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#インタビュー#2021年度

Artist Pickup Vol.19

中間アヤカ

インタビュー:眞鍋隼介 文:松本花音
2022.3.1 UP

撮影:前澤秀登

やめられない“ダンサー”という仕事に向き合って

「ずっとダンサーという生き物になりたくて生きてきました。今も“ダンスを続ける理由”を自分に課しています」。自身の作品でKYOTO EXPERIMENTをはじめとする世界の舞台芸術フェスティバルから招聘・上演を重ねている、92年生まれのダンサー・中間アヤカは、踊る理由をそう表現する。

もともとは大分県別府市に生まれたクラシックバレエ少女。3歳からバレエに没頭し、疑うことなくプロのバレエダンサーを夢見て17歳で単身ロンドンに留学するも、多感な時期ゆえ「ショートヘアも許されないようなバレエの世界を窮屈に感じるようになってしまって」19歳でその道を挫折した。1年間踊ることから離れていたが、やっぱり自分にはダンスしかないと模索していた時に出会ったのが、神戸市長田区の民間の小劇場「ArtTheater dB Kobe」で始まった企画「国内ダンス留学@神戸」(企画制作:NPO法人 DANCE BOX)だった。

ダンサーコースの1期生として、改めて国内のコンテンポラリーダンスシーンに8か月間留学。「それまで触れていたバレエは完成している振付を上手く踊ることだけが求められる世界だったけど、コンテンポラリーダンスはダンサーであっても踊る以外の“作る”ことをしなくちゃいけない。人間的な面白さを求められるし、踊るだけでは生きていけない」ことを知る。それでも“ここに居れば自分は他者と繋がっていられる”と感じる劇場・アーティスト・街の関係に居心地の良さを感じ、今でも新長田に住み続けている。

“留学”後も意欲的に創作を続け、チェルフィッチュなど演劇公演にも積極的に出演するが、一貫して“振付家”や“俳優”ではなく“ダンサー”と名乗っている。名を広く知られるきっかけとなった『フリーウェイ・ダンス』(2019年初演)では、[父親、友達、町の住民たちに振付をもらって、踊る]というコンセプトで作品を形にした。「舞台芸術の当たり前の構造を疑い続けたい。強固なものより、誰でも介入できる、ゆるくて残りにくいものに魅力を感じます」。そうした姿勢は自身の作品の延命/アーカイヴの方法への関心にもつながり、「再演や映像記録ではなく、噂話や『口裂け女』といった伝説のようなかたちで作品を残したいんです。繰り返して作品を強化することで、大事なものを見落としちゃうかもしれないでしょう?」。あらゆる文脈で権威的、一方的な見方や振る舞いの危うさが語られるいま、ダンスも例外ではないと彼女はもう気づいているのかもしれない。

  • 中間アヤカ Ayaka Nakama

    1992年別府生まれ、神戸在住。ダンサー。英国ランベール・スクールを卒業後、文化庁・NPO法人DANCE BOX主催「国内ダンス留学@神戸」1期に奨学生として参加。近年では黒沢美香、木村玲奈、contact Gonzo、チェルフィッチュ等の作品に出演する傍ら、自身の作品制作も行う。2019年にArtTheater dB Kobeにて初演した中間アヤカ&コレオグラフィ『フリーウェイ・ダンス』は、TPAM国際舞台芸術ミーティングin横浜、KYOTO EXPERIMENT、クンステン・フェスティバル・デザール、ベルリン芸術祭、ポンピドゥ・センター等で再演を重ねる。誰かや何かに振り付けられる身体にこだわりを持ち、ダンスとしか呼ぶことのできない現象を追い求めている。2018年度よりDANCE BOXアソシエイト・アーティスト。2022年度よりセゾン文化財団セゾン・フェローⅠ。
    2022年秋、ロームシアター京都×京都市文化会館5館連携事業において小さなこどもたちが楽しめる舞台を発表予定。

  • 松本花音(ロームシアター京都)
    松本花音(ロームシアター京都) Kanon Matsumoto

    ロームシアター京都 広報・事業企画担当/Spin-Off・機関誌「ASSEMBLY」編集担当。横浜市出身。早稲田大学卒業後、株式会社リクルートメディアコミュニケーションズにて広告制作およびメディア設計に従事。舞台芸術業界に転向し、国際舞台芸術祭フェスティバル/トーキョー制作・広報チーフ(2011-13年)、パフォーミングアーツ制作会社勤務を経て2015年より現職。

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