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#インタビュー#機関誌「ASSEMBLY」#2021年度

Artist Pickup Vol.11

福井裕孝

インタビュー・文=小倉由佳子
2021.5.29 UP

もの・人・空間の出会いをアップデートする

ロームシアター京都と京都芸術センターが協働して行う、U35創造支援プログラム“KIPPU” において、2021年に福井は新作『デスクトッ プ・シアター』を発表する。テーブル上を舞台に、俳優の指やものを用いて上演をおこなう。「ものを置く」、「人が集まる」という機能を基本とするテーブルを劇場のイメージに重ね、「人」と「もの」の新たな出会いを生み出す。
 「スペースが限られた展示に参加する機会があって、そのとき、小さい頃に指を使って遊んでいたのを思い出して、だったら全部スケールダウンさせて、テーブルを舞台に、指を使って上演してみようと考えました」。
 これまでも福井は、劇場備品の「箱馬」を一定期間劇場外で保管し、それを再び劇場に戻すプロセスを記述する作品や、出演者や観客が各々の自室にあるものを持ち寄り、それらを舞台に再配置する作品など、「もの」「人」「空間」の関係性を問い直すアプローチを重ねている。
 「学生の頃から、もの派の作家には影響を受けています。関根伸夫さんの《位相-大地》は、堀られた穴と積まれた土が、作品というか、ただ作家の行為の痕跡としてその場にあって、戻せば、また元通りになる。現実にすでにあるものに対して行為を介在させる、その手触りがいいなと思いました」。
 今までは「身軽さに憧れがあった」と語り、 予算的なこともあって、先に自分がしっかりと枠組みを作ってしまうことで、いかにインスタントな方法論を作り出せるかを試行した。ただ、 松田正隆の『シーサイドタウン』で演出助手を務め、俳優に対する意識が変わったと言う。 松田は創作期間中のことを俳優と共に「劇場に住む」期間と例え、稽古を繰り返した。「松田さんは俳優のことをすごく信頼しているから、 俳優の応答を気長に待っている。自分はそれ まで枠組みを作ることを優先して俳優と向き 合う時間を少なくしてきたけれど、これからは 俳優との関わり方も変わるかもしれません」。
 2021年夏、次は福井がロームシアター京都の住人になる。

初出:機関誌Assembly第7号(2021年3月25日発行)

  • 福井裕孝 Hirotaka Fukui

    演出家。人・もの・空間の関係を演劇的な技法を用いて再編し、その場の全体的な状況を異なる複数のスケールとパースペクティブから捉え直す。近年は、天井・周壁・床面によって仕切られた「部屋」という空間単位とその場の特殊性を所与の条件として作品の製作を行う。次回公演『デスクトップ・シアター』は7月2 ― 4日、ノースホールにて。

  • 小倉由佳子(ロームシアター京都) Yukako Ogura

    ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)・事業担当係長。2021年度プログラムディレクター。神戸女学院大学文学部総合文化学科卒。AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)でディレクターとして勤務後、2016年より現職。

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