Column & Archivesコラム&アーカイヴ

#コラム・レポート#舞踊#総合/美術・映像#2025年度

ダミアン・ジャレ×名和晃平『Planet[wanderer]』
公演前メッセージ

文=ダミアン・ジャレ(コンセプト・振付)、名和晃平(コンセプト・美術)、湯浅永麻(出演)
2025.10.18 UP

11月8日、9日に開催するダミアン・ジャレ×名和晃平『Planet[wanderer]』の開催に向け、アーティスト・出演者からのメッセージが届きました!
公演詳細はこちら


©Rahi Rezvani

ダミアン・ジャレ(コンセプト・振付)

『Planet[wanderer]』をついに日本で上演できることに、大変感動し、高揚しています。日本は、名和晃平氏とともに構想を温め始めた場所であり、この複雑なプロジェクトの最初のリサーチ・ワークショップを京都と石巻で丹念に作り上げた場所でもあります。当初はもっと早い時期での上演を目指していましたが、新型コロナウイルスのパンデミックやその他の技術的な要因により、実現が叶いませんでした。
『Planet[wanderer]』はこれまで世界各地で上演されてきましたが、日本の観客の皆様は、この作品のコンセプトの背景と表現形式の両方に見られる、計り知れないほど多くの深く日本的な文化的要素をすぐに認識されることでしょう。この作品は日本でこそ、他の国では成し得ないほどの共感を得ると信じています。
例えば、古事記における「葦原中国」、京都の枯山水、雅楽が未来的なエレクトロ・アコースティックな層が対話するティム・ヘッカー氏の音楽、8人のダンサーの一つ一つの動きに見られる儀式的な正確さとテンポ、吉本有輝子氏が作り上げた心を捉える陰影に富んだ照明デザイン、作品の中核をなすダンサーの湯浅永麻氏の力強いパフォーマンス、そしてその他にも数多くの要素が盛り込まれています。
これらの公演は、私が名和氏とのコラボレーションを始めて10周年という節目でもあります。名和氏は今や私にとって最も重要なコラボレーターの一人であり、彼からは本当に多くを学んできました。11月に東京と京都でお会いできることを楽しみにしています!

ダミアン・ジャレ プロフィール
振付家・ダンサー。ダンスをはじめ、視覚芸術、音楽、映画、舞台、ファッションなど、その活動は多岐にわたる。名和晃平との協働作品に、『VESSEL』(2016年)、映像作品『Mist』(2021年)、『Planet [wanderer]』(2021年初演)がある。近作では、2023年11月にアーティストのJR、作曲家トーマ・バンガルテルとのコラボレーションにより、パリ・オペラ座のファサード足場を舞台に、アマンディーヌ・アルビッソンをはじめとする154人のダンサーが踊る『Chiroptera』を創作。2024年9月には、名和晃平と再びコラボレーションし、THEATER 010(福岡)で『Mirage [transitory]』を上演した。映画では、ルカ・グァダニーノ監督によるリメイク版『サスペリア』(2018年)、ポール・トーマス・アンダーソン監督『ANIMA』(2019年)にて振付を担当。2022年、フランス芸術文化勲章オフィシエ章を受章。

 

©Michael Somoroff

名和晃平(コンセプト・美術)

ロームシアター京都は2016年秋に『VESSEL』を初演した劇場であり、その成功が、以後の継続的な舞台作品制作の契機となったといっても過言ではありません。いわば、10年以上にわたるジャレとのコラボレーションの原点にあたる記念すべき場所です。三部作のひとつである『Planet[wanderer]』もこの流れの中に位置づけられ、これは今年5月にスイス・ジュネーヴで初演を行った最新作『Mirage』へとつながる極めて重要な作品です。本来、2020年および2022年にロームシアター京都で上演予定でしたが、新型コロナウイルスの影響によって叶いませんでした。今回ようやく公演が実現することを、心から嬉しく思っております。

名和晃平プロフィール
彫刻家。1975年大阪府生まれ。京都を拠点に活動。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。京都芸術大学教授。
2011年東京都現代美術館で個展「名和晃平‐シンセシス」開催。2017年、ポンピドゥー・センター・メッスで開催された「ジャパノラマ」展に参加。2018年7月から2019年2月にかけて、パリのルーヴル美術館ピラミッドにて、日仏合同プロジェクト「ジャポニスム 2018」公式企画のひとつとして、彫刻作品《Throne》が展示された。2023年、フランス・セーヌ川のセガン島に高さ25mの屋外彫刻作品《Ether (Equality)》を恒久設置。平成23年度(2011年)京都市芸術新人賞受賞。

 

© Joris-Jan Bos

湯浅永麻(出演)

色々な作品に携わってきましたが、この作品は特別で、幕が開く直前は自分の身体が宇宙の埃になって、暗闇を漂い、まだ生命体がない生まれたての地球にゆっくり降りてくるような不思議な感覚になります。色んな文明が栄えて滅び、いつか人間がいなくなってこの地球も終わりを迎る事を想像すると、今この惑星上で起こっている様々な事象の意味を考えたりします。幾つもの破壊と誕生の繰り返しの中に身体を持って存在し、あらゆる事を経験できる事の稀有さをダミアンと名和さんが作り上げたこの作品を通して感じています。数年間のツアーを経て暖かい絆を築いた大切なキャストや、最高のスタッフ全員と、やっと日本ツアーが実現する事、本当に嬉しく思っています!

湯浅永麻プロフィール
オランダ在住のダンサー/振付家。ネザーランドダンスシアターに11年半在籍後、マッツ・エック、サシャ・ヴァルツ、シディ・ラルビ・シェルカウイ、ピーピング・トム、岡田利規やダミアン・ジャレ×名和晃平『Planet[wanderer]』、『Mirage[transitory]』などのダンス、 オペラ、演劇作品等に出演。同時に振付家として異ジャンルアーティスト達とのコラボレーション作品を発表し、第13 回、15回日本ダンスフォーラム賞受賞。またあらゆる人がダンスを介して関わり合うことをテーマにしたプロジェクトnosmosis researchを立ち上げるなど、幅広い分野で、海外と日本を横断し活躍している。https://www.emayuasa.com/

関連事業・記事

Turn your phone

スマートフォン・タブレットを
縦方向に戻してください