
横田 GU行こうって話に。
松田 GU行こうってわけにもいかんよな。
松田 そのスカート初めて見るよね。
大門 いやそんなことないです。
松田 じゃあみなさんとりあえず候補を着てきてもらって。

松田 何かありますか?
川村 ちょっと温度あげました。大丈夫ですか?
松田 はい。暖かくなりました。

鈴鹿 稽古いっぱいしたいしたくないとは別の話ですけど、13時から始まって大体何時に終わるのかっていうのが事前にわかると僕は嬉しいです。
松田 そうね。大体18時に終わろうとは思うんで。とりあえず今日の感じ見ないとわかんないなって思ってたから。
深澤 2つやる日は読めないですよね。
横田 2回通す日ってあるんですか。
松田 余裕があれば両方やりたいんだけど、明日は『文化センター』一本かなって思ったね。まだうろ覚えだから。とりあえず27日に『シーサイド』先にやりますんで。
齋藤 明日はじゃあ18時に。
松田 そうですね。予定的には18時までにしましょうか。
川村 2回通すの一度はやっといた方がいいでしょうね。
横田 『シーサイドタウン』は結構体に残ってますよね。
深澤 11月もやってますし。
田辺 2回やれるんじゃない?
横田 ええっ。
田辺 『シーサイドタウン』結構残ってるよねって言うから。
松田 『文化センター』残ってないのね。
田辺 ふわふわしてます。
松田 ふわふわしてたよね。今日なんか新しくなっちゃったし。マネが入っちゃったし。
横田 マネめっちゃよかった。どっちかというとマネの絵がよかった。

齋藤 じゃあ27日は『シーサイド』だけ。
田辺 じゃあ中川さんは。
中川 見てます。まだ生で見てないから。
松田 『シーサイドタウン』めっちゃ面白いよ。
松田 じゃあ終わりますか。お疲れ様でした。

 

 

12月26日(月)

稽古開始から20分ほど席を外していたため、その間は録画した映像を元に書き起こしています。
松田さんも少し遅れて到着した。

松田 すいません。ああ演出部が二人とも…。

松田 そこの近くのジャズ屋知ってる? ジャズ屋。
横田 ジャズバーですか。
松田 あー夜もやってるかな。是非行ってください。ヤマトヤっていうとこ。おじさんとおばさんが二人でやってる。
松田 離れられなくなっちゃった。My Favorite Thingsがかかってて。
中川 (スマホで調べる)。
横田 へえ。昼はコーヒー。
田辺 美味しそうだなあ。
深澤 良さげ。
松田 そこ是非。あれだけ聞いたコルトレーンが違うコルトレーンに聞こえたな。

松田 音楽はかからんけど、まあ最初から止め止めでやりますんで。それで適当に1時間ぐらい経ったら休憩します。昨日と同じように。今日はちょっと通しやりたいなって思ってますけど。
松田 (生実さん)いいシャツ着てるね。昨日買ったの?
生実 はい。
松田 じゃあ(13時)15分から。10分後始めます。
齋藤 通し開始は16時とかにしますか。
松田 そうですかね。わかんないけど。まあまあ稽古が16時を超えるようじゃ途中でもやめるかな。
松田 まあそんなに焦らなくてもって思って。一週間後またやるんだもんね。そんなに詰め込む必要ないです。

③文化センター・中庭

──辻井・吉村がランチをしている場面。
松田 ここ、セリフどこに出荷するって言ってるの?
深澤 都会です。都会に出荷する。
松田 「都会に」か。「他に」って聞こえた。マスクのせいだろうな。
松田 もうちょっと声張っていいかなって、中川さん。大門さんもだけど。
松田 じゃあもう一回二人が入ってくるところから。

④港から

──港の場面からキャンプに向かう車(中野)の場面。
松田 えーっと、ここをですね。何で取ってるんだっけ。横田さんがハケるのは?
横田 車(中野)が着いたら。
松田 ちょっと(車の)出を、横田さんハケで出ます。
鈴鹿 はい。
松田 タイミング取れる? 横田さんがここに滞在する時間は同じでいいんですけど。
横田 はい。

⑤スーパー

中野「じゃ、この先のスーパーで、食材買いまーす」
吉村、加藤「はーい」

松田 はい。えっとね、そこから買い物するじゃないですか。そこからスーパー行って(上手)奥に行くとき、なんか話してて欲しいんだよね。
松田 あのなんか鉄の扉みたいなところ(劇場の壁)からベラベラ喋り始めて。ああだこうだああだこうだああだこうだああだこうだと。ボソボソでいいんだけど。
松田 実例としては文化センターで辻井吉村があそこから来る感じです。聞こえない方がいいんだけどね、内容は。

