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#インタビュー#機関誌「ASSEMBLY」

Artist Pickup Vol.7

石上真由子

インタビュー=橋本裕介/文=春口滉平
2021.5.29 UP

©Masatoshi Yamashiro

京都音楽文化を牽引する開拓者

昭和50年からつづく、将来の文化芸術における功績が期待される個人・団体を表彰する京都市芸術新人賞。その令和最初の受賞者のひとりとして選出されたのが、ヴァイオリン奏者の石上真由子だ。
 京都生まれ京都育ちの石上は、5歳からヴァイオリンをはじめ、さまざまな音楽コンクールでの受賞、国内外のオーケストラとの共演など、その活躍はめざましい。現在はソロでの活動のほか、長岡京室内アンサンブル、アンサンブル九条山のメンバーとしても活躍しているが、近年得意とするレパートリーは中東欧との関係が深い。
 「京都でデビューリサイタルのプログラムを考えているときに、ヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタを聴いて、ことばの抑揚さえも旋律に昇華した音楽に衝撃を受けたんです」
 日本では、音楽はこのように聴くべきだという堅苦しさがある。大学卒業後に滞在していたフランスで、演奏家と聴衆と場所さえ揃えば、どこでもコンサートはできるのだと気付いたのだと言う。それから日本でも教会などさまざまな場所で演奏してきた。
 そんな石上がいま、生まれ育った京都で音楽祭を開催しようと動きはじめている。まずはアーティスト、観客、企画者、主催者の全員がフラットに意見を言い合い、アイデアを出し合える関係性をつくりたいと、京都コンサートホールの第1期登録アーティストとして活動をはじめた。
 「演奏家は舞台でつねにお客さんの反応を感じています。受け取ったニーズをホール側にフィードバックし企画について話ができる関係をつくっていきたいんです」
 音楽祭のアイデアはすでに膨らんでいるそうだ。なにが石上を突き動かしているのだろう。「京都で活動していて、地元の音楽家が大事にされていないなと感じることがあります。能力のある音楽家がしっかり評価されて、京都を活動拠点にしたいと思えるような街にしたい。弾き手も、聴き手も、つくり手もまだまだ成長できます。音楽へのマインドや環境を変えていきたい」
 京都の音楽文化の未来は明るい。

初出:機関誌Assembly第5号(2020年3月25日発行)

  • 石上真由子 Mayuko Ishigami

    ヴァイオリン奏者。1991年生まれ、京都府京都市出身。国内外のコンクールで優勝・受賞多数。長岡京室内アンサンブル、アンサンブル九条山メンバー。Ensemble Amoibeシリーズ主宰。Music Dialogueアーティスト。CHANEL Pygmalion Days室内楽アーティスト。京都コンサートホール登録アーティスト。健康法は早起き・1日30分の運動・パンづくり。

  • 橋本裕介(ロームシアター京都) Yusuke Hashimoto

    ロームシアター京都事業担当課長・プログラムディレクター。
    1976年福岡生まれ。京都大学在学中の1997年より演劇活動を開始、2003年橋本制作事務所を設立後、京都芸術センター事業「演劇計画」など、現代演劇、コンテンポラリーダンスの企画・制作を手がける。2010年よりKYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭を企画、2019年までプログラムディレクターを務める。2013年から2019年まで舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)理事長。2014年1月よりロームシアター京都に勤務。

  • 春口滉平(山をおりる) Kouhei Haruguchi

    編集者。エディトリアル・コレクティヴ「山をおりる」メンバー。建築、都市、デザインを中心に、企画、執筆、リサーチなど編集を軸にした活動を脱領域的に展開している。2019年よりロームシアター京都の機関誌『ASSEMBLY』の編集を担当。

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