Column & Archivesコラム&アーカイヴ

#インタビュー#2021年度

Artist Pickup Vol.13

会田莉凡

インタビュー:長野夏織 文:山形ゆき(ロームシアター京都)
2021.10.15 UP

心をのせた音を紡ぐ

幼少期からヴァイオリンを始め、桐朋学園大学在学中に日本音楽コンクール第1位を受賞のほか、コンクール優勝歴は多数。学生時代から数多くのステージを経験し、2020年には京都市交響楽団特別客演コンサートマスターに就任。ロームシアター京都では、2021年6月開催の京都市交響楽団×藤野可織 オーケストラストーリーコンサート「ねむらないひめたち」でコンサートマスターを務めた。

プロの奏者になることを意識するきっかけとなったのは、2010年から長年参加した「小澤国際室内楽アカデミー奥志賀」。小澤征爾氏率いる世界トップレベルの講師陣が指導するこのアカデミーでは「自分が感じる情景の表現」が問われ、これまで上手く弾くためのテクニックを主軸としたレッスンを重ねてきた彼女は大きなショックを受けたという。「音、一つ一つに自分の気持ちを乗せることの重要さを知りました。音楽との向き合い方が大きく変わった瞬間ですね」ここから彼女の活躍は加速する。2014年にはみずから「クァルテット奥志賀」を結成。オーケストラと室内楽をメインに全国を駆け巡っている。

気鋭の京都市交響楽団特別客演コンサートマスター就任は、伝統ある楽団に新風をもたらしていくことだろう。「楽団員それぞれの音に強い意志があり、その音を重ね、太い束になることから生まれる美しいうねりがこの楽団の魅力です。コンサートマスターとして、オーケストラの個性を守りながら指揮者のエッセンスと調和させることを目指しています」と語る。そのためには指揮者の意図を理解し、演奏空間のすべてにアンテナを張りながら、色々な音色を試し、表現の可能性を拡げていくことだと教えてくれた。

「これからさらに挑戦したいのは、オペラやバレエなど。歌詞やストーリー性がある曲を弾く際に、その場面や空気に沿った技術を学べることに面白みを感じます。あとはゲーム音楽やポップスを演奏する機会も楽しみにしています」オーケストラによって奏でられる物語を通して、自身の表現をさらに磨いていく。力強くも屈託のない笑顔が印象的な彼女の音色は、私たちにこれまで以上に鮮やかな色彩の景色を届けてくれるだろう。

  • 会田莉凡 Ribon Aida

    桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコース在学中に第81回日本音楽コンクール第1位、第6回ルーマニア国際音楽コンクール第1位ほか多数優勝。ソリストとしてルーマニア放送管、東響、東京フィルなどと共演するほか、サイトウキネンオーケストラ、宮崎国際音楽祭に毎年参加。2020年より京都市交響楽団特別客演コンサートマスター。

  • 長野夏織 Kaori Nagano

    ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)事業課事業係長。事業企画では主に音楽事業を担当。昭和音楽大学アートマネジメントコース卒業後、ミューザ川崎シンフォニーホール(2004-13年)にて事業企画・広報を担当。2014年1月、開設準備室より現職。2022年11月退職。

関連事業・記事

Turn your phone

スマートフォン・タブレットを
縦方向に戻してください