 

──休憩します。

松田 ヤマトヤの近くにブルーパロットっていう骨董屋があるの知ってる?そこもいいっすよ。
深澤 ブルーなんですか?
松田 ブルーパロット。
深澤 ブルーパロット。
横田 へー。
松田 なんかいろんなのあって。椅子とかね。おちょこ買ってきた。お正月用に。

──休憩明け。

 

松田 じゃあ吉村が出て「シチュー食べる?」みたいなとこから。

──スーパーで買い物を終えてキャンプ場に向かう車内。
中野「じゃあこれから山道に入りまーす」

松田 「山道に入りまーす」からギアをちょっと。

ギアを入れるマイム。

松田 もうちょっと遅い方がいいかな。入れるタイミング。
鈴鹿 「山道に入りまーす」で、ちょっと経って。
松田 そうそう。

──バンガローに着いた三人。
中野「加藤さん、寝袋持って来ました?」
加藤「え、いや」
中野「あー」
加藤「え?」

松田 あ、そこなんかハマってないな。
松田 セリフはあってるんですか?

あってます。

松田 そこの「あー」が、ああ寒いんとちゃうかなあ…でもあんま言いすぎたら自分の寝袋貸さなあかんし…というか、いやまあそんな心理内容はいいんだけど、もうちょっとニュアンスが。
松田 高い方がいいな、音。一発目のやつ?
鈴鹿 あー? あー? あぁー? あー?
松田 いいんじゃない。もう一回やって。
鈴鹿 あぁー⤴︎ あぁー⤵︎
松田 それいいんじゃない。あぁー⤵︎ よりもあぁー⤴︎ の方がいいんじゃない。

──辻井が車でキャンプ場へ向かう場面。
松田 えっと辻井も入ってきて、ギア入れよっかな。
松田 しばらくして山道に入って、ギア入れる。
深澤 車、運転したことなくてギアの入れ方がわかんないんですけど、こんなんでいいですか。
松田 大丈夫ですよ。ギア入れたら曲入れよっか。
松田 いやいっか。そんな合わせなくて。

──シチューを食べ、みんなおいしいおいしいと顔を見合わせる場面。
松田 そこちょっと「へへ」って笑おうか。どうせなら。

夏の稽古で「あはは」と言わずに笑うことになったけど、やっぱり口に出して笑うことになった。

加藤「え、あ、美味しい」
みんな「へへ、ふふふ」

──中野と加藤がバンガローで話す場面。
松田 加藤えっとね。スプーンの時、シチューの時、左手も添えてくれるかな。もうちょっと皿を持つ。

──里岡が港にいる杉田にパンを渡す場面。
里岡「これ、店長が」
杉田「どう」

セリフの「ども」が砕けて「どう」になっている。

松田 いや、そこどうしようかな。今までは許してきたけど。ども。
横田 どうも。
松田 うん。それで。

松田 もっかい大門さんの出から行きますんで。

里岡「働いてください」

松田 それね「働いてください」で、走るよね。正面向いて走ってくれる?
松田 うん。もうちょっと、シンジじゃない、誰だっけ。
横田 杉田です。
松田 杉田が辿り着いて、止まったら(やめる)。
松田 もっかいやろうか。「働いてください」。

──加藤と吉村が消えていく光を眺めている場面。
加藤「消えていきますね」
吉村「消えましたね」
加藤「あー」​​

松田 その「あー」、「あーーー…」ってもうちょっと伸ばそうか。
田辺 あーー………。
松田 もうちょっと。
田辺 あーーーー………。
中川 ………。
田辺 もう一回行きます。

最後までやった。

松田 じゃあ16時10分から通そうか。衣装着て。

 

──休憩します。

松田 M1は見ましたか。僕は嫌いじゃなかったけどね、ウエストランド。
松田 やっぱあの餅つきのグループがよかったな。
鈴鹿 ヨネダ2000。
松田 ヨネダ2000が一番好きだった。なんもないもん得るものが。歌だけやったで。

──休憩明け。

 

松田 ちょっと二、三分待って。トイレに行きます。

──戻りました。

松田 じゃあはい、行きましょうか。

『文化センターの危機』通し

キャンプに向かう車内のシーン以降、加藤のフラットな身体=助手席に見えてきた。連れて来られたやつの身体というか。フラットな身体に戻るたびにそこが助手席になる。

お疲れ様です。
97分です。

ミーティング

松田 はい。
松田 よっしゃ、できたね。もう(本番)やっちゃおうかね。

松田 なんかセリフ飛ばなかった?
中川 寝た後の。
深澤 言ってなかったですか!? 言ったと思ってた! すいません、今の今まで気づかなかった。
松田 あと寝忘れたのと。
鈴鹿 すいません。キャンプ場の「交際を持ちかけて〜」ってところもめちゃくちゃ間違えました。
松田 セリフあってる? 僕交際って書いた?
松田 交際ってセリフあんまよくないな。

