2022年度ロームシアター京都リサーチプログラムについて、選考の結果、参加リサーチャーが決定しましたのでお知らせします。
これから一年を通してそれぞれのリサーチに取り組み、最終報告にまとめていきます。2023年3月には、最終報告会を実施する予定です。
なお、これまでは1年間のリサーチ計画を採用した上で最大2年の継続を可能としていましたが、今年度からの新たな取り組みとして、応募時点で2ヶ年のリサーチ計画を受け付けています。
募集内容はこちら
テーマA:現代における伝統芸能
■荻島 大河(おぎしま たいが)【新規/2ヶ年(1年 目)】
1991年生まれ、山政流犬牽。和光大学表現学部総合文化学科の鷹狩文化研究と並行しながら諏訪流放鷹術保存会にて鷹匠修行を行う。成果を学生研究助成金論文2011「宮内省の隼」同上2012「中世から近世におけるヨーロッパ文学の放鷹文化表現について」卒業論文2014『律しない鷹匠』として発表。両卒業後は犬牽文化の研究を本格化、2014年より一般社団法人岐阜県美濃柴犬保存会から美濃柴犬を迎え入れ鷹犬復元開始。成果は比較神話学研究組織2014「猛禽類の記号を持つ犬から読み解く鷹犬の地位」同上2017「犬飼/犬牽の信仰:鷹犬が内包する死と畏怖のイメージ」同上2018「忘れられた犬牽の神‐鷹書に伝わる獺丸説話との比較から読み解く」として発表、2017年には復興流派山政流発足。2020年には京都芸術大学共同利用・共同研究にて「失われた犬牽の芸能犬‐始原演劇の復元に挑む」実施。2021年には星海社より『江戸のドッグトレーナー 犬牽の伝統に学ぶストレスフリーな愛犬生活』出版。
テーマB:子どもと舞台芸術
■彦坂 敏昭(ひこさか としあき)【新規/1ヶ年】
美術作家。京都芸術大学こども芸術学科専任講師。アーティストコレクティブ〈木曽路〉を鬣恒太郎と前谷開と共に運営。東山アートスペース(主催:京都市東山青少年活動センター)ナビゲーター。京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程(彫刻領域)在籍中。人が他者や事物をわかる(わかり合う)状況に強い関心と疑問を持ち、「拾う」「描く」「歩く」などの異なるアプローチを通した協働や対話のあり方を探っている。2015年、公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員としてイギリスとアイスランドに滞在。2009年、ポロック・グラズナー財団(ニューヨーク)より制作支援を受ける。現在、京都市京セラ美術館ザ・トライアングルにて、他者との同行をテーマにした展覧会「砂のはなし」を開催している。 http://hicosaka.com/
テーマC:舞台芸術のアーカイヴ
■立花 由美子(たちばな ゆみこ)【新規/2ヶ年(1年目)】
静岡大学地域創造学環アート&マネジメントコース専任講師。1989年生まれ。2014年慶應義塾大学文学研究科美学美術史学専攻修了、2016年ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン修士課程(博物館学)修了。大英博物館での研修を経て帰国後、神奈川県立近代美術館非常勤学芸員を経て、2018年から2021年まで金沢21世紀美術館アシスタント・キュレーター。これまでの主な企画に「一桌多椅 More than one table」(2018年、東アジア文化都市「変容する家」パフォーマンスプログラム)、「私たちの、私たちによる、私たちのための美術館」(2020年)、「コレクション展1 Inner Cosmology」(2021年)、主な論考に「インタープリテーション:「みる」人とつくる展覧会」(『国立新美術館研究紀要』、2018年)、「パフォーマンスコレクション再演のための試論:塩田千春+岡田利規《記憶の部屋について》を起点に」(『Я[アール] : 金沢21世紀美術館研究紀要 第9号』、2022年)など。
自由テーマ:舞台芸術のチケット価格戦略
■小倉 千裕(おぐら ちひろ)【新規/2ヶ年(1年目)】
1993年生まれ。同志社大学大学院経済学研究科応用経済学専攻博士前期課程修了。在学中は、「日本の演劇における前売券を割り引く商習慣」をテーマに研究を行うとともに、自らも歌と演技を学んで舞台に立つことを両立する生活を送る。
修了後は、演出・制作にも活動を広げ、主宰する俳優組合わざおぎるどで、日本の近代戯曲を中心に公演活動を開始。また、2014-22年 ミュージカル教室ふぃるふぃ~るの運営スタッフとして、教育という観点からもアプローチを行う。2019-22年 株式会社OSK日本歌劇団広報宣伝担当として勤務し、公演のキャッチコピーやあらすじの執筆、フライヤー・公演プログラムのディレクションに携わる。現在は、一般社団法人まちライブラリーに勤務。
芸術活動を行う当事者として、チケットの価格付けや割引制度といった切り口から、いかに観客の裾野を広げられるかに関心を持ち、リサーチを行う予定。