松田 まあ全体としては復活したんじゃないかな。元気にできてました。
松田 明日は『シーサイドタウン』をやって、『シーサイド』は一回通せたらそれでいいかなと思うんで。
横田 来ていきなり?
深澤 わあ。
横田 できんのかな。
深澤 やってみたい気もするけど。
鈴鹿 明日ヨーイドンで通して返し稽古して解散するっていうことですか?
松田 うん。何もなかったら解散していいんだけど、あれやばいってなったら。シンジ次第だな。
横田 いや結構やばいと思います。
松田 こないだやったじゃん(笑)
松田 いやいや簡単に二本立てっていうけど、俳優さん大変ですよ。

松田 「あ」とか「えー」とかいっぱいあるよね。『シーサイド』の時のそれと『文化センター』の時のそれと混同しないでね。
田辺 この冬の稽古に来るまで怖かったです。でもだいぶ整理しました。

松田 はいそんなとこですかね。
松田 とりあえず今日はこれで終わりましょう。
齋藤 川村さん明日からお休みに入ってしまうので。
川村 すいません。年内これで。
松田 良いお年を。
みなさん 良いお年を。
川村 次がこの照明仕込みの1月5日です。
松田 またお会いしましょう。

お疲れ様でした。

 

 

12月27日(火)

今日は『シーサイドタウン』をやる。

松田 (田辺さんのシャツ)なんか素敵やな。雷みたい。

松田 (田辺さんのシャツ)なんか素敵やな。雷みたい。

松田 さてと、じゃあどうしようかな。
松田 三宅唱の『ケイコ』見てきましたけどね。めっちゃよかった。東京じゃ時間取れなくて見れないんだけどね。
横田 映画監督?
田辺 三宅唱。
横田 ああ、けいこって映画ですか。ボクシングの。

稽古ではなく。

松田 そうそう。この機会に。
横田 どこでやってました?
松田 アップリンクで10時5分からやっててね。ちょうど行けるなって。
深澤 さっき見てきたんですか。
松田 はい。興奮冷めやまぬ。
松田 間違ってないって感じがしましたね、我々の作品も。間違ってない! って。
田辺 それは素晴らしいことです。
横田 どういうふうに間違ってないっていう。
松田 ちょっとわかんないけど。
松田 あんまり説明がないんだけど、それがよかったです。

松田 じゃあ(13時)15分から行こうか。10分後に。
松田 15分。20分にしようか。20分ちょうどに始めます。

 

『シーサイドタウン』通し

お疲れ様です。
93分です。

ミーティング

松田 セリフどうでしたか。
深澤 噛みましたが、覚えてました。
田辺 僕は結構間違えました。
横田 僕も結構間違えました。
松田 なんか最後トノヤマ間が長いかもね。
生実 修正します。

松田 まあまあ久々なんで。一ヶ月半ぐらいぶり。
松田 なんか割と感情の方が忠実に出てた気がするけど、全体として。とはいえちょっと角をとって抽象的にするような必要もない気もする。その辺の塩梅がわかんない。でも割とそういうのに陥りやすい芝居だなあって。場が持ってる感情とか戯曲の持ってるドラマ性に忠実になってる気がしませんでしたか?
鈴鹿 久しぶりなんで新鮮な感情にはなってました。
松田 ざね(生実)くんは?
生実 なぞろうなぞろうとしてました。
松田 なんか上手くなっちゃってるもんな。上手くというか剥き出しという感じ。いやまあ元々が抑制されてはいるんだけど。血生臭い芝居だなとは思ったね。『市民センター(文化センター)』と比べてね。
松田 大門さんはどうでしたか?
大門 なんか声が出しやすかったです。あんまり緊張しすぎずにできたから、声が出しやすかった。
松田 いつもより?『市民センター(文化センター)』と比べてというわけじゃなくて?
大門 いつもどこかしら声がうわずっちゃうところがあったけど、今回は特に…。
松田 そうね。どっかよく出てるなって思ったところあったね。

松田 中川さんどうでしたか? 観客。
中川 話というかドラマの要素になる出来事が多いなって。(ギイチが)下手の奥から除いてたり、最後お母さん(クルミ)が舞台の外からウミを呼んだり、ハケ口の暗いところから車が発進したりとか、そういう暗いとか見えづらいとか、私はギョッとするって感じがして。それは特にドラマの要素が多い時にギョッとしたなって思ったけど。食べるとか寝るとか洗うとか飲むっていうのをみんな何回もやる、そういう仕掛けられたものに誘発されるドラマを見てドキドキしたり想像したりするんだけど、それよりもよくわからないけど目の前の人が立ったまま寝てることにしてる、洗ってることにしてるみたいなことの方が不思議な気持ちになるというか。もっとこうなって欲しいとかはないけど、奇妙さとかわからなさみたいなのは、そういう何かしてる身体を見てる時の方が感じるなって思いました。
中川 血生臭いっていうのはわかって。『文化センター』は表面上はさらってしてる。だから二本続けてみるといいだろうなって思いました。
中川 横田さんがカップ麺を啜るところ、ウミが来てしゃべってる間に麺伸びちゃったんだろうな…って。それって実際にカップ麺のものがあってやってたらそうは思わないだろうなって。ものがないから自分が想像したいものを想像しているというか。
中川 なんか最初に挙げたあそこに立ってるとか暗いところから始まるとかってことは結果が見えやすいというか、こうやったらこうなる、こう見えるってことが予想しやすいけど、立ったまま寝ていることにしてる人たちが目の前にいるってことの方が予想できない、向かう先がわからなくて、良い意味で気持ち悪い、知らないものがそこにあるって気がしました。
中川 でもそっちに寄る時間はあまりなくて。話が強いなって思ったから。想像してたより情報量が多いというか、固くて重い感じがして、それに驚いたって感じです。

松田 寝てることにしてるとか、抜け抜けとしてるってことだよね。抜け抜けと寝てることにしてるっていうか。
横田 マイムのジェスチャーの時にやってるていでやる箇所もあれば、マジでやってるっていうイメージでやる時もあって。それはやってるていでやった方がいいのか。
松田 それは何が違うの?
横田 やってるていでマイムをやるともっと適当になるというか。でもマイムをやっているっていうていじゃなく、今本当にコップを持ってます、コップを出現させて、それにしっくりくる手の形を探ってますって思ってやってる時もある。
松田 それは分けられるの?
松田 演劇の場合、本当に食べるってことをしないわけだから。そういうメタ的になる要素が『シーサイド』の方は物語のなかに割と仕組まれてるよね。
横田 カップ麺はここにないから味もわかんない。結局ものがないからそういうていでやってるってことに最後はなるんですけど。あんまりマイムに本気で向き合うのは良くないかなって。自分が。
松田 それはそうなんだけどね。本気で向き合ってる人いるかな? 本気で向き合いようがないよね。でも芝居的には本気じゃないといけないから。
鈴鹿 初演に参加したときからいわゆるパントマイムのように既存の動きをトレースして綺麗にやるわけじゃないっていうのは松田演出の印象として強くて。だから無対象の演技はマイムの技術であたかもそこにものがあるように見せていくそれとは全く異なるそれだろうと思ってやってます。今ここのブラックボックスにここにはないキャンプ場を重ねるように、やってることとやってないことを重ねるようなイメージ。
松田 それまでは共有できてると思うんだけど。おろそかなマイムって言ってたと思うんだけどね。
横田 花火が上がって綺麗だなって思ったら物語に加担しすぎなんじゃないかって。花火とか見上げてるていでもちょっと感動しちゃうんですよ。いや感動はしないんですけど、花火だなって思おうとすると、好きだな花火…ってなる。
松田 それは必要ないかなあ。
横田 花火好きーっていうのが顔に表情として出ちゃうんじゃないか、それが発話とかにも現れちゃうんじゃないかって。戯曲に書かれていることをイメージするとどんどんそっちに流されちゃって、いろんな表情しちゃってるんじゃないかって。自分ではフラットにいるつもりだけど。
田辺 でもあるわけないやん、花火。
横田 なんでそんなに冷たい…。
田辺 僕はあるわけないやんって思うようにしてる。行きすぎるから。
横田 素晴らしい。
田辺 んなわけないやんって思う方がブレーキかかる。
松田 だから遅れるんじゃないですか?
横田 いちいちそんなわけないやろって思うからワンテンポ遅れる。
田辺 すごい僕がダメ出し食らった。
深澤 こないだ『文化センター』の時もそういう話しましたよね。横田さんが海を見るところ。
横田 どうして感情が出ちゃうのか、どうしたら感情が出ることになっちゃうのかを突き詰めたいんですよね。首を動かしたら海を見てることになるっていうけど、そこで自分の中で本当に海が見えてきちゃうから。

松田 俳優としてそこに立ってるってだけでなんか良い感じになりがちだからね、このお芝居。だからお兄さん(ケンイチ)の最後の「もう行こうか」ってところも良い感じになってたね。
田辺 ああそうですか。でもちょっとわかる気がします。連れていかれるんですよ。影響を受ける。
松田 あそこは課題だなって思うけど。何への感情かわからないしね。「自分が刺したんだよ」ってセリフとか既存の何らかの感情と結びつくわけじゃないから。それを既存の感情に落とし込もうという感じになっちゃってるのかもね。その必要はないんじゃないかな。
横田 なんか自分で自分の身体にナイフを刺す場面で心臓を刺したくなるんですけど、それは致命傷になることを知ってるからで、でも心臓を刺しにいくっていうのはドラマっていうか、だから心臓を狙いにいくみたいな姿勢をあまり出さないようにしてるんですけど。心臓を回避した方がいいのか、しなくてもいいのか…。
横田 要するになんか情が移らないマイムを作りたい。
松田 とはいえ、情がないとなると情がないということが表面化するはずで、だからその中間領域を探すしかないんですが、その度合いですよね。エモーショナルにもならず全く無機質にもならない。
松田 情動っていうのは、既存の喜怒哀楽に集約されない、ドラマの物語性の中から生まれてくるものではない広がりが上演の中で初めて生じてくるような感覚だと思うんですよ。でも『シーサイド』は人が死ぬとか物語の中の感情的な要素が多いから。
松田 シンジって結構空虚ですよね。もはや家族的な繋がりもなく、その痕跡のようなものだけがある空き家に住んでいて、彼自身に何かがあるわけではないけど、近所のギイチとかいとこのむつみさんとか彼の周辺に感情を揺さぶるような要素がたくさんある。その中で私たちの演技は感情ではなく情動の上で成り立たせようと、そうなるように頑張ってほしいって思ってるわけですよね。普通に演技しちゃうとカチッと感情的な芝居が出来上がっちゃうから。そこをもう少し曖昧にしていくと情動的な要素が生まれてくるんじゃないかな。
松田 さっき中川さんが言ったこととそれに関連して横田さんが言った血生臭いドラマ性があるから一々の演技や振る舞いに慎重になった方がいいっていうのは重要な問題提起かなって思いました。

中川 『シーサイド』は車の揺れがちゃんと作られてるなって思いました。自分も『文化センター』の方でやってて思うんですけど、こっちはもうこれだよなっていう確定された揺れだったから。『文化センター』の方は割と荒くて、スピードがもう一個一個違うから、これでいいのかなって思ったりしたんですけど、どっちもやってるみなさんはどうなんかなって思いました。揺れに対する反応のバリエーションとか。
松田 横田くんが上手いんじゃない。田辺さんは?
田辺 確かに丁寧だよね。『文化センター』は雑だよね。
横田 それはもう本番を経た上で芸の域に入ってるんじゃない?
松田 芸なんかな。

横田 『文化センター』の身体がこっち(『シーサイド』)にもあったほうが面白いと思う。
田辺 確かに。抜け感がね。
松田 まあ『文化センター』の方は日が浅いから。
鈴鹿 でもどれだけ洗練されても横田さんがやってる演技とそれはなんか別種な気がする。『文化センター』のようにはならないというか。
中川 『文化センター』で車をバンバンって雑に閉めるっていう演出があったけどそういうイメージがあった。西洋の人がそうするみたいにって。そのせいかなって。
松田 スーパーからバンガローまでの車内の動きはいいけどな。降りる時も。良さは違うと思うし、違っていいと思う。
松田 『文化』の要素が『シーサイド』にもあった方がいい? 『シーサイド』の方がマイムの解像度が高いよね。おろそかはおろそかだけど。身体の乗せ方が明らかに違うよね。
田辺 二つやっててなんか感覚違う?
横田 何が違うか? …登場時間が違う。でもそういうのもある。
田辺 僕は今日明らかに違った。戸惑った。
田辺 始まる前の男楽屋なんか緊張感があったよね。最初久しぶりに手が震えて、ざねくん(生実さん)に聞いたらざねくんも震えてたって。
横田 でもあの緊張は捏造されたもの。
田辺 『文化』はアバウトにいられるけど『シーサイド』はかちっとしないと身体が場にはまらない感じがする。
横田 気を張らない感じになったらいいなと思う。
中川 私も緊張しました。
松田 なんかトラウマになってるんじゃないか。
横田 緊張に名前をつけちゃだめです。
松田 『文化』はエアーの人物もいるもんね。だから雑に出来上がってると思うけどね。戯曲上の問題だけど、でもそれは意識的に作ったけどね。『シーサイドタウン』の方が中心に起点があって、そこから見えるものっていう問題。車の移動もあるけど、ほとんどシンジの空き家から見えるものを。
松田 二つやってみてどうなっていくかっていうのがだんだん見えてくる気はするけどね。今まで別々にやってきたんで、これで二つが近づいてきた感じはあるよね。

──突然アラームが鳴る。

大門 あ、今日授業ありました。忘れてました。
松田 授業?休みじゃないの?
大門 まだ休みじゃなかったらしいです。
松田 ええ、大丈夫ですか。
大門 今日テストがなかったら大丈夫。

松田 まあ追々。二本やってみたらいいんだね。明日は『文化センター』もっかいやろうって感じかな。来週年明けに二本二本やろうかなって。今は『文化センター』慣れた方がいいかなって。

 

 

12月28日(水)

午前中にオンライン上でハラスメント防止のワークショップがあったので、後ろ倒しで13時半から稽古です。

松田 やりましょう。
松田 ハラスメント防止講座どうでしたか。
松田 グレーゾーンの問題は大事ですよね。語り続けましょうって感じでしたね。

松田 じゃあ『文化センター』を15分、(13時)45分からやりましょうか。まあ止めながらやってみて、場合によってはまた最後通しますが、時間がかかりそうなら明日通しても良いかなと思います。
松田 明日通そうか。体力のこと考えるとね。
松田 今日止め止めでやってみましょう。で、17時16時ぐらいで終わって、またいろいろお話しして終わろうかな。で、良いかな。どうですか。
松田 じゃあそういうことで。じゃあ(13時)50分からにします。

──13時50分。

松田 スムーズに行けば止めないんで、次準備しといてください。

 

①コンビニ 

里岡「いらっしゃいませー」

松田 あ、マスク取ろうかな。


──神長、外に出て街を見る場面。
松田 あの欄干に手を置いて街を見るところ。もうちょっと巡らす感じ? 首で全体をなぞるというか。
松田 中川さん(出のきっかけ)何で取ってました?
中川 ついて5秒数えてました。
松田 ついてっていうのは?
中川 (神長が)欄干に手を置いて、5秒。
松田 わかりました。

 

③文化センターから④学校へ

松田 中野と加藤がハケるところどうやって取ってるんだっけ。
鈴鹿 大門ちゃんが入ってきて押し出される形ですね。ところてんみたいに。
松田 じゃあ大門さん入ってきて、ここ(二人の前)まで入ってきてくれる。
大門 はい。

そのようにやってみる。

??

松田 あれ?(大門さん)入ってきたら二人ハケるんじゃないの。
鈴鹿 ああ、そういうこと。
松田 じゃあ二人とも残るパターンで一回。

残るパターンでもやってみる。

松田 今はハケ何で取った?
鈴鹿 芝居が始まったらよきときで。
松田 じゃあやっぱり大門ちゃんが入ったらハケて。
松田 じゃあもう一回同じところから。

やっぱり最初のパターンでやる。

松田 はい、違うね。やっぱりさっきの方がいい。
鈴鹿 (二人は)とどまって?
松田 そうですね。

やっぱり残るパターンになった。

──里岡、コンビニで店長と話している場面。
松田 そこね。「明日の夜が〜」のセリフの前にワンアクションあるよね。それ何してるんだっけ?
大門 鞄持ってる。
松田 その鞄こっち(右手)で持ってくれる?

こっち。持っている腕が見えるように。

──里岡、妹と話す場面。
松田 えっとね、「あ、ごめん」と「あ、そうだ」の「あ」二つ。後半の「あ、そうだ」の「あ」を大きくして欲しいんだけど、1回目の「あ」も大きくして欲しい。で、なおのこと大きいのが後の「あ、そうだ」の「あ」。

里岡「あ、ごめん」

松田 うん、もうちょい(大きく)。
大門 ああ。
大門 「あ」。
松田 うん、それぐらい。

──杉田、港でパンを貪る場面。

右手にパンを持っている。

松田 それなんだっけ。
横田 パンです。
松田 だよね。もうちょっとちぎろうか。なんか今ちっちゃいなって感じ。もう少し大きい方がいいな。

松田 はい。じゃあこっから休みます。
松田 じゃあ15時に再開します。

 

──休憩します。

松田 ちょっとストロークスかけようよ。
松田 あのRCAって書いてあるアルバム。

♫ The Strokes / Comedown Machine (2013)

──休憩明け。

 

松田 じゃあ再開しましょう。横田さんがハケました、から行きましょう。

──スーパーの場面。

話し合いながら食材を選ぶ三人。

松田 ここ三人組さ。会話はしつつ、人に顔は振らないで。

お互いに顔まで見合わせると今ここのスケールに収束しちゃう。

──四人、シチューを食べて顔を見合わせる場面。

松田 こう、フフフ。そっちももっかいフフフ。全部にフフフを言い合ってるっていうふうに。

フフフ。

松田 辻井の「二人きりになれるじゃないですか」ってところで、二人(吉村・中野)の方見ようか。で、最後はまた正面に戻って。

そのようにする。

松田 やっぱりその後の「ここにいますけどね」まで行ってからスーッと戻そうか。ごめんね何度も。

──中野、バンガローで加藤と話す場面。
松田 はい。吉村が取るじゃないですかビール。取って、それぐらいの時に。
鈴鹿 「来年度から〜」。
松田 って入れて欲しい。
松田 あと中野の「加藤さんには、もちろん、関係のない話ですけど」をカットします。
松田 それでもう一回一連やりましょう。

もう一度やる。

松田 中野の「いや、違いますよ…」のところもカットしようか。中野「再就職の話を持ちかけたみたいになってなかったですか」で、吉村「本気で、あんなこと考えていたの?」って。
​​
松田 あと中野、そこボリュームもう少し落とそうか。今ちょっとナレーションになりかけてるから、その二人の距離感の中の話にするっていう。割と男性のホモソーシャルなことが語られてるんだけど、それがボリュームが大きすぎると構図として見え見えになっちゃうんで。鈴鹿さんの声なら届いてくると思うので。

──加藤、バンガローを出て、タバコを吸う場面。
松田 えーっとですね。立ち上がって、ちょっと1、2歩でタバコ吸ってもらって。
松田 タバコ吸ってフー、でもう一回吸うとこで、二人(杉田・里岡)出て来てもらえますか。加藤はそのまま(次の場面の)街の人になりますんで。
松田 加藤がタバコ吸いに前来るのがちょっと無駄なんですね。それより横田くんが真ん中に来る方が良くて。
松田 で、後ろの三人が立ち上がるタイミングはなんで取ってましたっけ。
鈴鹿、中川 大門さんが入ってくるとき。
松田 大門ちゃんどこで入るんだっけ。
横田 僕の首が右左右左で入ります。
松田 じゃあ加藤さんは大門ちゃんが入って来たら動き出して。
田辺 私は(ハケ)前ですか?後ろですか?
松田 どちらでもいいんですが、まあ一回見ますけど。
松田 次、光(を目撃する場面)だもんね。で、こっち(上奥)は人出てくるから、じゃあ下奥で。

──里岡、港から走り去る場面。
里岡「働いてください」
走る。

松田 もうちょい腕を。

松田 そうそう。

松田 はい、はいはい。10分休みます。

 

──休憩します。

──休憩明け。

 

⑦キャンプ

──加藤と吉村、光を目撃する場面。
松田 (吉村の)「消えましたね」がちょっと早いかな。消えるのもうちょっと待ってほしい。
松田 えっとですね、加藤のセリフの「え」をカットします。吉村「むしろこわかった」のところ。

 

⑧駅

最後の場面

松田 (笑)
田辺 僕がわかってない。(腕は)このまま?
松田 音が消えてもこのままです。で、10秒経ったらおろしましょうか。

松田 で、10分ほど休んでミーティングしましょうか。

 

──休憩します。

──休憩明け。

 

ミーティング

松田 お疲れ様でした。軽く行くつもりが随分修正しました。修正多いんで、明日は『文化』が先がいいかな。
横田 はい。
松田 今日長丁場だったね。途中で目が見えなくなってきた。
松田 歳かなあ。
鈴鹿 なんとも言えないなあ。
松田 あんまり考えないんだけど歳なんかな。体力。

松田 なんかありますか。
中川 一つ確認したいんですけど、明日の方がいいですか?
松田 はい?
中川 中野のセリフが二つカットになったけど、加藤の相槌は?
松田 ああ相槌ね。アリで行きます。なんて言うんだっけ。
田辺 うーん。
松田 うーん。
松田 相槌が入って、こっち(吉村)に行きます。

お疲れさまでした。

 

 

12月29日(木)

今日は最終日なので二つ続けて通します。

まずは『文化センター』から。

松田 じゃあ半からっていうことで。

記録のため映像も撮ります。

 


『文化センターの危機』通し

辻井の「そこからの眺め、いいでしょー」に金麦のCMの檀れいの面影を重ねる。
その後の正面に向かって発されるセリフがこちらへ語りかけているように聞こえてドキッとした。

お疲れ様です。
95分です。


ミーティング

松田 なんかあった?
松田 あっこだよね。キャンプに向かう中野が車で来るタイミングが。横田さんハケえのでお願いします。

松田 じゃあ『シーサイドタウン』。
深澤 何分後ですか?
田辺 50分後。16時から。
中川 仕事納め…。
松田 中川さんもちょっと出てもらおうかな。

 

──休憩します。

──休憩明け。

 

『シーサイドタウン』通し

戯曲の情報量に比べて舞台上に可視化(空間化)されるイメージが少ないので、目の前で起こる出来事の背後に無数の出来事の予兆のようなものが常に控えているような気がする。落ち着かない。

怪奇のムール貝(不動)
https://youtu.be/Av7USKQFxmU

お疲れ様です。
91分です。

ミーティング

松田 最後のウミが寝るのとギイチが出てくるのって(タイミング)どうなってたっけ?
鈴鹿 割と感覚でやってますけど、今日はちょっと僕が数えすぎたかなって。
大門 私の記憶が正しければ、手をこう(前に)するのは(クルミが)「ウミー」って呼び終わった後。
松田 ウミの言い出しは?
深澤 ギイチがカゴに(みかんの)一個目を入れたら。
松田 あんま早く出て来てもらってもあれなんだけどね。今はちょっと遅いかな。

松田 どうでしたかシンジ。疲れとか集中は。
横田 疲れはないです。いけました。
松田 トノヤマは飛ばしてたね。
生実 はい。でもそんなにいつもと変わらない感じ。
松田 お兄さんは早かったね。
田辺 早かった。喋りがです?
松田 早かった。いやよかったけどね。
田辺 前やってた身体の状態と今は違うなって。
松田 セリフは不安定でしたね。
田辺 はい。それを直します。
松田 あとトノヤマとシンジのところ、こないだと今日との中間ぐらいがいいんだけどね。今日はあっさりしすぎてたな。

松田 あとはうまくいってた気がしますけど、何かありますか?ひとまずいけそうですね。
松田 意外と疲れる。肩凝るね、この芝居ね。始まる5分前くらいからまたこれ見んのかって気分に。
松田 いや見始めたら面白いんだけど、これだけ見てると正直ね。二つとも能動的に見ないといけないから、一個で十分な気がする。
鈴鹿 アハハハハハハ。
松田 割と集中力が必要なので、見ながらどっちが先がいいんだろうとか色々考えたね。『シーサイド』が先だと『文化』はどういうふうにやるといいのだろうかとか、その逆とか。たった4分のM-1でも順番に影響される場合もあるからさ。で、色々考えたけど、もう僕はわからんなって。新鮮に見ることは不可能だから。マニアックに見るしかない。
松田 いずれにせよ芝居は崩れてはないかなって。基本線は。

松田 中川さん2回目見てどうでした。
中川 最初はマイムが何やってるかわからなくて追いつけなかったところが何箇所かあったんですけど、2回目だからわかった、ああわかったかなぁ? みたいなところがあった。角度によって見えたり見えなかったりするところもあるし。あと横田さんが何回裏にハケれるか数えてたんですけどめっちゃ少ない。4回か5回…。
松田 ほとんどいるよね。
中川 裏行って回ってすぐ出て来たりもするから。

松田 大門さんどうでしたか、二本やって。
大門 意外と大丈夫でした。
松田 深澤さんは。
深澤 私は疲れました。初演で『シーサイド』一本でやってる時は袖でずっと他の人がやってるの見てたんですけど、今日はその余裕がなかったです。ここで回復しないとって。人の見てる余裕ないぞって。
松田 「おやおや」のところの迫力は前の方があったよね。「すいません!」(シンジのセリフ)。
深澤 本気で謝る時ありますよね。「すいません!」って。
横田 ああ。迫力はわかんないけど、怒られるぞって。
中川 確かに前の方が怖かったかも。怒られる! って。

松田 それじゃあそんなところですかね。またセリフを確認して。
松田 「合宿でサークルに行く」ってとこぐらいよね。

先の『文化センター』の通しで、加藤の「サークルで合宿に行く」というセリフがひっくり返った。

松田 出だしから「合宿で」ってひっくり返っちゃったから。もうちょっと対処の仕方もあっただろうに、その強引さが腹立たしく思ったよね。
田辺 (苦笑)。
中川 諦めた顔してました。
松田 諦めた顔って面白いね。

松田 はい。じゃあ良いお年をということで終わりましょうか。長丁場だったね。お疲れ様でした。
みなさん お疲れ様でした。

お疲れ様でした。

次回は年明け1月7日からです。

  • 福井 裕孝
    福井 裕孝 Hirotaka Fukui

    1996年京都生まれ。演出家。2017年にマレビトの会『福島を上演する』に演出部として参加。2018年から個人名義での作品の発表を始める。近作に『インテリア』(2020)、『デスクトップ・シアター』(2021)、『シアターマテリアル』(2020,2022)など。下北ウェーブ2019選出。ロームシアター京都×京都芸術センターU35創造支援プログラム“KIPPU”選出。2022年度よりTHEATRE E9 KYOTOアソシエイトアーティスト。

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